[P-KS-24-1] 握力計を用いた足趾把持測定の再現性と妥当性の検討
Keywords:足趾把持力, 筋活動, 信頼性
【はじめに,目的】
足趾把持力(把持力)は動的姿勢制御に関与し,高齢者の転倒因子となることから,その評価とトレーニングは重要と言える。把持力の測定には専用の測定機器(市販器)が既存するが,臨床において普及しきれていない。一方,村田らは安価な握力計を用いた把持力測定器を試作し(作成器),高い再現性を示したことから,臨床応用が可能としている。しかし作成器の妥当性について検討はなされていない。本研究の目的は,作成器で得られる把持力および筋活動量の妥当性について検討し,その有用性を検証することである。
【方法】
対象は中枢系疾患,足部の整形外科的疾患および著明な可動域制限のない高齢者9名(年齢74.5±7.1歳,身長151.1±8.7 cm,体重58.8±8.9 kg)とした。運動課題は足趾屈曲運動とした。測定肢位は端座位とし,測定側の右股,膝関節90°屈曲位,足関節底背屈中間位とした。把持力は作成器と市販器(T.K.K.5401,竹井工業社製)を用いて,各々ランダムで2回ずつ測定した。得られた把持力は体重で除して採用した(kgf/kg)。活動量の測定には表面筋電図計(Tele Myo G2,Noraxon社製)を用い,導出筋を前脛骨筋(TA),ヒラメ筋(So),母趾外転筋(AH)の3筋とした。筋活動量はいずれも各測定での筋活動ピーク値前後0.5秒の積分筋電値を最大等尺性収縮時の筋電値で正規化して採用した(%MVC)。両機器の再現性はICC(1,1),市販器に対する作成器の基準連関妥当性はSpearmanの順位相関係数で検討した。また再現性,妥当性ともにBland Altman分析にて系統誤差を確認した。機器間での把持力と筋活動量の比較はt-testで検討した。なお有意水準は5%とした。
【結果】
把持力の再現性は作成器でICC(1,1)0.88,市販器でICC(1,1)0.93と高値を示し,両機器ともに系統誤差を認めなかった。作成器の基準連関妥当性は市販器と有意な相関を認めた(r=0.77)。また両機器間に比例誤差を認めず,加算誤差を認めた。また誤差の許容範囲は-0.08~-0.04 kgf/kgであった。把持力の比較では市販器が作成器よりも高値を示した。筋活動量はTA,So,AHのすべてにおいて,機器間で差を認めなかった。
【結論】
作成器での測定は高い再現性と妥当性が得られることが示唆された。また安価な握力計を用いることで簡便に自作が可能なことから,広範に活用できるものと考える。しかし市販器は付属ベルトで足部を固定し安定性が得られることから,作成器と筋活動量に差がなくとも,強い把持力が発揮されることに留意する必要がある。
足趾把持力(把持力)は動的姿勢制御に関与し,高齢者の転倒因子となることから,その評価とトレーニングは重要と言える。把持力の測定には専用の測定機器(市販器)が既存するが,臨床において普及しきれていない。一方,村田らは安価な握力計を用いた把持力測定器を試作し(作成器),高い再現性を示したことから,臨床応用が可能としている。しかし作成器の妥当性について検討はなされていない。本研究の目的は,作成器で得られる把持力および筋活動量の妥当性について検討し,その有用性を検証することである。
【方法】
対象は中枢系疾患,足部の整形外科的疾患および著明な可動域制限のない高齢者9名(年齢74.5±7.1歳,身長151.1±8.7 cm,体重58.8±8.9 kg)とした。運動課題は足趾屈曲運動とした。測定肢位は端座位とし,測定側の右股,膝関節90°屈曲位,足関節底背屈中間位とした。把持力は作成器と市販器(T.K.K.5401,竹井工業社製)を用いて,各々ランダムで2回ずつ測定した。得られた把持力は体重で除して採用した(kgf/kg)。活動量の測定には表面筋電図計(Tele Myo G2,Noraxon社製)を用い,導出筋を前脛骨筋(TA),ヒラメ筋(So),母趾外転筋(AH)の3筋とした。筋活動量はいずれも各測定での筋活動ピーク値前後0.5秒の積分筋電値を最大等尺性収縮時の筋電値で正規化して採用した(%MVC)。両機器の再現性はICC(1,1),市販器に対する作成器の基準連関妥当性はSpearmanの順位相関係数で検討した。また再現性,妥当性ともにBland Altman分析にて系統誤差を確認した。機器間での把持力と筋活動量の比較はt-testで検討した。なお有意水準は5%とした。
【結果】
把持力の再現性は作成器でICC(1,1)0.88,市販器でICC(1,1)0.93と高値を示し,両機器ともに系統誤差を認めなかった。作成器の基準連関妥当性は市販器と有意な相関を認めた(r=0.77)。また両機器間に比例誤差を認めず,加算誤差を認めた。また誤差の許容範囲は-0.08~-0.04 kgf/kgであった。把持力の比較では市販器が作成器よりも高値を示した。筋活動量はTA,So,AHのすべてにおいて,機器間で差を認めなかった。
【結論】
作成器での測定は高い再現性と妥当性が得られることが示唆された。また安価な握力計を用いることで簡便に自作が可能なことから,広範に活用できるものと考える。しかし市販器は付属ベルトで足部を固定し安定性が得られることから,作成器と筋活動量に差がなくとも,強い把持力が発揮されることに留意する必要がある。