[P-ED-07-4] 理学療法士を目指す学生の職業興味特性と臨床実習で適性に問題があると指摘された学生に関する研究
VPI職業興味検査より
キーワード:VPI職業興味検査, 臨床実習, 適性
【目的】
理学療法士養成教育における臨床実習において,患者の痛みに反応できない,深く考えようとしない,など理学療法士としての適性に問題があるのではないか,との議論があるものの,理学療法士としての適性について一定の見解が得られていないのも事実であろう。職業の適性について検討する方法の一つに,VPI職業興味検査(以下,本検査)がある。本検査は,160の職業に対する興味について回答することによって,6種類の職業興味尺度について明らかにするものであり,検査を受けた学生の職業的な分化の程度を把握することができる検査法である。本学理学療法学専攻では,入学した全学生を対象に本検査を実施しており,第9回全国大学理学療法学教育学会大会において,職業的に分化しているとされる興味領域尺度の高低がはっきりしているグループと,分化していないとされる全体的に興味領域尺度が高いか,もしくは低いグループの3グループに分類されることを報告した。今回,本検査で表示される興味の六角形,いわゆるレーダーチャートを統計手法ではなく目視によって分類し,過去の臨床実習において学生自身の適性に問題があると教員側が判断した学生の分布状況を明らかにすることを目的に検討した。
【方法】
本学理学療法学専攻に入学した1期生から10期生までの計205名(男80名,女125名)に実施した本検査の興味の六角形を目視し,興味尺度が全体的に70パーセンタイル以上を示しているように見える第1グループ,興味尺度の高低が比較的はっきりしているように見える第2グループ,全体的に30パーセンタイル以下を示しているように見える第3グループに分類した。その後,過去の臨床実習において学生の適性に問題があると教員側が判断した学生205名中12名(5.9%)を,それぞれのグループへ振り分けた。
【結果】
興味の六角形を目視で振り分けた結果,全体的に興味領域尺度のパーセンタイル順位が高い第1グループが20名,高低が比較的はっきりしている第2グループが169名,全体的に低い第3グループが16名に分けられた。過去の実習で適性に問題があると判断された学生12名の内訳は,第1グループ1名(5%),第2グループ8名(4.7%),第3グループ3名(18.8%)であった。
【結論】
第3グループにおいて適性を指摘された学生の比率は,他の2つのグループと比べて高い比率であった。第3グループは興味領域尺度が全体的に低く,理学療法士以外に興味がないか,仕事に対して非常に強いこだわりがあると考えられることより,このこだわりが適性に問題ありと指摘される原因になった可能性が考えられた。興味の六角形が全体的に低い学生は,臨床実習において適性に問題があると指摘される可能性があることより,学内教育において実習に出向く前にどのようなことを個別的に指導していく必要があるのか,今後より検討する必要がある。
理学療法士養成教育における臨床実習において,患者の痛みに反応できない,深く考えようとしない,など理学療法士としての適性に問題があるのではないか,との議論があるものの,理学療法士としての適性について一定の見解が得られていないのも事実であろう。職業の適性について検討する方法の一つに,VPI職業興味検査(以下,本検査)がある。本検査は,160の職業に対する興味について回答することによって,6種類の職業興味尺度について明らかにするものであり,検査を受けた学生の職業的な分化の程度を把握することができる検査法である。本学理学療法学専攻では,入学した全学生を対象に本検査を実施しており,第9回全国大学理学療法学教育学会大会において,職業的に分化しているとされる興味領域尺度の高低がはっきりしているグループと,分化していないとされる全体的に興味領域尺度が高いか,もしくは低いグループの3グループに分類されることを報告した。今回,本検査で表示される興味の六角形,いわゆるレーダーチャートを統計手法ではなく目視によって分類し,過去の臨床実習において学生自身の適性に問題があると教員側が判断した学生の分布状況を明らかにすることを目的に検討した。
【方法】
本学理学療法学専攻に入学した1期生から10期生までの計205名(男80名,女125名)に実施した本検査の興味の六角形を目視し,興味尺度が全体的に70パーセンタイル以上を示しているように見える第1グループ,興味尺度の高低が比較的はっきりしているように見える第2グループ,全体的に30パーセンタイル以下を示しているように見える第3グループに分類した。その後,過去の臨床実習において学生の適性に問題があると教員側が判断した学生205名中12名(5.9%)を,それぞれのグループへ振り分けた。
【結果】
興味の六角形を目視で振り分けた結果,全体的に興味領域尺度のパーセンタイル順位が高い第1グループが20名,高低が比較的はっきりしている第2グループが169名,全体的に低い第3グループが16名に分けられた。過去の実習で適性に問題があると判断された学生12名の内訳は,第1グループ1名(5%),第2グループ8名(4.7%),第3グループ3名(18.8%)であった。
【結論】
第3グループにおいて適性を指摘された学生の比率は,他の2つのグループと比べて高い比率であった。第3グループは興味領域尺度が全体的に低く,理学療法士以外に興味がないか,仕事に対して非常に強いこだわりがあると考えられることより,このこだわりが適性に問題ありと指摘される原因になった可能性が考えられた。興味の六角形が全体的に低い学生は,臨床実習において適性に問題があると指摘される可能性があることより,学内教育において実習に出向く前にどのようなことを個別的に指導していく必要があるのか,今後より検討する必要がある。