[P-KS-34-4] 生体3次元における肩関節角度変化での烏口上腕靭帯・関節上腕靭帯の伸張位の検討
キーワード:烏口上腕靭帯, 関節上腕靭帯, 生体3次元
【はじめに,目的】
本研究の目的は,MRIを用いて肩関節の肢位によって烏口上腕靱帯(Coracohumeral ligament;CHL)のposterior band(PCHL)とanterior band(ACHL),加えて関節上腕靱帯(Glenohumeral ligament)の上関節上腕靭帯(SGHL),中関節上腕靭帯(MGHL),下関節上腕靭帯の前方繊維(AIGHL)の動態に伴う想定される長さを評価し,より伸張される肢位を検討することである。
【方法】
被験者は肩関節周囲の痛みや既往歴のない健常成人10人とした。その内訳は,男性7名,女性3名,年齢は18.5±4.6歳(14-31歳)であった。すべて右肩,利き手側であった。
MRI撮像は,ガントリー径の大きなMRI装置を用いて行った。撮像条件は,3D-FLASH法(repetition time:12 ms,echo time:5.8 ms,0.8 mm-slice thickness,flip angle:20°,field of view:240×240 mm,450×512 matrix)を用いた。撮像時,被験者はループコイルを右肩に装着し,撮像台の上に木製板を置き肩甲骨が浮遊した背臥位となった。更に,撮像台の上に木製の板を重ね,通常の撮像時よりも体幹の高さを9cm高くし水平伸展位での撮像を可能にした。撮像は,肩関節最大外旋位かつ最大伸展位を維持した状態で,外転0°,30°,60°,90°,120°,150°,最大外転位の7つの肢位で行った。
研究は大きく以下の5つの過程に分けられる。①3次元MRI撮像による画像データの収集,②segmentation法による3次元表面モデルの作成,③voxel-based registration法による移動情報の解析,④肩甲上腕関節の動態解析,⑤各々の外転肢位での3次元的な靱帯の想定される長さの計測である。今回3次元骨モデル上での靱帯の3次元的な起始部,停止部を求めるために,Yang(2010)の新鮮遺体での靱帯の起始停止部を3D表面モデル上に反映させる方法を用いた。
個々の靱帯の外転角度変化に対して統計学的解析を行なった。一元配置分散分析を行った後に,Turkey-Kramer法を用いて多重比較を行った。有意水準はいずれもp<0.05とした。
【結果】
外転変化に伴う靭帯の想定される長さを計測した。最大値の平均は,外転0度でPCHLは51.4±3.6mm,ACHLは50.9±2.5mm,SGHLは44.8±3.9であった。MGHLは外転30度で53.0±5.5mm,AIGHLは外転120度で56.4±5.0mmであった。PCHLは最大値の0度から最小値の150度まで平均26.0±3.7mm漸減し,その後最大外転位で平均5.7±3.7mm増加した。ACHLは最大値の0度から最小値の最大外転位まで平均31.9±2.2mm漸減し,SGHLは平均34.4±4.6mm漸減した。MGHLは最大値である30度から最大外転位まで平均29.2±7.7mm漸減した。AIGHLは外転120度で最大値を取り,最小値の0度から最大値120度までは平均15.0±4.2mm漸増した。
【結論】
Yangらは同様の方法にて,外転角度変化で靱帯の想定される長さを計測している。MGHLとAIGHLについては同様の結果が得られたが,PCHLとACHLとSGHLは如何なる外転角度よりも下垂位での最大伸展・外旋位でより伸張された。
本研究の目的は,MRIを用いて肩関節の肢位によって烏口上腕靱帯(Coracohumeral ligament;CHL)のposterior band(PCHL)とanterior band(ACHL),加えて関節上腕靱帯(Glenohumeral ligament)の上関節上腕靭帯(SGHL),中関節上腕靭帯(MGHL),下関節上腕靭帯の前方繊維(AIGHL)の動態に伴う想定される長さを評価し,より伸張される肢位を検討することである。
【方法】
被験者は肩関節周囲の痛みや既往歴のない健常成人10人とした。その内訳は,男性7名,女性3名,年齢は18.5±4.6歳(14-31歳)であった。すべて右肩,利き手側であった。
MRI撮像は,ガントリー径の大きなMRI装置を用いて行った。撮像条件は,3D-FLASH法(repetition time:12 ms,echo time:5.8 ms,0.8 mm-slice thickness,flip angle:20°,field of view:240×240 mm,450×512 matrix)を用いた。撮像時,被験者はループコイルを右肩に装着し,撮像台の上に木製板を置き肩甲骨が浮遊した背臥位となった。更に,撮像台の上に木製の板を重ね,通常の撮像時よりも体幹の高さを9cm高くし水平伸展位での撮像を可能にした。撮像は,肩関節最大外旋位かつ最大伸展位を維持した状態で,外転0°,30°,60°,90°,120°,150°,最大外転位の7つの肢位で行った。
研究は大きく以下の5つの過程に分けられる。①3次元MRI撮像による画像データの収集,②segmentation法による3次元表面モデルの作成,③voxel-based registration法による移動情報の解析,④肩甲上腕関節の動態解析,⑤各々の外転肢位での3次元的な靱帯の想定される長さの計測である。今回3次元骨モデル上での靱帯の3次元的な起始部,停止部を求めるために,Yang(2010)の新鮮遺体での靱帯の起始停止部を3D表面モデル上に反映させる方法を用いた。
個々の靱帯の外転角度変化に対して統計学的解析を行なった。一元配置分散分析を行った後に,Turkey-Kramer法を用いて多重比較を行った。有意水準はいずれもp<0.05とした。
【結果】
外転変化に伴う靭帯の想定される長さを計測した。最大値の平均は,外転0度でPCHLは51.4±3.6mm,ACHLは50.9±2.5mm,SGHLは44.8±3.9であった。MGHLは外転30度で53.0±5.5mm,AIGHLは外転120度で56.4±5.0mmであった。PCHLは最大値の0度から最小値の150度まで平均26.0±3.7mm漸減し,その後最大外転位で平均5.7±3.7mm増加した。ACHLは最大値の0度から最小値の最大外転位まで平均31.9±2.2mm漸減し,SGHLは平均34.4±4.6mm漸減した。MGHLは最大値である30度から最大外転位まで平均29.2±7.7mm漸減した。AIGHLは外転120度で最大値を取り,最小値の0度から最大値120度までは平均15.0±4.2mm漸増した。
【結論】
Yangらは同様の方法にて,外転角度変化で靱帯の想定される長さを計測している。MGHLとAIGHLについては同様の結果が得られたが,PCHLとACHLとSGHLは如何なる外転角度よりも下垂位での最大伸展・外旋位でより伸張された。