[P-ED-07-1] 触診技術習得を目的とした授業へのタブレット端末を用いた視覚教材の活用
キーワード:動機づけ, 教材, 触診
【はじめに,目的】
理学療法における触診技術は,検査・測定の正確な実施や痛みなど種々の症状の原因特定のために必要不可欠である。触診技術の習得には,基礎となる解剖学の知識が最も重要である。しかし昨今,理学療法士養成校の学生は,解剖学的な専門性の知識量から苦手意識を持つ学生も多い。そのため,授業内容には様々な工夫もなされているが,十分な対策はできていないのが現状である。そこで,今回,学生の理解および学修意欲の向上を目的に,タブレット端末を利用した視覚教材を取り入れた授業を行い,その効果について検討した。
【方法】
授業は,1年次後期に行う「基礎理学療法学」の中に,触診技術の学習の機会を得た。授業の実施にあたり,タブレット端末(Apple社製iPad2:以下iPad)上で動作する視覚コンテンツを株式会社メタ・コーポレーション・ジャパンと共同開発した。視覚コンテンツは,骨指標を確認し,指での操作で3軸の回転や拡大・縮小ができるものとした。開講授業は5名の教員を同時に配置した。1名の教員が骨模型と教科書を用いてデモンストレーションを行ったのち,学生同士がペアとなり実技練習を行った。授業後半には,iPad上の視覚コンテンツを用いた説明を加えた。実技練習中は,学生自身が画面を操作できるようにした。授業評価は,iPadを使用しなかった授業(以下,前半)と使用した授業それぞれの授業後(以下,後半)にアンケート調査を行い,効果を検討した。アンケート調査は5件法を用いて,履修者92名を対象に行ない,うち86名から回答が得られた。内容は,1)授業の満足度2)授業への参加度3)自己主導型学習態度に関する項目とした。
【結果】
アンケート結果は,1)満足度,2)参加度に関する質問では全般的に肯定的な回答が多く,授業そのものへの関心の高い傾向を示した。特に「教材,資源」,「授業の運営」の項目では,後半でより肯定的な回答が増加する傾向を示した。また,参加度に関する質問では,「グループディスカッションは学習効果を高める役割を果たした」,「授業に主体的に参加した」の項目で同様の傾向を示した。自己主導型学習に関する項目では,「さまざまな学習ツールを利用した」,「図書館の利用」,「インターネットの利用」の項目において,否定的な回答が多かった。
【結論】
アンケート結果より,視覚教材の導入は,学生の主体的な学習態度を高める,内発的動機づけを促す効果があったと考えられる。人体という立体構造を学ぶ際には視覚教材が適していたこと,また今回の教材は学生自らが操作し,能動性を促すように工夫されていたことも動機づけの一助になったと考えられる。授業時間外の自己学習は少ない傾向にあり,今後の課題と考えられる。今後の展望として,授業の理解度や他の関連科目の成績との関連を調査し,さらなる活用法を検討したい。
理学療法における触診技術は,検査・測定の正確な実施や痛みなど種々の症状の原因特定のために必要不可欠である。触診技術の習得には,基礎となる解剖学の知識が最も重要である。しかし昨今,理学療法士養成校の学生は,解剖学的な専門性の知識量から苦手意識を持つ学生も多い。そのため,授業内容には様々な工夫もなされているが,十分な対策はできていないのが現状である。そこで,今回,学生の理解および学修意欲の向上を目的に,タブレット端末を利用した視覚教材を取り入れた授業を行い,その効果について検討した。
【方法】
授業は,1年次後期に行う「基礎理学療法学」の中に,触診技術の学習の機会を得た。授業の実施にあたり,タブレット端末(Apple社製iPad2:以下iPad)上で動作する視覚コンテンツを株式会社メタ・コーポレーション・ジャパンと共同開発した。視覚コンテンツは,骨指標を確認し,指での操作で3軸の回転や拡大・縮小ができるものとした。開講授業は5名の教員を同時に配置した。1名の教員が骨模型と教科書を用いてデモンストレーションを行ったのち,学生同士がペアとなり実技練習を行った。授業後半には,iPad上の視覚コンテンツを用いた説明を加えた。実技練習中は,学生自身が画面を操作できるようにした。授業評価は,iPadを使用しなかった授業(以下,前半)と使用した授業それぞれの授業後(以下,後半)にアンケート調査を行い,効果を検討した。アンケート調査は5件法を用いて,履修者92名を対象に行ない,うち86名から回答が得られた。内容は,1)授業の満足度2)授業への参加度3)自己主導型学習態度に関する項目とした。
【結果】
アンケート結果は,1)満足度,2)参加度に関する質問では全般的に肯定的な回答が多く,授業そのものへの関心の高い傾向を示した。特に「教材,資源」,「授業の運営」の項目では,後半でより肯定的な回答が増加する傾向を示した。また,参加度に関する質問では,「グループディスカッションは学習効果を高める役割を果たした」,「授業に主体的に参加した」の項目で同様の傾向を示した。自己主導型学習に関する項目では,「さまざまな学習ツールを利用した」,「図書館の利用」,「インターネットの利用」の項目において,否定的な回答が多かった。
【結論】
アンケート結果より,視覚教材の導入は,学生の主体的な学習態度を高める,内発的動機づけを促す効果があったと考えられる。人体という立体構造を学ぶ際には視覚教材が適していたこと,また今回の教材は学生自らが操作し,能動性を促すように工夫されていたことも動機づけの一助になったと考えられる。授業時間外の自己学習は少ない傾向にあり,今後の課題と考えられる。今後の展望として,授業の理解度や他の関連科目の成績との関連を調査し,さらなる活用法を検討したい。