[P-KS-33-6] 廃用性筋萎縮誘発と再荷重のプロセスにおける炎症性サイトカインや酸化ストレスマーカーの動態
キーワード:再荷重, 炎症性サイトカイン, 酸化ストレス
【はじめに,目的】長期間にわたる不動は骨量低下や筋萎縮の原因となる。その予防策として,早期より理学療法介入が必要とされている。しかし,萎縮筋に対する過負荷な機械的ストレスが微細損傷を発生し筋萎縮を増悪させるという問題点もある。そのため,臨床でも筋力増強に繋がらない症例も多く経験する。骨格筋の筋萎縮に関与する因子として,炎症性サイトカインや酸化ストレスが指摘されている。例えば,運動時や運動終了後数時間を経過すると,IL-2やTNF-αなどのサイトカインが上昇し,好中球をプライミングして活性酸素を放出し,微細筋損傷を誘発して筋萎縮が促進されると報告されている。しかし,骨格筋に対する筋萎縮のメカニズムは,いまだ全容は解明されていない。特に,関節拘縮を伴った廃用性筋萎縮に再荷重を実施した際の微細筋損傷に着目し,炎症性サイトカインや酸化ストレスがどのような影響を及ぼすのか検討した報告はほとんど無い。そこで,今回,廃用性筋萎縮誘発と再荷重のプロセスにおける炎症性サイトカインや酸化ストレスマーカーの動態について検討した。
【方法】10週齢のC57BL6系雄マウスを,コントロール群(以下,Co群),ギプス固定継続群(以下,NL群),ギプス固定後再荷重群(以下,RL群)に分類した。ギプス固定は右側後肢を,膝関節伸展位,足関節底屈位にて2週間固定を実施した。マウスは前肢と一側後肢でケージ内を移動でき,餌と水を自由に摂取できるようにした。実験期間の終了後に採血し,またヒラメ筋を摘出した。摘出筋は,筋湿重量計測後に凍結横断切片を作成し,ヘマトキシリン-エオジン染色にて観察するとともに筋線維径分布について測定した。また,血液サンプルより血清を得た後,炎症性サイトカインであるIL-1β,IL-2やTNF-αの血中濃度,酸化ストレスマーカーであるヒドロペルオキシド含有量を定量化した。
【結果】各群の平均筋線維径分布は,Co群と比較して,NL群,RL群とも低値を示していた。炎症性サイトカインとして,IL-1βは,NL群,RL群,Co群の順で高値を示した。また,IL-2,TNF-αは,NL群が高値のものの,Co群とRL群では同値を示していた。ヒドロペルオキシドは炎症性サイトカインと同様の変動を示した。
【結論】平均筋線維径分布より,短時間の再荷重では筋萎縮を改善するまでは認められなかった。一方,IL-1β,IL-2やTNF-α,および,ヒドロペルオキシドの発現の変動は,廃用性筋萎縮誘発と再荷重のプロセスにおける筋萎縮や微細筋損傷の病態を反映している可能性が示唆された。さらに詳細な病態の解明に取り組んでいきたい。
【方法】10週齢のC57BL6系雄マウスを,コントロール群(以下,Co群),ギプス固定継続群(以下,NL群),ギプス固定後再荷重群(以下,RL群)に分類した。ギプス固定は右側後肢を,膝関節伸展位,足関節底屈位にて2週間固定を実施した。マウスは前肢と一側後肢でケージ内を移動でき,餌と水を自由に摂取できるようにした。実験期間の終了後に採血し,またヒラメ筋を摘出した。摘出筋は,筋湿重量計測後に凍結横断切片を作成し,ヘマトキシリン-エオジン染色にて観察するとともに筋線維径分布について測定した。また,血液サンプルより血清を得た後,炎症性サイトカインであるIL-1β,IL-2やTNF-αの血中濃度,酸化ストレスマーカーであるヒドロペルオキシド含有量を定量化した。
【結果】各群の平均筋線維径分布は,Co群と比較して,NL群,RL群とも低値を示していた。炎症性サイトカインとして,IL-1βは,NL群,RL群,Co群の順で高値を示した。また,IL-2,TNF-αは,NL群が高値のものの,Co群とRL群では同値を示していた。ヒドロペルオキシドは炎症性サイトカインと同様の変動を示した。
【結論】平均筋線維径分布より,短時間の再荷重では筋萎縮を改善するまでは認められなかった。一方,IL-1β,IL-2やTNF-α,および,ヒドロペルオキシドの発現の変動は,廃用性筋萎縮誘発と再荷重のプロセスにおける筋萎縮や微細筋損傷の病態を反映している可能性が示唆された。さらに詳細な病態の解明に取り組んでいきたい。