第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P03

2016年5月27日(金) 16:30 〜 17:30 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-03-6] 都道府県理学療法士会の災害対策への現状調査

アンケート結果から課題を考察する

財津由忠1,4, 花田智1,4, 中田洋輔2,4, 児玉祐二3,4 (1.都城市郡医師会病院総合リハビリテーション室, 2.鶴田病院リハビリテーション科, 3.介護老人保健施設シルバーケア野崎事務部, 4.宮崎県理学療法士会)

キーワード:災害対策リハビリテーション, 組織化, アンケート調査

【はじめに,目的】

2011年3月11日に発災した東日本大震災後,日本理学療法士協会のみならず,リハビリテーション(以下,リハ)関連団体が災害時にどのようにリハ関連機関として関わるべきかの取り組みが行われてきた。

日本理学療法士協会のホームページでは,大規模災害リハ支援関連団体協議会(JRAT)で作成されたマニュアルが紹介されているが,実際にはそのマニュアルでさえ周知が行き届かず使用されていない状況である。

災害対策に関しては,各都道府県士(協)会(以下,各士(協)会)で組織化され,研修会を実施し人材育成を図り,公的機関や他団体との連携を図ることで,スムーズな支援体制づくりが可能になると考えられるが,現在,災害リハの組織運営に関して全国規模でまとめた報告は見当たらない。

そこで今回,災害リハに対する各士(協)会の現状を把握することを目的にアンケート調査を行った。

【方法】

平成27年2月2日~2月28日の期間,各士(協)会へのアンケートを郵送にて実施した。内容は,①各士(協)会内での災害対策委員会に類似した組織の有無,②各士(協)会での研修会開催の有無,③組織化されている各士(協)会の予算及び災害マニュアルの有無とした。統計学的処理は,χ2もしくはFisherの正確検定を用い,有意水準は5%未満とした。

【結果】

35都道府県(74%)の有効回答を得た。組織化の有無に関して,組織化は15,非組織化は20士(協)会(組織率43%)であり,東日本(61%)と西日本(24%)で比較した場合,有意差は認めなかった。

研修会の有無に関しては,開催士(協)会数は13,非開催士(協)会数は22(開催率37%)であり,組織化の有無と研修会開催の有無に有意差が認められた(p<0.01)。

組織化されている15士(協)会中で,13士(協)会が予算計上されているものの,災害マニュアルの有無に関して有意差は認めなかった。

【結論】

組織率は約43%で東日本と西日本の間に有意差は認めなかったものの,組織率に関しては東高西低の傾向であった。

組織化と予算については,組織化されている士(協)会は研修会を開催し,かつ予算計上されやすい傾向であるという結果であった。

しかし,活動内容では全国的にばらつきが多く,本アンケートでは各士(協)会がマニュアルを作成するなどの最終目標までは確認することができなかったが,災害という迅速な対応が求められる事象においては強固でかつ柔軟に対応でき,他団体と連携を図ることのできる組織の編成が求められる。そのためにも,人材教育,予算確保などの課題は多いが,全国的に有組織率を高めることは災害への対応策として重要であるのではないかと思われる。