[P-KS-28-3] 歩行中のスマートフォン使用が歩行動作に及ぼす影響
Keywords:二重課題, スマートフォン, 歩行能力
【はじめに,目的】
近年,日本でのスマートフォン普及率とスマートフォンを操作しながら歩く「ながらスマホ」による事故件数は年々増加傾向にある。更に,二重課題時の歩行能力と転倒リスク,注意需要量の関連性が報告されている事から,二重課題歩行は危険性が高い可能性が示唆されているが,歩行動作に与える影響は明確ではない。また,認知課題が歩行動作に与える影響は多く報告されているが,スマートフォン使用の運動課題との関連性の報告は少ない。よって今回,「ながらスマホ」が歩行動作に与える影響を明確にすることを研究目的とした。
【方法】
対象者は健常若年成人6名(21.1±0.6歳)とした。被験者には,快適歩行・最速歩行に加え,歩行中に黙読・文字入力・検索課題を与えた全8条件の課題をランダムに実施した。歩行開始後と終了前の3mは助走路とし,助走路以外の20mを測定区間とした。測定指標は,歩幅・歩隔・歩行速度・側方偏位量,歩幅,歩隔,側方偏位量の変動係数,歩行速度のDual-Task costsとした。統計処理にはspss ver.19を使用し,各歩行速度条件において条件を要因とした反復測定一元配置の分散分析を行った。主効果が認められた場合,多重比較検定を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
快適歩行における歩幅は,歩行で68.1±6.8cm,黙読課題で58.5±8.3cmとなり,両条件間に有意差が認められた。最速歩行における歩幅は,歩行で82.0±8.4cm,黙読課題で72.9±5.9cm,入力課題で74.2±6.5cm,検索課題で73.4±6.0cmとなり,歩行のみと他条件間で有意差が認められた。快適歩行における歩隔は,歩行で6.8±3.3cm,黙読課題で8.7±2.9cmとなり,両条件間で有意差が認められた。快適歩行速度は,歩行で1.2±0.1m/s,黙読課題で1.0±0.2m/sとなり,両条件間で有意差が認められた。最速歩行速度は,歩行で1.9.±0.2m/s,黙読課題で1.7±0.2m/s,入力課題で1.6±0.1m/s,検索課題で1.7±0.2m/sとなり,歩行のみと他条件間で有意差が認められた。側方偏位量とDual-Task costsにおいては有意差が認められなかった。
【結論】
本研究では,最速歩行において歩行のみと他条件間で有意な歩幅の減少と歩行速度の遅延が認められたことから,歩行への注意が課題に分散されたと考えられる。しかし,歩隔や側方偏位量への影響は認められなかったことから,左右への安定性や動作パターンへの影響は少ないことが示唆された。また,快適歩行においては,歩行のみの条件と黙読課題を付加した条件間でのみ有意な歩幅の減少と歩隔の増大,歩行速度の遅延が認められた。歩行速度の違いによる歩行動作への影響が異なったのは,快適歩行が最速歩行に比べて難易度が低く,歩行に必要な注意量が少ない為,課題遂行による影響が少ないと考えた。しかし,快適歩行+黙読のみ歩幅と歩隔,歩行速度に有意差が生じたことから,各課題の特性による違いが影響していることが考えられた。
近年,日本でのスマートフォン普及率とスマートフォンを操作しながら歩く「ながらスマホ」による事故件数は年々増加傾向にある。更に,二重課題時の歩行能力と転倒リスク,注意需要量の関連性が報告されている事から,二重課題歩行は危険性が高い可能性が示唆されているが,歩行動作に与える影響は明確ではない。また,認知課題が歩行動作に与える影響は多く報告されているが,スマートフォン使用の運動課題との関連性の報告は少ない。よって今回,「ながらスマホ」が歩行動作に与える影響を明確にすることを研究目的とした。
【方法】
対象者は健常若年成人6名(21.1±0.6歳)とした。被験者には,快適歩行・最速歩行に加え,歩行中に黙読・文字入力・検索課題を与えた全8条件の課題をランダムに実施した。歩行開始後と終了前の3mは助走路とし,助走路以外の20mを測定区間とした。測定指標は,歩幅・歩隔・歩行速度・側方偏位量,歩幅,歩隔,側方偏位量の変動係数,歩行速度のDual-Task costsとした。統計処理にはspss ver.19を使用し,各歩行速度条件において条件を要因とした反復測定一元配置の分散分析を行った。主効果が認められた場合,多重比較検定を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
快適歩行における歩幅は,歩行で68.1±6.8cm,黙読課題で58.5±8.3cmとなり,両条件間に有意差が認められた。最速歩行における歩幅は,歩行で82.0±8.4cm,黙読課題で72.9±5.9cm,入力課題で74.2±6.5cm,検索課題で73.4±6.0cmとなり,歩行のみと他条件間で有意差が認められた。快適歩行における歩隔は,歩行で6.8±3.3cm,黙読課題で8.7±2.9cmとなり,両条件間で有意差が認められた。快適歩行速度は,歩行で1.2±0.1m/s,黙読課題で1.0±0.2m/sとなり,両条件間で有意差が認められた。最速歩行速度は,歩行で1.9.±0.2m/s,黙読課題で1.7±0.2m/s,入力課題で1.6±0.1m/s,検索課題で1.7±0.2m/sとなり,歩行のみと他条件間で有意差が認められた。側方偏位量とDual-Task costsにおいては有意差が認められなかった。
【結論】
本研究では,最速歩行において歩行のみと他条件間で有意な歩幅の減少と歩行速度の遅延が認められたことから,歩行への注意が課題に分散されたと考えられる。しかし,歩隔や側方偏位量への影響は認められなかったことから,左右への安定性や動作パターンへの影響は少ないことが示唆された。また,快適歩行においては,歩行のみの条件と黙読課題を付加した条件間でのみ有意な歩幅の減少と歩隔の増大,歩行速度の遅延が認められた。歩行速度の違いによる歩行動作への影響が異なったのは,快適歩行が最速歩行に比べて難易度が低く,歩行に必要な注意量が少ない為,課題遂行による影響が少ないと考えた。しかし,快適歩行+黙読のみ歩幅と歩隔,歩行速度に有意差が生じたことから,各課題の特性による違いが影響していることが考えられた。