第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P06

2016年5月28日(土) 14:50 〜 15:50 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-06-4] 理学療法専攻4年生が持っている介護保険領域の職場イメージに関する調査研究

平成21年度生と23年度生の比較

藤田大介, 小原謙一, 大坂裕, 末廣忠延 (川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科)

キーワード:理学療法専攻4年生, 介護保険領域の職場, イメージ

【はじめに,目的】

地域包括ケアシステムの構築が重要とされている社会情勢の下では,地域で活動する多くの理学療法士が必要とされ,学内教育の時点から学生達へ意識づけていくことも重要だと考えられる。理学療法士養成校では,専門職連携教育の実践(押木ら,2012)や介護保険領域の講義内容の充実(小林ら,2007)等が推進されている。そこで本研究は,理学療法士養成校の講義科目や講義内容の変化が学生達の介護保険領域の職場イメージに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。


【方法】

対象は,某大学理学療法専攻4年生(平成21年度生43名 平成23年度生37名)80名を対象とした。なお,平成21年度生43名の調査結果は演者らの先行研究のデータを用いた。平成23年度生では専門職連携教育に関する科目が追加されたことや,地域包括ケアを背景とした介護保険領域についての講義内容の変化が平成21年度生との違いである。先行研究(曽根原ら,1995)を参考に15項目の形容詞対を設定し,肯定的な表現を7点,対となる否定的な表現1点とする7段階評定とした。なお,介護保険領域の職場は,理学療法士が勤務している施設である訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション,通所介護,介護老人保健施設,介護老人福祉施設,有料老人ホーム,地域包括支援センターとした。分析方法は,イメージに関する15項目について探索的因子分析を行なった。因子抽出法は一般化した最小二乗法とし,因子の回転には直接オブリミン法を用いた。次に,各因子に属する項目の評定を合計した得点を算出し,平成21年度生と平成23年度生による比較をMann-Whitney検定で実施した。


【結果】

質問紙回収率は100%であった。因子分析の結果,第1因子4項目は,おもしろい,魅力的,やりがい等で因子負荷量が高いため「職場の魅力」,第2因子5項目は,科学的,専門的,進歩的等に関して因子負荷量が高いため「職場の専門性」,第3因子3項目は,親しみ,明るい,自由等に対して因子負荷量が高いため「職場の雰囲気」,第4因子3項目は,重要,価値,高尚等に対して因子負荷量が高いため「職場の価値」と命名した。次に,年度ごとの4因子間の得点の比較では,「職場の魅力」,「職場の専門性」,「職場の雰囲気」について有意な差は認められなかった。しかし「職場の価値」のイメージは平成21年度生の5.2±1.1に比べて平成23年度生が5.8±1.1と有意に高値を示した。


【結論】

介護保険領域職場の「職場の価値」についてのイメージは,平成23年度生が平成21年度生と比較して高い肯定的イメージを持っていることが明らかとなり,専門職連携教育演習への参加や介護保険領域の講義内容の変化が要因として考えられた。