[P-KS-30-4] 一過性の有酸素運動における運動セルフエフィカシーに影響を与える要因について
キーワード:運動セルフエフィカシー, 運動感情, 疲労
【はじめに,目的】
糖尿病患者における運動の利益は数多くある。一方で糖尿病患者の運動アドヒアランスやコンプライアンスが低いことが課題として挙げられており,運動効果だけでなく糖尿病患者の運動導入の仕方や運動の習慣化を考慮しなければならない。運動アドヒアランスに影響を与えているものとして運動セルフエフィカシーが考えられているが,近年新たな要因として運動の好き嫌い(運動感情)も考えられている。
そこで本研究の目的は,一過性の有酸素運動における運動前後それぞれの運動セルフエフィカシーに影響を与える要因を明らかにすることとした。
【方法】
本研究は,整形外科疾患,内部疾患がない非喫煙者の健常成人16名(年齢:21.9歳,性別 男性:10名 女性:6名,BMI:21.2±2.71kg/m2)を対象に実施した。測定は2日間必要とし,1日目に運動負荷試験を実施し,2日目に精神的ストレス課題である2 back testを行った後に最大酸素摂取量70%での自転車運動を30分実施した。評価項目は,運動感情,運動セルフエフィカシー(ESE),VO2max,Borg scale,運動固有の感情の評価としてWaseda Affect scale of Exercise and Durable Activity(WASEDA)を用いた。統計学的検討では運動前後のESEと関係がある要因をPearsonの積率相関分析を用いて明らかにし,さらに運動前後それぞれのESEに影響を与える要因を重回帰分析を用いて明らかにした。それぞれ有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
運動前ESEと関係が認めたのは,運動感情,VO2max,運動前Borg scale,運動後ESE,Borg scale,WASEDA高揚感・否定的感情であった(p<0.05)。運動後ESEと関係を認めたのは,VO2max,運動前ESE,運動後WASEDA高揚感,運動前WASEDA否定的感情,運動後WASEDA否定的感情,運動前Borg scale,運動後Borg scaleであった(p<0.05)。重回帰分析の結果,運動前ESEに影響を与える要因として,運動感情のみが抽出された(p<0.05)。また運動後ESEに影響を与える要因としては,運動前ESEが抽出された(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,運動感情はESEに影響を与える可能性があることが明らかとなった。運動の好き嫌いはセロトニンの分泌に関わる遺伝子や脳活動に差があり,この差によってESEが変化してくる可能性がある。ESEは運動アドヒアランスを予測するものであり,運動感情を考慮することでESEが向上し,最終的に運動アドヒアランスが向上する可能性があると考えられる。以上のことからESEの向上を促すためには,身体的要因だけではなく運動感情のような精神的要因も考慮し,運動参加者が運動に対して肯定的な感情を持てるような対策が重要である。
糖尿病患者における運動の利益は数多くある。一方で糖尿病患者の運動アドヒアランスやコンプライアンスが低いことが課題として挙げられており,運動効果だけでなく糖尿病患者の運動導入の仕方や運動の習慣化を考慮しなければならない。運動アドヒアランスに影響を与えているものとして運動セルフエフィカシーが考えられているが,近年新たな要因として運動の好き嫌い(運動感情)も考えられている。
そこで本研究の目的は,一過性の有酸素運動における運動前後それぞれの運動セルフエフィカシーに影響を与える要因を明らかにすることとした。
【方法】
本研究は,整形外科疾患,内部疾患がない非喫煙者の健常成人16名(年齢:21.9歳,性別 男性:10名 女性:6名,BMI:21.2±2.71kg/m2)を対象に実施した。測定は2日間必要とし,1日目に運動負荷試験を実施し,2日目に精神的ストレス課題である2 back testを行った後に最大酸素摂取量70%での自転車運動を30分実施した。評価項目は,運動感情,運動セルフエフィカシー(ESE),VO2max,Borg scale,運動固有の感情の評価としてWaseda Affect scale of Exercise and Durable Activity(WASEDA)を用いた。統計学的検討では運動前後のESEと関係がある要因をPearsonの積率相関分析を用いて明らかにし,さらに運動前後それぞれのESEに影響を与える要因を重回帰分析を用いて明らかにした。それぞれ有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
運動前ESEと関係が認めたのは,運動感情,VO2max,運動前Borg scale,運動後ESE,Borg scale,WASEDA高揚感・否定的感情であった(p<0.05)。運動後ESEと関係を認めたのは,VO2max,運動前ESE,運動後WASEDA高揚感,運動前WASEDA否定的感情,運動後WASEDA否定的感情,運動前Borg scale,運動後Borg scaleであった(p<0.05)。重回帰分析の結果,運動前ESEに影響を与える要因として,運動感情のみが抽出された(p<0.05)。また運動後ESEに影響を与える要因としては,運動前ESEが抽出された(p<0.05)。
【結論】
本研究の結果から,運動感情はESEに影響を与える可能性があることが明らかとなった。運動の好き嫌いはセロトニンの分泌に関わる遺伝子や脳活動に差があり,この差によってESEが変化してくる可能性がある。ESEは運動アドヒアランスを予測するものであり,運動感情を考慮することでESEが向上し,最終的に運動アドヒアランスが向上する可能性があると考えられる。以上のことからESEの向上を促すためには,身体的要因だけではなく運動感情のような精神的要因も考慮し,運動参加者が運動に対して肯定的な感情を持てるような対策が重要である。