第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P02

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-02-1] 当院外来リハビリテーションの質的検討

Net Promoter Scoreを使用して

今野敬貴, 金城拓人, 猪股伸晃, 入内島崇紀 (医療法人高徳会上牧温泉病院)

Keywords:リハビリテーション, 質問紙, 業務管理

【はじめに,目的】

昨今,理学療法の質に関する警笛がならされている。我々理学療法士は対象者である患者に信頼され,質の高いリハビリテーションを提供するのが責務であると考える。患者からのフィードバックを目的に,患者満足度を調査している施設は多い。しかし,満足度調査には限界があるといわれ,ましては良い結果が出やすい医療業界においては意義も薄くなってしまう。そこで様々な業種で成長性や経営業績との相関が強いと言われているNet Promoter Score(以下NPSとする)を調査し,その結果を報告する。

【方法】

対象は当院外来リハビリテーション通院患者,期間は2014年11月17-22日,2015年8月24-29日の2回とした。紙面による無記名アンケートにて「あなたは同僚や友人にここのリハビリを紹介したいと思いますか?」と問い,それに対して2014年は0(紹介しない)から10(ぜひ紹介したい)までの11段階で回答を得た。2015年はvisual analog scaleの要領で10cm線上に左端0が「紹介しない」,右端10が「ぜひ紹介したい」とし線上にチェック線を記入してもらい計測した。なお,その数値により対象を「誹謗者;0-6」「中立者;6-8」「推薦者9-10」の3群に分類し,計算式[NPS=(推薦者数)-(誹謗者数)/総数×100]にて算出した。

【結果】

2014年は215名に配布し判別困難を除き208名を分析対象とした(有効回答率96.7%)。誹謗者は15名,中立者は34名,推薦者は159名。NPSは69.2%であった。2015年は226名に配布し判別困難を除き204名を分析対象とした(有効回答率90.3%)。誹謗者は18名,中立者は57名,推薦者は129名であった。NPSは54.4%となった。

【結論】

NPSは50%以上で良好と言われているが2014年に比べ2015年は約15%低くなった。スタッフの若年化や業務量の増加にて予測された通りの結果を真摯に受け止め「質」を高められるよう努力しなければならない。この計算式からも読み取れるようにスコア改善には推薦者を増やすだけでなく誹謗者を減らすことが重要であることを示している。このことはスタッフひとりひとりが意識しやすく,おのずと質の改善方向に向きやすいと考える。また,visual analog scaleの方が無効回答が多く時間もかかる傾向であった。今回2回実施して簡便であったことは,臨床業務の傍らでしか時間のとれない理学療法士にとっては非常に有効であると思われた。