[P-KS-27-1] 健常者における腹部引き込み運動時の腹囲周径変化率と超音波診断装置による側腹筋群筋厚変化率の関係性
キーワード:腹横筋, 非特異的腰痛, 腹囲周径
【はじめに,目的】
慢性腰痛に対して運動療法を行うことは有効である。慢性腰痛に対する運動療法のひとつにStabilizationがあり,その中に腹部引き込み運動がある。腹部引き込み運動は腹横筋収縮の再学習をさせるときに使用される。腹部引き込み運動中に腹横筋が正しく収縮しているか評価するために超音波診断装置が使用されるが,高価で導入しにくいというデメリットがある。そこで解剖学的に収縮すると腹部をへこませるという腹横筋の機能から,どこの臨床現場でもあるメジャーを超音波診断装置の代わりとして使用できないか考えた。しかし腹部引き込み運動中の腹囲の変化と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の変化をみている先行研究はなく,不明である。そこで本研究の目的は腹部引き込み運動時の腹囲周径変化率と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚変化率の関係性を明らかにすることである。
【方法】
対象は男性7名の健常者とした(年齢:21.6±0.8歳,身長:167.9±5.0 cm,体重:58.1±3.2 kg,BMI:20.7±1.1kg/m2)。対象者には日常的に腹部引き込み運動の訓練を行っているものはいなかった。使用機器は超音波診断装置(PHILIPS社製,HD15)および,メジャー(FUTABA社製,ロータリーメジャー)を使用した。超音波診断装置のプローブ位置は中腋窩線上の肋骨下縁と腸骨稜の中線と前腋窩線との交点とした。メジャーの高さは中腋窩線上の肋骨下縁と腸骨稜の中線とした。測定肢位は背臥位で膝関節90°屈曲位とした。筋厚データは,安静時呼気終末と最大腹囲変化時呼気終末の腹囲周径の差から腹囲周径変化率100%を規定し,0~100%まで20%ごとBモードで測定した。筋厚は画面中央の上層と下層の筋膜間垂直距離とした。各筋厚変化率は変化時筋厚を安静時筋厚で除したものとした。統計は腹囲周径変化率と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の各筋厚変化率との関係性をみるためにPearsonの相関係数を用いた。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
最大腹囲変化時の各筋厚変化率は,外腹斜筋:0.92±0.08,内腹斜筋:1.11±0.14,腹横筋:1.61±0.24であった。腹囲周径変化率と各筋厚変化率との相関係数は外腹斜筋:-0.43(p=0.005),内腹斜筋:0.31(p=0.045),腹横筋:0.63(p=0.000)であった。
【結論】
本研究の結果から,腹囲周径の変化と筋厚の変化の関係性は内腹斜筋,腹横筋では有意な正の相関,また外腹斜筋では有意な負の相関が得られた。よって腹囲周径測定が超音波診断装置に代わる腹横筋の評価方法になり得る可能性が示唆された。
慢性腰痛に対して運動療法を行うことは有効である。慢性腰痛に対する運動療法のひとつにStabilizationがあり,その中に腹部引き込み運動がある。腹部引き込み運動は腹横筋収縮の再学習をさせるときに使用される。腹部引き込み運動中に腹横筋が正しく収縮しているか評価するために超音波診断装置が使用されるが,高価で導入しにくいというデメリットがある。そこで解剖学的に収縮すると腹部をへこませるという腹横筋の機能から,どこの臨床現場でもあるメジャーを超音波診断装置の代わりとして使用できないか考えた。しかし腹部引き込み運動中の腹囲の変化と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の変化をみている先行研究はなく,不明である。そこで本研究の目的は腹部引き込み運動時の腹囲周径変化率と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚変化率の関係性を明らかにすることである。
【方法】
対象は男性7名の健常者とした(年齢:21.6±0.8歳,身長:167.9±5.0 cm,体重:58.1±3.2 kg,BMI:20.7±1.1kg/m2)。対象者には日常的に腹部引き込み運動の訓練を行っているものはいなかった。使用機器は超音波診断装置(PHILIPS社製,HD15)および,メジャー(FUTABA社製,ロータリーメジャー)を使用した。超音波診断装置のプローブ位置は中腋窩線上の肋骨下縁と腸骨稜の中線と前腋窩線との交点とした。メジャーの高さは中腋窩線上の肋骨下縁と腸骨稜の中線とした。測定肢位は背臥位で膝関節90°屈曲位とした。筋厚データは,安静時呼気終末と最大腹囲変化時呼気終末の腹囲周径の差から腹囲周径変化率100%を規定し,0~100%まで20%ごとBモードで測定した。筋厚は画面中央の上層と下層の筋膜間垂直距離とした。各筋厚変化率は変化時筋厚を安静時筋厚で除したものとした。統計は腹囲周径変化率と外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の各筋厚変化率との関係性をみるためにPearsonの相関係数を用いた。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
最大腹囲変化時の各筋厚変化率は,外腹斜筋:0.92±0.08,内腹斜筋:1.11±0.14,腹横筋:1.61±0.24であった。腹囲周径変化率と各筋厚変化率との相関係数は外腹斜筋:-0.43(p=0.005),内腹斜筋:0.31(p=0.045),腹横筋:0.63(p=0.000)であった。
【結論】
本研究の結果から,腹囲周径の変化と筋厚の変化の関係性は内腹斜筋,腹横筋では有意な正の相関,また外腹斜筋では有意な負の相関が得られた。よって腹囲周径測定が超音波診断装置に代わる腹横筋の評価方法になり得る可能性が示唆された。