[P-HT-03-5] 虚血性心疾患患者におけるダイナミックストレッチングの効果
柔軟性の改善が生体機能,血管柔軟性に及ぼす影響
キーワード:ストレッチング, 柔軟性, 虚血性心疾患
【目的】心疾患患者における運動療法の効果は多く報告されており,有酸素運動や筋力増強運動が心臓リハビリテーション(以下:心リハ)における運動療法の中心となっている。一方で,一般的にプログラムの中で,ウォーミングアップやクールダウンなどにストレッチングが取り入れられているが,ストレッチングの効果の検証は少ない。心大血管疾患理学療法診療ガイドラインにおいても,柔軟性の評価は推奨グレードBとされ,明確な効果も示されていない。
当院では運動療法のプログラムにレッドコード(インターリハ社製)を用い,ダイナミックストレッチング(以下:DS)を積極的に行っている。DSは柔軟性の改善が得やすいとの報告もあり,近年注目されている。しかし,心リハにおけるストレッチングやDSに関する報告も少ない。
今回我々はDSによる運動療法の効果として,柔軟性の変化に着目し,その変化が,身体機能や生体機能にどのような効果をもたらすのか検討した。
【方法】対象は当院外来心リハに参加している虚血性心疾患患者180名(男性112名・女性68名平均年齢69.4±9.65歳)。疾患内訳は狭心症126名,急性心筋梗塞54名であった。対象は心リハ導入時と5ヵ月後に血圧,体組成(体重,BMI,腹囲,殿囲,腹部内臓脂肪)・身体機能(柔軟性(FFD),握力,膝伸展筋力,片脚立位,5回反復立ち上がりテスト(STS),動的バランス(FRT))・検体検査(HDL,LDL,TG,eGFR,TP,NT-proBNP)・心肺運動負荷試験(AT・PeakWR)・心エコー(EF,E/E´)・血圧脈波検査(PWV)・CT検査を行った。FFDの1回目と2回目の差から0.1cm以上改善した群を改善群(83名),変化がなく改善が見られなかった群を非改善群(97名)とした。それぞれの差を群間で比較検討し,その結果について分析した。統計解析はPASW Statistics Ver.18を使用した。
【結果】両群でCPXの結果に改善が認められた。改善群では柔軟性を含む身体機能全般,体組成,PWVやNT-proBNP,腹部内臓脂肪,収縮時血圧などに有意な改善を認めた。非改善群では身体機能の改善は見られるが,体組成やその他の項目では改善群ほどの変化を認めなかった。
【結論】両群に身体機能の改善が見られていることから,身体機能に対するDSを含めた,運動療法の効果は有効であると考えられた。その中で,柔軟性の改善は身体機能以外にも関連があると考えられた。PWVは血管の硬さの指標であり,先行研究からも柔軟性はPWVと関連があるとされている。今回の結果からも柔軟性が改善すると,血管の柔軟性にも改善が見られる可能性が示唆された。また柔軟性の改善は腹部内臓脂肪の減少にも関連があると考えられた。柔軟性の改善は,DSの直接的な骨格筋への作用により,末梢効果として,骨格筋活動の拡大,代謝機能,血管構造の改善が期待できる可能性がある。内臓脂肪が減少し,血管の柔軟性が得られることは,収縮時血圧の改善にも寄与していると考えられる。
当院では運動療法のプログラムにレッドコード(インターリハ社製)を用い,ダイナミックストレッチング(以下:DS)を積極的に行っている。DSは柔軟性の改善が得やすいとの報告もあり,近年注目されている。しかし,心リハにおけるストレッチングやDSに関する報告も少ない。
今回我々はDSによる運動療法の効果として,柔軟性の変化に着目し,その変化が,身体機能や生体機能にどのような効果をもたらすのか検討した。
【方法】対象は当院外来心リハに参加している虚血性心疾患患者180名(男性112名・女性68名平均年齢69.4±9.65歳)。疾患内訳は狭心症126名,急性心筋梗塞54名であった。対象は心リハ導入時と5ヵ月後に血圧,体組成(体重,BMI,腹囲,殿囲,腹部内臓脂肪)・身体機能(柔軟性(FFD),握力,膝伸展筋力,片脚立位,5回反復立ち上がりテスト(STS),動的バランス(FRT))・検体検査(HDL,LDL,TG,eGFR,TP,NT-proBNP)・心肺運動負荷試験(AT・PeakWR)・心エコー(EF,E/E´)・血圧脈波検査(PWV)・CT検査を行った。FFDの1回目と2回目の差から0.1cm以上改善した群を改善群(83名),変化がなく改善が見られなかった群を非改善群(97名)とした。それぞれの差を群間で比較検討し,その結果について分析した。統計解析はPASW Statistics Ver.18を使用した。
【結果】両群でCPXの結果に改善が認められた。改善群では柔軟性を含む身体機能全般,体組成,PWVやNT-proBNP,腹部内臓脂肪,収縮時血圧などに有意な改善を認めた。非改善群では身体機能の改善は見られるが,体組成やその他の項目では改善群ほどの変化を認めなかった。
【結論】両群に身体機能の改善が見られていることから,身体機能に対するDSを含めた,運動療法の効果は有効であると考えられた。その中で,柔軟性の改善は身体機能以外にも関連があると考えられた。PWVは血管の硬さの指標であり,先行研究からも柔軟性はPWVと関連があるとされている。今回の結果からも柔軟性が改善すると,血管の柔軟性にも改善が見られる可能性が示唆された。また柔軟性の改善は腹部内臓脂肪の減少にも関連があると考えられた。柔軟性の改善は,DSの直接的な骨格筋への作用により,末梢効果として,骨格筋活動の拡大,代謝機能,血管構造の改善が期待できる可能性がある。内臓脂肪が減少し,血管の柔軟性が得られることは,収縮時血圧の改善にも寄与していると考えられる。