[P-KS-27-6] 超音波エラストグラフィを用いた側腹筋の筋硬度における検者内信頼性
キーワード:筋硬度, 側腹筋, 信頼性
【はじめに,目的】
超音波エラストグラフィ(ultrasound elastography:以下UE)は,筋組織を同定し筋硬度を個別的に測定できる方法として,筋緊張や筋活動,介入効果などの定量的評価に活用されてきている。近年は,肩関節外旋筋,多裂筋などを対象にUEによる筋硬度測定が行われ,その信頼性や有用性が報告されている。しかし,側腹筋を対象とした報告はなく,筋硬度測定の信頼性は明らかでない。そこで,本研究ではUEを用いて健常者を対象に外腹斜筋,内腹斜筋の筋硬度を測定し,検者内信頼性の検討を行った。
【方法】
対象は,下肢・体幹に整形外科的疾患の既往歴がない健常成人女性10名とした。対象者の平均年齢は22±1歳,身長は157.9±6.1cm,体重は49.5±5.2kgだった。除外基準は,既往歴に呼吸循環疾患,神経疾患のある者とした。UE(日立アロカメディカル,prosoundα7)を用いて外腹斜筋と内腹斜筋の筋硬度を測定した。測定部位を前腋窩線上における肋骨辺縁と腸骨稜の中央部と設定し,皮膚上にリニアを当て1~2Hzの微小圧を加えた。筋硬度の指標として脂肪組織を基準とした外腹斜筋と内腹斜筋のStrain ratio(以下SR)を算出し,筋硬度の指標として用いた。測定肢位はベッド上背臥位と一側下肢挙上位(股・膝関節90°屈曲位)の2条件とした。どちらも安静吸気時に息止めを行ってもらい測定した。一側下肢挙上位ではあらかじめベッド上に台を置き,その上に一側下肢を乗せ,その位置から股・膝関節90°屈曲位まで挙上してもらった。その後検者が息止めの指示をした後に測定を行った。測定は3回行い,平均値を用いた。測定は1名の理学療法士で行い,1被検者に対し2回の測定を実施した。測定は同日に行い,1時間後に再測定を実施した。安静背臥位および一側下肢挙上位におけるSRの検者間信頼性を検証するために,級内相関係数ICC(1,1)を算出した。統計処理はIBM SPSS Statistics 22.0を使用した。
【結果】
外腹斜筋におけるSRのICC(1,1)は,安静背臥位0.95,一側下肢挙上位0.46であった。内腹斜筋におけるSRのICC(1,1)は安静背臥位0.51,一側下肢挙上位0.56であった。
【結論】
安静背臥位における外腹斜筋のSR測定では検者内信頼性が保たれていたことがわかった。しかし,一側下肢挙上位や内腹斜筋では検者内信頼性が保たれなかったことから,腹筋群を緊張させた状態や外腹斜筋より深層の筋ではSR測定の信頼性を保てない可能性がある。SRを用いた側腹筋の筋硬度測定の信頼性を保つには表層筋に限定する必要があるかもしれない。
超音波エラストグラフィ(ultrasound elastography:以下UE)は,筋組織を同定し筋硬度を個別的に測定できる方法として,筋緊張や筋活動,介入効果などの定量的評価に活用されてきている。近年は,肩関節外旋筋,多裂筋などを対象にUEによる筋硬度測定が行われ,その信頼性や有用性が報告されている。しかし,側腹筋を対象とした報告はなく,筋硬度測定の信頼性は明らかでない。そこで,本研究ではUEを用いて健常者を対象に外腹斜筋,内腹斜筋の筋硬度を測定し,検者内信頼性の検討を行った。
【方法】
対象は,下肢・体幹に整形外科的疾患の既往歴がない健常成人女性10名とした。対象者の平均年齢は22±1歳,身長は157.9±6.1cm,体重は49.5±5.2kgだった。除外基準は,既往歴に呼吸循環疾患,神経疾患のある者とした。UE(日立アロカメディカル,prosoundα7)を用いて外腹斜筋と内腹斜筋の筋硬度を測定した。測定部位を前腋窩線上における肋骨辺縁と腸骨稜の中央部と設定し,皮膚上にリニアを当て1~2Hzの微小圧を加えた。筋硬度の指標として脂肪組織を基準とした外腹斜筋と内腹斜筋のStrain ratio(以下SR)を算出し,筋硬度の指標として用いた。測定肢位はベッド上背臥位と一側下肢挙上位(股・膝関節90°屈曲位)の2条件とした。どちらも安静吸気時に息止めを行ってもらい測定した。一側下肢挙上位ではあらかじめベッド上に台を置き,その上に一側下肢を乗せ,その位置から股・膝関節90°屈曲位まで挙上してもらった。その後検者が息止めの指示をした後に測定を行った。測定は3回行い,平均値を用いた。測定は1名の理学療法士で行い,1被検者に対し2回の測定を実施した。測定は同日に行い,1時間後に再測定を実施した。安静背臥位および一側下肢挙上位におけるSRの検者間信頼性を検証するために,級内相関係数ICC(1,1)を算出した。統計処理はIBM SPSS Statistics 22.0を使用した。
【結果】
外腹斜筋におけるSRのICC(1,1)は,安静背臥位0.95,一側下肢挙上位0.46であった。内腹斜筋におけるSRのICC(1,1)は安静背臥位0.51,一側下肢挙上位0.56であった。
【結論】
安静背臥位における外腹斜筋のSR測定では検者内信頼性が保たれていたことがわかった。しかし,一側下肢挙上位や内腹斜筋では検者内信頼性が保たれなかったことから,腹筋群を緊張させた状態や外腹斜筋より深層の筋ではSR測定の信頼性を保てない可能性がある。SRを用いた側腹筋の筋硬度測定の信頼性を保つには表層筋に限定する必要があるかもしれない。