[P-KS-02-5] 筋触診技術教育のための皮膚皮下組織筋模型の製作
キーワード:筋触診, 教育, 模型
【はじめに,目的】
我々は,筋触診技術教育を目的とした練習用模型を開発している。本研究の目的は,この模型の開発に必要なヒトの皮膚皮下組織及び筋の機械的特性と,ウレタンを用いた簡単な構造でヒトの機械的特性を模擬するための方法を明らかにすることである。
【方法】
1.皮膚皮下組織及び筋の機械的特性の計測
対象は,筋疾患を持たない21歳の男子学生2人とした。測定部位は殿部とした。引張圧縮試験機にエコー装置のプローブを取り付け,圧迫力に応じた皮膚皮下組織と筋それぞれの厚さの変化を観測した。その結果をもとに,皮膚皮下組織と筋それぞれの応力-ひずみ曲線を求めた。
2.ヒト臀部を模擬した模型の製作とその応力-ひずみ曲線の計測
模型の製作に使用した材料はウレタン,綿生地,ニット生地である。ウレタンの中に平面状に挿入する綿生地の位置と枚数,また使用するウレタン硬化剤の混合比を変化させることで,機械的特性の異なる8種類の模型(モデル1~8)を製作した。すべての模型の最上面にはニット生地を貼り付けた。皮膚皮下組織層と筋層との境界が確認できた6種類の模型について,上記と同じ機器を用いて応力-ひずみ曲線を求めた。
3.8種類の模型とヒト臀部組織との類似性の評価
評価者は,体表解剖学教育及び徒手的理学療法に従事する臨床家10人であった(平均経験年数:19.3±9.4年)。上記8種類の模型を触診してもらい,その触感が似ている順位を決めてもらった。全評価者が割り当てたそれぞれのモデルの模型の順位にSteel-Dwass法を適用し。モデル間に順位の差があるかどうか調査した。有意水準は10%とした。
【結果】
1.皮膚皮下組織及び筋の機械的特性の計測
皮膚皮下組織の応力-ひずみ曲線は強い非線形性を示し,非線形性は応力が10 kPaに達する以前から強く現れた。2人の被験者の皮膚皮下組織のひずみは,87 kPa負荷時に48%と52%に達した。筋の応力-ひずみ曲線の非線形性は皮膚皮下組織のそれよりも弱く,非線形性は応力が20 KPaに達する付近で強く現れた。2人の被験者の筋のひずみは,87 kPa負荷時に67%と45%に達した。
2.ヒト臀部を模擬した模型の製作とその応力-ひずみ曲線の計測
8種類の模型はそれぞれ異なる応力-ひずみ曲線を示した。その中で,皮膚皮下組織層に2枚,筋層に2枚の綿生地を挿入した模型(モデル7)が最もヒト臀部組織に似た応力-ひずみ曲線を示した。
3.8種類の模型とヒト臀部組織との触察感の類似性の評価
他のモデルよりヒト臀部に似ていると統計的に判断されたモデルが4種類,似ていないと判断されたモデルが3種類抽出された。評価者の印象評価を加えた結果,最もヒト臀部組織に似ていると評価された模型はモデル7であった。
【結論】
ヒト殿部の皮膚皮下組織及び筋の機械的特性を明らかにした。模型の機械的特性をヒト殿部のそれに似せるためのウレタンと綿生地の組み合わせ構造の例を決定した。
我々は,筋触診技術教育を目的とした練習用模型を開発している。本研究の目的は,この模型の開発に必要なヒトの皮膚皮下組織及び筋の機械的特性と,ウレタンを用いた簡単な構造でヒトの機械的特性を模擬するための方法を明らかにすることである。
【方法】
1.皮膚皮下組織及び筋の機械的特性の計測
対象は,筋疾患を持たない21歳の男子学生2人とした。測定部位は殿部とした。引張圧縮試験機にエコー装置のプローブを取り付け,圧迫力に応じた皮膚皮下組織と筋それぞれの厚さの変化を観測した。その結果をもとに,皮膚皮下組織と筋それぞれの応力-ひずみ曲線を求めた。
2.ヒト臀部を模擬した模型の製作とその応力-ひずみ曲線の計測
模型の製作に使用した材料はウレタン,綿生地,ニット生地である。ウレタンの中に平面状に挿入する綿生地の位置と枚数,また使用するウレタン硬化剤の混合比を変化させることで,機械的特性の異なる8種類の模型(モデル1~8)を製作した。すべての模型の最上面にはニット生地を貼り付けた。皮膚皮下組織層と筋層との境界が確認できた6種類の模型について,上記と同じ機器を用いて応力-ひずみ曲線を求めた。
3.8種類の模型とヒト臀部組織との類似性の評価
評価者は,体表解剖学教育及び徒手的理学療法に従事する臨床家10人であった(平均経験年数:19.3±9.4年)。上記8種類の模型を触診してもらい,その触感が似ている順位を決めてもらった。全評価者が割り当てたそれぞれのモデルの模型の順位にSteel-Dwass法を適用し。モデル間に順位の差があるかどうか調査した。有意水準は10%とした。
【結果】
1.皮膚皮下組織及び筋の機械的特性の計測
皮膚皮下組織の応力-ひずみ曲線は強い非線形性を示し,非線形性は応力が10 kPaに達する以前から強く現れた。2人の被験者の皮膚皮下組織のひずみは,87 kPa負荷時に48%と52%に達した。筋の応力-ひずみ曲線の非線形性は皮膚皮下組織のそれよりも弱く,非線形性は応力が20 KPaに達する付近で強く現れた。2人の被験者の筋のひずみは,87 kPa負荷時に67%と45%に達した。
2.ヒト臀部を模擬した模型の製作とその応力-ひずみ曲線の計測
8種類の模型はそれぞれ異なる応力-ひずみ曲線を示した。その中で,皮膚皮下組織層に2枚,筋層に2枚の綿生地を挿入した模型(モデル7)が最もヒト臀部組織に似た応力-ひずみ曲線を示した。
3.8種類の模型とヒト臀部組織との触察感の類似性の評価
他のモデルよりヒト臀部に似ていると統計的に判断されたモデルが4種類,似ていないと判断されたモデルが3種類抽出された。評価者の印象評価を加えた結果,最もヒト臀部組織に似ていると評価された模型はモデル7であった。
【結論】
ヒト殿部の皮膚皮下組織及び筋の機械的特性を明らかにした。模型の機械的特性をヒト殿部のそれに似せるためのウレタンと綿生地の組み合わせ構造の例を決定した。