[P-KS-11-6] 運動強度の違いによる股関節外旋筋筋活動の変化 第2報
―筋電図学的分析―
Keywords:股関節, 筋電図, 運動強度
【目的】
我々は第33回東北理学療法学術大会にて,股関節外旋運動時の運動強度の変化に伴い,運動強度に依存した大腿二頭筋の筋活動量の変化が認められたことを報告した。この大腿二頭筋の筋活動は,膝関節の固定筋として作用していると推測されたものの,それ以上言及できない結果であった。そこで本研究では,被験者数を増やし,股関節屈曲角度を0度と45度の2条件として,運動強度の違いによる股関節外旋筋筋活動の変化が屈曲角度に影響するかを検討することを目的とした。
【方法】
対象は健常男性20名(年齢22.1±2.9歳,身長172.6±6.2cm,体重66.2±7.8kg)。測定肢を利き足とし,測定肢位は股関節屈曲0度または45度,股関節内外転および内外旋0度,膝関節屈曲90度とした。はじめに徒手筋力計を固定した測定装置にて最大等尺性股関節外旋筋力を3回計測し,その平均値を最大股関節外旋筋力とした。続いて,計測した最大股関節外旋筋力の3種類(20%,40%,60%)の運動強度で筋活動を測定した。測定時間はすべて3秒間とした。なお,測定順は股関節屈曲角度,運動強度ともにランダムにて実施した。また,筋活動の指標として表面筋電図を双極誘導にて導出し,サンプリング周波数1000Hzでパーソナルコンピュータに取り込んだ。被験筋は中殿筋,大殿筋上部線維・下部線維,大腿二頭筋の3筋4部位とした。各筋の最大随意収縮(MVC)時の筋電図を,Danielsらの徒手筋力検査法normalの手技で最大抵抗を加えて計測し,各条件での筋電図データをMVCの値で基準化した。筋電図のデータ解析は,10Hzのハイパスフィルターをかけた後に全波整流し,中間2秒間の積分筋電値を算出した。統計解析は,従属変数を各筋の筋活動量,独立変数を股関節屈曲角度(2水準),運動強度(4水準)として二元配置分散分析を行い,事後検定としてHolm法を適応した。すべての統計学的有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
中殿筋では運動強度に主効果が認められ,運動強度に応じた筋活動量の有意な増加がみられた。大殿筋上部・下部線維ではそれぞれ相互作用が認められ,運動強度60%と100%において屈曲45度よりも0度で有意に増加し,屈曲0度,45度ともに運動強度20%よりも60%,100%で有意に増加していた。大腿二頭筋においては相互作用が認められ,運動強度40%,60%,100%において屈曲0度よりも45度で有意に増加した。また,屈曲0度の運動強度20%と40%以外のすべてにおいて,運動強度に応じた筋活動量の有意な増加がみられた。
【結論】
結果より,大腿二頭筋は股関節外旋筋力に応じて膝関節を固定し安定化を図るために作用している可能性が改めて示唆された。中殿筋においては股関節の固定に作用している可能性がある。また,大殿筋上部・下部線維は,角度が変化しても運動強度に依存した筋活動の変化がみられなかったため,外旋トルク産生への寄与は小さいと考えられた。
我々は第33回東北理学療法学術大会にて,股関節外旋運動時の運動強度の変化に伴い,運動強度に依存した大腿二頭筋の筋活動量の変化が認められたことを報告した。この大腿二頭筋の筋活動は,膝関節の固定筋として作用していると推測されたものの,それ以上言及できない結果であった。そこで本研究では,被験者数を増やし,股関節屈曲角度を0度と45度の2条件として,運動強度の違いによる股関節外旋筋筋活動の変化が屈曲角度に影響するかを検討することを目的とした。
【方法】
対象は健常男性20名(年齢22.1±2.9歳,身長172.6±6.2cm,体重66.2±7.8kg)。測定肢を利き足とし,測定肢位は股関節屈曲0度または45度,股関節内外転および内外旋0度,膝関節屈曲90度とした。はじめに徒手筋力計を固定した測定装置にて最大等尺性股関節外旋筋力を3回計測し,その平均値を最大股関節外旋筋力とした。続いて,計測した最大股関節外旋筋力の3種類(20%,40%,60%)の運動強度で筋活動を測定した。測定時間はすべて3秒間とした。なお,測定順は股関節屈曲角度,運動強度ともにランダムにて実施した。また,筋活動の指標として表面筋電図を双極誘導にて導出し,サンプリング周波数1000Hzでパーソナルコンピュータに取り込んだ。被験筋は中殿筋,大殿筋上部線維・下部線維,大腿二頭筋の3筋4部位とした。各筋の最大随意収縮(MVC)時の筋電図を,Danielsらの徒手筋力検査法normalの手技で最大抵抗を加えて計測し,各条件での筋電図データをMVCの値で基準化した。筋電図のデータ解析は,10Hzのハイパスフィルターをかけた後に全波整流し,中間2秒間の積分筋電値を算出した。統計解析は,従属変数を各筋の筋活動量,独立変数を股関節屈曲角度(2水準),運動強度(4水準)として二元配置分散分析を行い,事後検定としてHolm法を適応した。すべての統計学的有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
中殿筋では運動強度に主効果が認められ,運動強度に応じた筋活動量の有意な増加がみられた。大殿筋上部・下部線維ではそれぞれ相互作用が認められ,運動強度60%と100%において屈曲45度よりも0度で有意に増加し,屈曲0度,45度ともに運動強度20%よりも60%,100%で有意に増加していた。大腿二頭筋においては相互作用が認められ,運動強度40%,60%,100%において屈曲0度よりも45度で有意に増加した。また,屈曲0度の運動強度20%と40%以外のすべてにおいて,運動強度に応じた筋活動量の有意な増加がみられた。
【結論】
結果より,大腿二頭筋は股関節外旋筋力に応じて膝関節を固定し安定化を図るために作用している可能性が改めて示唆された。中殿筋においては股関節の固定に作用している可能性がある。また,大殿筋上部・下部線維は,角度が変化しても運動強度に依存した筋活動の変化がみられなかったため,外旋トルク産生への寄与は小さいと考えられた。