[P-ED-10-5] リハビリ専門職における仕事と育児の両立に関するアンケート調査
Keywords:仕事と育児の両立, ワーク・ライフ・バランス, 就業継続
【はじめに,目的】
リハビリママ&パパの会(以下,当会)において会員より妊娠・出産・育児と仕事との両立が困難であるという声が多く聞かれている。そこで両立を困難にさせている課題を明確にし,対策を提案する目的でアンケートを実施したので報告する。
【方法】
当会会員395名を対象にE-mailに添付したアンケートフォームより調査の内容・方法を説明の上,同意が得られた者を対象とした。質問項目は基本属性,配偶者・子どもの有無,育児と仕事両立の困難度,その原因,対応,対策に関する内容で,無記名,選択方式および自由記載の回答とした。
【結果】
会員395人中106名(男性5名,女性101名)より同意,回答を得た。回収率は26.8%だった。基本属性は30代が64.1%と最も多く,配偶者がいる97名,いない9名,子どもがいる103名,いない3名であった。職業は理学療法士100名,作業療法士5名,言語聴覚士1名だった。育児と仕事の両立の困難度については,かなり難しい24名(22.6%),まあまあ難しい39名(36.8%),どちらかというと難しい38名(35.8%),どちらかというと難しくない5名(4.7%),難しくないは0名(0%)だった。両立が困難な要因としては,子どもの体調不良時の調整が困難,時間外業務(研修)が出来ない,研修に参加出来ない,子どもと過ごす時間が少ない,タイムマネジメントが難しい,の順に多かった。またその時の対応としては,家族に相談した,職場の上司に相談した,我慢したが多かった。更に両立がしやすくなる対策として,配偶者と家事・育児の分担,柔軟な働き方の推進,休暇が取りやすい環境,子連れでも参加しやすい研修会・学会の開催,職場管理者とのコミュニケーションの充実,本人の意識改革の順に多かった。
【結論】
今回の結果より仕事と育児の両立は約95%が困難さを感じていることが分かった。一般企業男女雇用者を対象とした「育児や介護と仕事の両立に関する調査(日本労働研究機構)」によると,両立の困難さの要因は「体力の不安,育児休業が取れない,子どもの体調不良時の調整が困難」が挙げられているが,今回の結果ではその他に「時間外業務(研修)が出来ない,研修に参加出来ない」という要因も上位に挙がり,リハビリ専門職としての業務やスキルアップの必要性からも独自の特有性が示された。また,困難と感じた時の対応は「相談」が重要であり,更に仕事と育児を両立するための対策として個人では「自身の意識改革」,家庭では「家事・育児の分担」,職場では「管理者とのコミュニケーション充実・休暇が取りやすい環境設定」,社会では「子連れでも参加しやすい研修会・学会の開催,柔軟な働き方の推進」を提案したい。個人の意識改革を含め,仕事と育児の両立がしやすくなるように整備していくことは,かつての仕事か育児かの選択ではなく生涯において就業継続が可能になると考えられる。
リハビリママ&パパの会(以下,当会)において会員より妊娠・出産・育児と仕事との両立が困難であるという声が多く聞かれている。そこで両立を困難にさせている課題を明確にし,対策を提案する目的でアンケートを実施したので報告する。
【方法】
当会会員395名を対象にE-mailに添付したアンケートフォームより調査の内容・方法を説明の上,同意が得られた者を対象とした。質問項目は基本属性,配偶者・子どもの有無,育児と仕事両立の困難度,その原因,対応,対策に関する内容で,無記名,選択方式および自由記載の回答とした。
【結果】
会員395人中106名(男性5名,女性101名)より同意,回答を得た。回収率は26.8%だった。基本属性は30代が64.1%と最も多く,配偶者がいる97名,いない9名,子どもがいる103名,いない3名であった。職業は理学療法士100名,作業療法士5名,言語聴覚士1名だった。育児と仕事の両立の困難度については,かなり難しい24名(22.6%),まあまあ難しい39名(36.8%),どちらかというと難しい38名(35.8%),どちらかというと難しくない5名(4.7%),難しくないは0名(0%)だった。両立が困難な要因としては,子どもの体調不良時の調整が困難,時間外業務(研修)が出来ない,研修に参加出来ない,子どもと過ごす時間が少ない,タイムマネジメントが難しい,の順に多かった。またその時の対応としては,家族に相談した,職場の上司に相談した,我慢したが多かった。更に両立がしやすくなる対策として,配偶者と家事・育児の分担,柔軟な働き方の推進,休暇が取りやすい環境,子連れでも参加しやすい研修会・学会の開催,職場管理者とのコミュニケーションの充実,本人の意識改革の順に多かった。
【結論】
今回の結果より仕事と育児の両立は約95%が困難さを感じていることが分かった。一般企業男女雇用者を対象とした「育児や介護と仕事の両立に関する調査(日本労働研究機構)」によると,両立の困難さの要因は「体力の不安,育児休業が取れない,子どもの体調不良時の調整が困難」が挙げられているが,今回の結果ではその他に「時間外業務(研修)が出来ない,研修に参加出来ない」という要因も上位に挙がり,リハビリ専門職としての業務やスキルアップの必要性からも独自の特有性が示された。また,困難と感じた時の対応は「相談」が重要であり,更に仕事と育児を両立するための対策として個人では「自身の意識改革」,家庭では「家事・育児の分担」,職場では「管理者とのコミュニケーション充実・休暇が取りやすい環境設定」,社会では「子連れでも参加しやすい研修会・学会の開催,柔軟な働き方の推進」を提案したい。個人の意識改革を含め,仕事と育児の両立がしやすくなるように整備していくことは,かつての仕事か育児かの選択ではなく生涯において就業継続が可能になると考えられる。