第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) 一般演題ポスター
基礎P12

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-KS-12-3] 四つ這いを用いたトレーニング時の側腹筋群の動態の観察

超音波画像診断装置を用いて

前沢智美1, 三津橋佳奈2, 工藤慎太郎3,4,5 (1.四軒家整形外科クリニックリハビリテーション科, 2.伊東整形外科リハビリテーション科, 3.森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科, 4.森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科, 5.森ノ宮医療大学卒後教育センター)

Keywords:四つ這い, 側腹筋群, 超音波画像診断装置

【はじめに,目的】体幹の安定化を目的として四つ這いを用いたトレーニングが行われている。腹横筋(TrA)に関して大久保ら(2009)によると四つ這い時のTrAの活動は同側上肢,反対側下肢挙上時に活動が上がると報告している。また,内腹斜筋(IO)に関しては表面筋電図を用いて,コルセット装着・未装着での四つ這い時の腹筋群の筋活動が報告されている。その中で,IOは四つ這い時,同側上肢・対側下肢挙上時の筋活動がコルセット装着時に比べて,未装着時の方が有意に筋活動は上がったと報告している。つまり,四つ這いでのTrA・IOの筋活動は同側上肢・対側下肢挙上で上昇すると考えられる。一方,浅田ら(2010)は四つ這い位における脊柱アライメントについて再現誤差があったと報告している。つまり,TrA,IOの筋活動上昇を狙う運動として四つ這いでのエクササイズは介入方法として適切か疑問が生じた。そこで,側腹筋群の筋活動を詳細に観察可能である超音波画像診断装置(US)を用い,四つ這いでの上・下肢運動時の側腹筋群の動態を検討することを本研究の目的とした。

【方法】対象は健常成人15名(男性13名,女性2名)30側の側腹筋群とし,2週間以内に腰痛のある者は除外した。測定機器にはUS(Mylab25,Esoate社製)を使用した。測定モードはBモードとし,12MHzのリニアプローブを使用した。測定部位は,臍レベルで前腋窩線との交点とし外腹斜筋(EO),IO,TrAが超音波画像上に写る位置とした。運動開始肢位は四つ這い肢位(安静位)で,同側上肢反対側下肢挙上(同側挙上),反対側上肢同側下肢挙上(反対側挙上)の2動作を最終肢位とし左右それぞれ施行した。この時,上肢挙上時は肩関節屈曲180°,下肢挙上時は股関節中間位で骨盤が回旋しないように指導した。また,安静位,同側挙上,反対側挙上の静止画を撮像し,I mage-Jを用いてEO,IO,TrAの左右それぞれの筋厚を測定した。安静位とそれぞれの筋の筋厚を比較し,変化量・変化率を算出した。統計学的手法には,各筋における安静位と同側挙上,反対側挙上の筋厚の比較に対応のある一要因分散分析と多重比較検定(Bonferroniの方法)を行い,有意水準は5%未満とした。

【結果】EOの筋厚は安静位0.67±0.22cm,同側挙上0.59±0.31cm,反対側挙上0.89±0.32cmであった。IOの筋厚は安静位0.91±0.33cm,同側挙上0.99±0.42cm,反対側挙上0.97±0.29cmであった。TrAの筋厚は安静位0.47±0.13cm,同側挙上0.68±0.20cm,反対側挙上0.54±0.24cmであった。また,EOは反対側挙上が他の2つに比べて有意差があった。IOは有意差はなかった。TrAは同側挙上が他の2つに比べて有意差があった。

【結論】本研究の結果からEO,TrAのトレーニングには四つ這いが有効であることが示唆された。また,IOは表面筋電図のみの報告であったため結果が類似しなかった可能性がある。今回,健常群であったこと,四つ這いは再現性があることから腰痛群ではUSを用いてモニタリングしながら行う必要があると考える。