[P-HT-03-6] 男性急性心筋梗塞患者の就労状況による予後規定因子の比較
Keywords:急性心筋梗塞, 予後規定因子, 就労状況
【はじめに,目的】急性心筋梗塞(AMI)等の心血管疾患の予後規定因子として,心臓自律神経機能や不安・抑うつが挙げられる。特に,臨床上で就労者の精神的ストレスの訴えを認めることがある。これらより,就労ストレスが心疾患発症や増悪因子となる可能性は否定できない。しかしながら,心疾患患者の就労状況による心臓自律神経機能や不安・抑うつについての報告は少ない。
本研究は,男性AMI患者の就労状況による心臓自律神経機能や不安抑うつ等の相違や心臓リハビリテーション(CR)実施後の変化状況について検討した。
【方法】対象は,2012年8月よりAMIにて入院しCR実施し退院した男性患者を就労者と非就労者の二群に分け検討した。
<測定項目>
①自律神経機能評価:HRVをチェックマイハート(DailyCare BioMedical.Taiwan)にて測定。
②不安・抑うつ評価:質問紙Hospital Anxiety and Depression Scale:HADSを用いて不安度(A),抑うつ度(D)を評価。
③動脈硬化検査:心臓足首血管指数(Cardio-Ankle Vascular Index:CAVI)を測定。
④運動耐容能:心肺運動負荷試験(CPX)にて最高酸素摂取量(Peak O2)と安静時およびPeak心拍数(HR)を測定。
<評価時期>
①②③はCR開始時,退院時。④は退院時に検査した。
統計解析はt検定および二元配置分散分析を行った。解析ソフトはSPSS.Ver.21.0(IBM・Tokyo)を使用し,有意水準5%とした。
【結果】対象は就労者26名,非就労者13名であった。年齢は就労者54±8.8歳,非就労者が71±8.2歳と就労者が若かった(p<0.01)。HRV指標は両群間に有意な差を認めず,また両群でCR開始時と退院時に有意な変化を認めなかった。HADS-Aは,就労者の開始時が7.5±4.3,退院時が5.8±3.8であり,非就労者の開始時が5.3±2.8,退院時が4.0±2.5で就労者が有意に不安度が高かった(p<0.05)。HADS-Dは,就労者の開始時が8.0±4.3,退院時が7.9±3.7であり,非就労者が開始時が5.8±4.1,退院時が4.7±3.6で,就労者の抑うつ度が有意に高かった(p<0.05)。またCAVIは開始時と退院時で有意な差を認めず,退院時のPeak O2は有意に就労者が高かった(p<0.05)。
【結論】心臓自律神経機能や動脈硬化度は加齢の影響を受けると考えらえるが,本研究では両群に年齢差があるにも関わらず,HRVやCAVIに有意な差を認めなかった。また,HADSによる不安・抑うつ度は有意に就労者が高い結果であった。これらのことから,男性AMI患者において就労状況が不安・抑うつや心臓自律神経機能および血管機能に関連する可能性が考えられた。
本研究の結果から,男性AMI患者の就労の有無を考慮しCRを行うことは重要であると考えられた。
本研究は,男性AMI患者の就労状況による心臓自律神経機能や不安抑うつ等の相違や心臓リハビリテーション(CR)実施後の変化状況について検討した。
【方法】対象は,2012年8月よりAMIにて入院しCR実施し退院した男性患者を就労者と非就労者の二群に分け検討した。
<測定項目>
①自律神経機能評価:HRVをチェックマイハート(DailyCare BioMedical.Taiwan)にて測定。
②不安・抑うつ評価:質問紙Hospital Anxiety and Depression Scale:HADSを用いて不安度(A),抑うつ度(D)を評価。
③動脈硬化検査:心臓足首血管指数(Cardio-Ankle Vascular Index:CAVI)を測定。
④運動耐容能:心肺運動負荷試験(CPX)にて最高酸素摂取量(Peak
<評価時期>
①②③はCR開始時,退院時。④は退院時に検査した。
統計解析はt検定および二元配置分散分析を行った。解析ソフトはSPSS.Ver.21.0(IBM・Tokyo)を使用し,有意水準5%とした。
【結果】対象は就労者26名,非就労者13名であった。年齢は就労者54±8.8歳,非就労者が71±8.2歳と就労者が若かった(p<0.01)。HRV指標は両群間に有意な差を認めず,また両群でCR開始時と退院時に有意な変化を認めなかった。HADS-Aは,就労者の開始時が7.5±4.3,退院時が5.8±3.8であり,非就労者の開始時が5.3±2.8,退院時が4.0±2.5で就労者が有意に不安度が高かった(p<0.05)。HADS-Dは,就労者の開始時が8.0±4.3,退院時が7.9±3.7であり,非就労者が開始時が5.8±4.1,退院時が4.7±3.6で,就労者の抑うつ度が有意に高かった(p<0.05)。またCAVIは開始時と退院時で有意な差を認めず,退院時のPeak
【結論】心臓自律神経機能や動脈硬化度は加齢の影響を受けると考えらえるが,本研究では両群に年齢差があるにも関わらず,HRVやCAVIに有意な差を認めなかった。また,HADSによる不安・抑うつ度は有意に就労者が高い結果であった。これらのことから,男性AMI患者において就労状況が不安・抑うつや心臓自律神経機能および血管機能に関連する可能性が考えられた。
本研究の結果から,男性AMI患者の就労の有無を考慮しCRを行うことは重要であると考えられた。