[P-KS-21-4] 5秒間隔の聴覚リズム刺激と指タッピングの同調がその後に継続する運動のリズムに及ぼす影響
Keywords:聴覚刺激, タッピング, リズム
【はじめに,目的】先行研究において,聴覚リズム刺激とタッピングの同調がその後に継続する運動のリズムに及ぼす影響を,1000msおよび2000ms間隔の運動を用いて検討した。1000msでは同期および裏打ちのどちらのタッピングでリズムをとってもその後の運動が容易となり,運動リズムの正確性が向上した。2000msでは刺激とタッピングの同調の難度に個人差があり,特に裏打ちタッピングでリズムをとった後の運動には,1000msの自己ペース運動の正確性が影響する可能性を考えた。本研究は5000ms間隔の刺激とタッピングの同調がその後に継続する運動のリズムに及ぼす影響を考察した。
【方法】健常成人18名を対象とした。課題1は自己ペースタッピングで,外的刺激がない状況で5000ms間隔の連続的なタッピングを15回おこなった。課題2は同期タッピングの継続パラダイムで,15回の周期的な聴覚刺激に同期してタッピングをおこない(ペーシング相),その後は刺激がない状況でペースを保って15回のタッピングを継続した(継続相)。課題3は裏打ちタッピングの継続パラダイムで,15回の周期的な聴覚刺激のそれぞれの中間時点に同期してタッピングをおこない(ペーシング相),その後は課題2と同様にタッピングを継続した(継続相)。聴覚刺激の刺激間隔5000msとした。分析項目は連続するタッピングの開始時点の時間間隔(ITI)の平均値と変動係数(CV)とした。課題2と3のペーシング相の比較には対応のあるt検定,課題1と課題2,3の継続相の比較には反復測定一元配置分散分析とBonferroni法を用いた。
【結果】課題1のITIの平均値は4177.8±1050.8ms,CVは3.5±2.0%で,多くの対象者のITIは5000msより短かった。ペーシング相のITIの平均値は課題2が5003.4±19.9ms,課題3が5004.1±49.0ms,CVは課題2が4.4±2.0%,課題3が4.4±2.4%で,課題間に有意差はなかった。継続相のITIの平均値は課題2が5202.6±381.8ms,課題3が5342.8±511.4ms,CVは課題2が5.4±1.7%,課題3が5.9±2.7%で,課題2,3が課題1より有意に大きく,ITIは5000msに近づいたもののばらつきが大きくなった。課題2の付加的な分析として,同期タッピングの同期誤差を100msを基準値として予測的タッピングと反応的タッピングに分類すると,180個のうち52個が反応的タッピングであった。
【結論】自己ペースタッピングでは運動間隔の正確性より一貫性が優先されたと考えられる。同期タッピング中の反応的タッピングが52個であり,この数は先行研究の1000ms(0個),2000ms(13個)より多く,次に入力される刺激の予測が難しいことを示している。5000ms間隔のペーシングではリズム感が得にくいため,その後の運動リズムは変動が大きくなってしまうと考えた。5000msのようなゆっくりとしたリズムで運動をペーシングする場合は1000msおきに副次的な手がかりを挿入し,5000msごとにアクセントを付けるなどの工夫が必要であろう。
【方法】健常成人18名を対象とした。課題1は自己ペースタッピングで,外的刺激がない状況で5000ms間隔の連続的なタッピングを15回おこなった。課題2は同期タッピングの継続パラダイムで,15回の周期的な聴覚刺激に同期してタッピングをおこない(ペーシング相),その後は刺激がない状況でペースを保って15回のタッピングを継続した(継続相)。課題3は裏打ちタッピングの継続パラダイムで,15回の周期的な聴覚刺激のそれぞれの中間時点に同期してタッピングをおこない(ペーシング相),その後は課題2と同様にタッピングを継続した(継続相)。聴覚刺激の刺激間隔5000msとした。分析項目は連続するタッピングの開始時点の時間間隔(ITI)の平均値と変動係数(CV)とした。課題2と3のペーシング相の比較には対応のあるt検定,課題1と課題2,3の継続相の比較には反復測定一元配置分散分析とBonferroni法を用いた。
【結果】課題1のITIの平均値は4177.8±1050.8ms,CVは3.5±2.0%で,多くの対象者のITIは5000msより短かった。ペーシング相のITIの平均値は課題2が5003.4±19.9ms,課題3が5004.1±49.0ms,CVは課題2が4.4±2.0%,課題3が4.4±2.4%で,課題間に有意差はなかった。継続相のITIの平均値は課題2が5202.6±381.8ms,課題3が5342.8±511.4ms,CVは課題2が5.4±1.7%,課題3が5.9±2.7%で,課題2,3が課題1より有意に大きく,ITIは5000msに近づいたもののばらつきが大きくなった。課題2の付加的な分析として,同期タッピングの同期誤差を100msを基準値として予測的タッピングと反応的タッピングに分類すると,180個のうち52個が反応的タッピングであった。
【結論】自己ペースタッピングでは運動間隔の正確性より一貫性が優先されたと考えられる。同期タッピング中の反応的タッピングが52個であり,この数は先行研究の1000ms(0個),2000ms(13個)より多く,次に入力される刺激の予測が難しいことを示している。5000ms間隔のペーシングではリズム感が得にくいため,その後の運動リズムは変動が大きくなってしまうと考えた。5000msのようなゆっくりとしたリズムで運動をペーシングする場合は1000msおきに副次的な手がかりを挿入し,5000msごとにアクセントを付けるなどの工夫が必要であろう。