[P-HT-05-5] 当院集中治療室にて気管内挿管中に端坐位練習を実施した患者を経験して
キーワード:集中治療, 早期離床, 心大血管疾患
【はじめに】
集中治療室(以下,ICU)において,早期離床に向けた理学療法の有効性に関する報告が散見されるが,患者の重症化により長期臥床管理となった後の症例に対する明確なプロトコールは確立されていない。今回,当院において心大血管疾患の治療中に重症化し,集中治療室にて気管内挿管中に端坐位練習を実施した症例を経験したので,若干の知見を加えて報告する。
【方法】
対象は2015年4月から9月までに当院ICUにて理学療法を実施した患者のうち,気管内挿管中に端坐位練習を実施した3名。診療録より,主病名,合併症,処方時年齢,性別,入院から理学療法開始までの日数,気管内挿管から理学療法開始までの日数,気管内挿管から端坐位開始までの日数,ICU滞在日数,在院日数について調査した。さらに端坐位練習時の状態を把握するため,カテコラミン使用の有無,RASS,人工呼吸器設定(換気モード,PEEP,FiO2),P/F比,FSS-ICU,CAM-ICU,ICU退室時の転帰,退院時の転帰について調査した。端坐位練習開始時期については,日々のカンファレンスを通じて医師並びに看護師と確認し決定した。
【結果】
症例1:胸部大動脈瘤(人工血管置換術,術後小脳梗塞),83歳男性,入院から理学療法開始までの期間8日,気管内挿管から理学療法開始までの日数6日,気管内挿管から端坐位開始までの日数42日,ICU滞在日数76日,在院日数149日。端坐位時カテコラミン使用あり,RASS:1。CPAP:PEEP6cmH2O,FiO2:0.3,P/F比:359,FSS-ICU:3,CAM-ICU:不明,ICU退室時は気管切開,車椅子。退院時の転帰は療養型病院へ転院。術後33日目までは鼠径部よりCHDFが行われていた。
症例2:不安定狭心症(CABG術後,うっ血性心不全),74歳女性,入院から理学療法開始までの期間18日,気管内挿管から理学療法開始までの日数13日,気管内挿管から端坐位開始までの日数14日,ICU滞在日数32日,在院日数63日。端坐位時カテコラミン使用なし,RASS:1。SIMV:PEEP8cmH2O,FiO2:0.4,P/F比:237.5,FSS-ICU:6,CAM-ICU:せん妄あり,ICU退室時は車椅子。退院時の転帰は,回復期病院へ転院。
症例3:腹部大動脈瘤破裂(人工血管置換術術後,緊急手術),71歳男性,理学療法開始までの期間2日,気管内挿管から理学療法開始までの日数5日,気管内挿管から端坐位開始までの日数14日,ICU滞在日数12日,在院日数30日。端坐位時カテコラミン使用あり,RASS:1。SIMV:PEEP10cmH2O,FiO2:0.35,P/F比:236,FSS-ICU:7,CAM-ICU:せん妄あり,ICU退室時は車椅子。退院時の転帰はADL自立し自宅退院。
【結論】
今回報告した3症例は,諸家の報告に比べ日数や全身状態は比較的安定してからの介入傾向であった。当院においては,人工呼吸器管理は早期離脱が優先的に行われるため,気管内挿管中に端坐位練習をする機会は多くないが,他職種とのガイドライン等に基づく離床基準について検討する必要性が示唆された。
集中治療室(以下,ICU)において,早期離床に向けた理学療法の有効性に関する報告が散見されるが,患者の重症化により長期臥床管理となった後の症例に対する明確なプロトコールは確立されていない。今回,当院において心大血管疾患の治療中に重症化し,集中治療室にて気管内挿管中に端坐位練習を実施した症例を経験したので,若干の知見を加えて報告する。
【方法】
対象は2015年4月から9月までに当院ICUにて理学療法を実施した患者のうち,気管内挿管中に端坐位練習を実施した3名。診療録より,主病名,合併症,処方時年齢,性別,入院から理学療法開始までの日数,気管内挿管から理学療法開始までの日数,気管内挿管から端坐位開始までの日数,ICU滞在日数,在院日数について調査した。さらに端坐位練習時の状態を把握するため,カテコラミン使用の有無,RASS,人工呼吸器設定(換気モード,PEEP,FiO2),P/F比,FSS-ICU,CAM-ICU,ICU退室時の転帰,退院時の転帰について調査した。端坐位練習開始時期については,日々のカンファレンスを通じて医師並びに看護師と確認し決定した。
【結果】
症例1:胸部大動脈瘤(人工血管置換術,術後小脳梗塞),83歳男性,入院から理学療法開始までの期間8日,気管内挿管から理学療法開始までの日数6日,気管内挿管から端坐位開始までの日数42日,ICU滞在日数76日,在院日数149日。端坐位時カテコラミン使用あり,RASS:1。CPAP:PEEP6cmH2O,FiO2:0.3,P/F比:359,FSS-ICU:3,CAM-ICU:不明,ICU退室時は気管切開,車椅子。退院時の転帰は療養型病院へ転院。術後33日目までは鼠径部よりCHDFが行われていた。
症例2:不安定狭心症(CABG術後,うっ血性心不全),74歳女性,入院から理学療法開始までの期間18日,気管内挿管から理学療法開始までの日数13日,気管内挿管から端坐位開始までの日数14日,ICU滞在日数32日,在院日数63日。端坐位時カテコラミン使用なし,RASS:1。SIMV:PEEP8cmH2O,FiO2:0.4,P/F比:237.5,FSS-ICU:6,CAM-ICU:せん妄あり,ICU退室時は車椅子。退院時の転帰は,回復期病院へ転院。
症例3:腹部大動脈瘤破裂(人工血管置換術術後,緊急手術),71歳男性,理学療法開始までの期間2日,気管内挿管から理学療法開始までの日数5日,気管内挿管から端坐位開始までの日数14日,ICU滞在日数12日,在院日数30日。端坐位時カテコラミン使用あり,RASS:1。SIMV:PEEP10cmH2O,FiO2:0.35,P/F比:236,FSS-ICU:7,CAM-ICU:せん妄あり,ICU退室時は車椅子。退院時の転帰はADL自立し自宅退院。
【結論】
今回報告した3症例は,諸家の報告に比べ日数や全身状態は比較的安定してからの介入傾向であった。当院においては,人工呼吸器管理は早期離脱が優先的に行われるため,気管内挿管中に端坐位練習をする機会は多くないが,他職種とのガイドライン等に基づく離床基準について検討する必要性が示唆された。