[P-KS-30-5] 運動イメージがF波に与える影響
ピンチ力・指の感覚・筋収縮イメージによる考察
キーワード:運動イメージ, F波, 対立運動
【はじめに,目的】
本研究は,運動イメージ時の特徴を参考に運動イメージ方法を明確にすることで,より脊髄神経機能を興奮させる運動イメージの方法が確立できると考え,先行研究に基づき3つのイメージを設定し,脊髄神経機能の興奮性に影響があるかF波を用いて測定,安静時とイメージ中,また,それぞれどの方法に効果があるか比較することを目的とする。
【方法】
本学校に在籍し,上肢または手指に神経疾患や運動器疾患のない健常成人43名(男子:21名,女子:22名)とした。また,①筋収縮・指の感覚イメージ群(10名)②ピンチ力・指の感覚イメージ群(10名)③ピンチ力・筋収縮イメージ群(10名)と対照群(13名)に無作為に分けた。全員,左正中神経を刺激し左母指球筋で導出した。
実験は,すべて安静座位で左肘関節屈曲位にし,台に左前腕をのせ,計測時は,左前腕回外位で計測を行った。安静時F波を測定する。次に,ピンチメーターを用いて左示指と母指で対立運動の10秒間の最大収縮を計測する。その後,①筋収縮・指の感覚イメージ群(以下①の群)②ピンチ力・指の感覚イメージ群(以下②の群)③ピンチ力・筋収縮イメージ群(以下③の群)と対照群において左示指と母指の対立運動を最大収縮の50%で練習を行う。練習方法は,①の群は,ピンチ力を口頭で伝え行う。②の群は,ピンチ力・指の感覚に意識して練習を行う。③の群は,ピンチ力・筋収縮を意識して練習を行う。対照群は,ピンチ力・指の感覚・筋収縮を意識しながら練習を行う。練習内容は,10秒間ピンチメーターで左示指と母指の対立運動を最大収縮の50%で行い,5秒休息を1セットとし,4セット行う。練習後5分間の休息を取り,練習時の対立運動を,練習時にそれぞれ意識した部分に意識を置きイメージを行ってもらう。同時に,イメージ想起中のF波を測定する。
F波刺激条件は,刺激頻度0.5Hz,刺激持続時間0.2ms,刺激強度はM波最大上刺激(M波最大刺激の1.2倍の強度)とし,比較項目は,F波出現頻度,振幅F/M比,F波潜時とした。
【結果】
F波出現頻度と振幅F/M比において,①・②・③の群で安静時とイメージ中,対照群と各群,群間の比較で有意差はなかった。F波潜時においては,②の群で安静時とイメージ中の比較において有意に減少した(p=0.008)。その他,F波潜時に有意差はなかった。
【結論】
F波出現頻度や振幅F/M比が増加しなかった理由は,イメージの方法に関係あると考え,
F波潜時が有意に減少する結果から,運動イメージにより,有意に早く神経を刺激したと考える。他に,上位運動ニューロンの障害で脊髄運動ニューロン興奮性の亢進がされ,F波出現頻度や振幅の増加が起きる。今回,F波出現頻度や振幅F/M比の増加はしなかった。F波潜時の減少が起きた理由として,F波伝導経路中の前角細胞で,運動イメージにより中枢からの抑制が減少し,F波潜時が減少したと考える。
運動イメージにおいて,効果的なイメージ方法を検討することでリハビリが行えないときでも末梢神経まで活動を促すことができると考える。
本研究は,運動イメージ時の特徴を参考に運動イメージ方法を明確にすることで,より脊髄神経機能を興奮させる運動イメージの方法が確立できると考え,先行研究に基づき3つのイメージを設定し,脊髄神経機能の興奮性に影響があるかF波を用いて測定,安静時とイメージ中,また,それぞれどの方法に効果があるか比較することを目的とする。
【方法】
本学校に在籍し,上肢または手指に神経疾患や運動器疾患のない健常成人43名(男子:21名,女子:22名)とした。また,①筋収縮・指の感覚イメージ群(10名)②ピンチ力・指の感覚イメージ群(10名)③ピンチ力・筋収縮イメージ群(10名)と対照群(13名)に無作為に分けた。全員,左正中神経を刺激し左母指球筋で導出した。
実験は,すべて安静座位で左肘関節屈曲位にし,台に左前腕をのせ,計測時は,左前腕回外位で計測を行った。安静時F波を測定する。次に,ピンチメーターを用いて左示指と母指で対立運動の10秒間の最大収縮を計測する。その後,①筋収縮・指の感覚イメージ群(以下①の群)②ピンチ力・指の感覚イメージ群(以下②の群)③ピンチ力・筋収縮イメージ群(以下③の群)と対照群において左示指と母指の対立運動を最大収縮の50%で練習を行う。練習方法は,①の群は,ピンチ力を口頭で伝え行う。②の群は,ピンチ力・指の感覚に意識して練習を行う。③の群は,ピンチ力・筋収縮を意識して練習を行う。対照群は,ピンチ力・指の感覚・筋収縮を意識しながら練習を行う。練習内容は,10秒間ピンチメーターで左示指と母指の対立運動を最大収縮の50%で行い,5秒休息を1セットとし,4セット行う。練習後5分間の休息を取り,練習時の対立運動を,練習時にそれぞれ意識した部分に意識を置きイメージを行ってもらう。同時に,イメージ想起中のF波を測定する。
F波刺激条件は,刺激頻度0.5Hz,刺激持続時間0.2ms,刺激強度はM波最大上刺激(M波最大刺激の1.2倍の強度)とし,比較項目は,F波出現頻度,振幅F/M比,F波潜時とした。
【結果】
F波出現頻度と振幅F/M比において,①・②・③の群で安静時とイメージ中,対照群と各群,群間の比較で有意差はなかった。F波潜時においては,②の群で安静時とイメージ中の比較において有意に減少した(p=0.008)。その他,F波潜時に有意差はなかった。
【結論】
F波出現頻度や振幅F/M比が増加しなかった理由は,イメージの方法に関係あると考え,
F波潜時が有意に減少する結果から,運動イメージにより,有意に早く神経を刺激したと考える。他に,上位運動ニューロンの障害で脊髄運動ニューロン興奮性の亢進がされ,F波出現頻度や振幅の増加が起きる。今回,F波出現頻度や振幅F/M比の増加はしなかった。F波潜時の減少が起きた理由として,F波伝導経路中の前角細胞で,運動イメージにより中枢からの抑制が減少し,F波潜時が減少したと考える。
運動イメージにおいて,効果的なイメージ方法を検討することでリハビリが行えないときでも末梢神経まで活動を促すことができると考える。