[P-ED-10-2] 当院(急性期総合病院)における理学療法中の急変の現状と対策
Keywords:急変時の対策, 急性期リハビリ, リスク管理
【はじめに,目的】
急性期病院では早期からのリハビリテーションの実施が恒常化してきており,我々急性期治療を担う理学療法士には,患者の疾病的な変化の対応も必要とされている。急変する患者を対応する機会も増加してきおり,急変の実態を調査した。
【方法】
平成26年3月1日~平成26年12月31日までの10か月間,当院の理学療法中に発生した患者の急変についてデータを分析した。分析内容は,症状,原疾患,診療科,対応方法,対応人数,リハ科医師の診察の有無,予測可能であったか,主治医への報告と情報提供とした。急変の判断は,患者の変化により,担当者,周りのスタッフが理学療法の中止の必要性を疑った場合とした。また,当院での急変時の対応方法や,急変後の部署としての対応について紹介する。
【結果】
急変した患者は入院35症例,外来1症例の36症例であった。内訳は神経内科9症例,整形外科8症例,消化器科4症例,脳外科4症例,形成外科2症例であった。事後の振り返りによる分析で,事前に予測可能と判断された症例は20症例で,その理由は,カルテにて病棟でも同様の症状があった,原疾患の随伴症状,便秘など当日の体調が悪かった等であった。リハ科医師の診察は32症例だった。初期対応人数では3症例が療法士1名で対応したが,その症例の急変内容は,意識レベル低下(ストレッチャーで帰室),迎えを待っているときの嘔気,低血糖発作(糖を摂取したが改善せず外来へ)であり,必ずしも軽症であったわけではなかった。
【結論】
当院での理学療法では集計期間延べ40562症例の理学療法を実施していたが,その中で急変した症例は36症例で0.089%の発症率であった。その内,嘔気・嘔吐症例が14症例と多かった。よって,適切な感染管理が必要であると考え,嘔吐に対応すべく物品をすぐに対応できるよう準備している。一方,生命に関わる重大な急変は皆無だった。皆無ということは,経験がないということであり,知識はあっても実際に動くことが出来ないことが予想される。当院では入社時に心肺蘇生法の研修を行うが,部署においてはAEDの実習を年3回スタッフ全員で繰り返し,万一の際に備えている。また,患者の日々の身体的変動から予測できた症例も比較的多く,日々患者の情報をカルテ上よりチェックするよう喚起している。いずれにせよ,急変する患者は多くはなく,個人で経験する症例は少ないため,他のスタッフの経験を役立てる必要がある。当院では,急変のあった翌日のミーティングにおいて全症例の振り返りを全員で行い,他のセラピストの患者の急変を自分自身の経験とし,実際の自分自身の患者の急変の時に落ち着いて対応できるように模擬体験を心掛けている。このように,急変の内容をデータで整理することで,部署としての対応・運営の手掛かりとなった。病状の急変などを適切に対応するためには個人の能力だけではなく,組織的に対応する必要がある。
急性期病院では早期からのリハビリテーションの実施が恒常化してきており,我々急性期治療を担う理学療法士には,患者の疾病的な変化の対応も必要とされている。急変する患者を対応する機会も増加してきおり,急変の実態を調査した。
【方法】
平成26年3月1日~平成26年12月31日までの10か月間,当院の理学療法中に発生した患者の急変についてデータを分析した。分析内容は,症状,原疾患,診療科,対応方法,対応人数,リハ科医師の診察の有無,予測可能であったか,主治医への報告と情報提供とした。急変の判断は,患者の変化により,担当者,周りのスタッフが理学療法の中止の必要性を疑った場合とした。また,当院での急変時の対応方法や,急変後の部署としての対応について紹介する。
【結果】
急変した患者は入院35症例,外来1症例の36症例であった。内訳は神経内科9症例,整形外科8症例,消化器科4症例,脳外科4症例,形成外科2症例であった。事後の振り返りによる分析で,事前に予測可能と判断された症例は20症例で,その理由は,カルテにて病棟でも同様の症状があった,原疾患の随伴症状,便秘など当日の体調が悪かった等であった。リハ科医師の診察は32症例だった。初期対応人数では3症例が療法士1名で対応したが,その症例の急変内容は,意識レベル低下(ストレッチャーで帰室),迎えを待っているときの嘔気,低血糖発作(糖を摂取したが改善せず外来へ)であり,必ずしも軽症であったわけではなかった。
【結論】
当院での理学療法では集計期間延べ40562症例の理学療法を実施していたが,その中で急変した症例は36症例で0.089%の発症率であった。その内,嘔気・嘔吐症例が14症例と多かった。よって,適切な感染管理が必要であると考え,嘔吐に対応すべく物品をすぐに対応できるよう準備している。一方,生命に関わる重大な急変は皆無だった。皆無ということは,経験がないということであり,知識はあっても実際に動くことが出来ないことが予想される。当院では入社時に心肺蘇生法の研修を行うが,部署においてはAEDの実習を年3回スタッフ全員で繰り返し,万一の際に備えている。また,患者の日々の身体的変動から予測できた症例も比較的多く,日々患者の情報をカルテ上よりチェックするよう喚起している。いずれにせよ,急変する患者は多くはなく,個人で経験する症例は少ないため,他のスタッフの経験を役立てる必要がある。当院では,急変のあった翌日のミーティングにおいて全症例の振り返りを全員で行い,他のセラピストの患者の急変を自分自身の経験とし,実際の自分自身の患者の急変の時に落ち着いて対応できるように模擬体験を心掛けている。このように,急変の内容をデータで整理することで,部署としての対応・運営の手掛かりとなった。病状の急変などを適切に対応するためには個人の能力だけではなく,組織的に対応する必要がある。