[P-KS-36-3] グルコース濃度・インスリン濃度の差異がC2C12細胞の増殖と分化に与える影響
キーワード:C2C12細胞, グルコース, インスリン
【はじめに,目的】
C2C12細胞はマウスの横紋筋細胞で,In Vitroにおける骨格筋分化実験での使用頻度は高く,その培養方法は,Katherineらにより,World Protocolも確立されている。近年では,糖尿病における骨格筋の変性は,TypeII線維に偏るなど,糖負荷による様々な骨格筋の退行変性を示す論文が報告される中,筋芽細胞の増殖と分化に着目した報告は無い。よって本研究は,筋芽細胞の増殖,分化において,培養環境中のGlucose濃度の差異やInsulin濃度の差異が与える影響を明らかにする事である。
【方法】
培養細胞はC2C12細胞(マウス横紋筋細胞)を使用した。通常培養条件は,ダルベッコフォークド改変イーグル最小培地(DMEM)に10%FBSを加えた培地を使用し,CO2インキュベーターの温度は37℃,CO2濃度は5%にて培養を行った。Glucose濃度別分化培養実験と,Glucose濃度一定でのInsulin濃度別分化培養実験を行った。
(実験1)Glucose濃度別の培地は,DMEMのGlucose濃度別の4群を作成した。Glucose濃度は,0mg/L,1000mg/L,2250mg/L,4500mg/Lとした。各群にC2C12細胞を均等に分配し,分配時の細胞数をCDA1000Bにて均等化も確認した。各Dishに1mg/mlの濃度のInsulinを10μl投与し,分化培養を行った。6日後に写真撮影と細胞計数を行い,変化を観察し,回収した。
(実験2)Insulin濃度別分化培養としては,実験1でGlucose4500mg/Lが増殖・分化培養ともに有意な成績を認めた為,Glucose4500mg/Lで培地を統一し,C2C12細胞を4Dish作成した。そこに濃度別に希釈したInsulinを10μl添加した。Insulin濃度は,0mg/ml,0.25mg/ml,0.5mg/ml,1mg/mlとした。6日後に写真撮影と細胞計数を行い,回収した。その後NP-40,またRIPA BUFFERでのタンパク質の抽出を行い,ミオシン軽鎖1のELISA法を行った。ELISA KITはCOSBIO社製MYL1を使用した。
【結果】
(実験1)細胞数:細胞分配時1807.6±149/ml 培養終了後,0mg/L群38.3±4/ml,1000mg/L群31.6±3/ml,2250mg/L群408±20.3/ml,4500mg/L群2554±46.4/mlであった。顕微鏡像では,4500mg/L群のみ細胞数も多く,分化も認められ,十分に増殖・分化が見られた。
(実験2)細胞数:細胞分配時4056/ml 培養終了後,0mg/ml群9692/ml,0.25mg/ml群11523/ml,0.5mg/ml群11659/ml,1mg/ml群11799/mlであり,顕微鏡像でも細胞形質の差は無かった。NP-40抽出タンパクでのミオシン軽鎖1ELISA法では,0mg/ml群1.57,0.25mg/ml群13.5,0.5mg/ml群13.6,1mg/ml群1.15となり,RIPA BUFFERでは0mg/ml群0.57,0.25mg/ml群0.62,0.5mg/ml群0.59,1mg/ml群0.8となった(検量線R=0.899)。
【結論】
今回の結果は,C2C12細胞の増殖・分化にGlucoseが必要であり,Insulin濃度に依存して分化することが示唆された。筋芽細胞の増殖・分化において,生体内のGlucose濃度を抑制するより,Insulin濃度を増加させる必要性が示唆された。
C2C12細胞はマウスの横紋筋細胞で,In Vitroにおける骨格筋分化実験での使用頻度は高く,その培養方法は,Katherineらにより,World Protocolも確立されている。近年では,糖尿病における骨格筋の変性は,TypeII線維に偏るなど,糖負荷による様々な骨格筋の退行変性を示す論文が報告される中,筋芽細胞の増殖と分化に着目した報告は無い。よって本研究は,筋芽細胞の増殖,分化において,培養環境中のGlucose濃度の差異やInsulin濃度の差異が与える影響を明らかにする事である。
【方法】
培養細胞はC2C12細胞(マウス横紋筋細胞)を使用した。通常培養条件は,ダルベッコフォークド改変イーグル最小培地(DMEM)に10%FBSを加えた培地を使用し,CO2インキュベーターの温度は37℃,CO2濃度は5%にて培養を行った。Glucose濃度別分化培養実験と,Glucose濃度一定でのInsulin濃度別分化培養実験を行った。
(実験1)Glucose濃度別の培地は,DMEMのGlucose濃度別の4群を作成した。Glucose濃度は,0mg/L,1000mg/L,2250mg/L,4500mg/Lとした。各群にC2C12細胞を均等に分配し,分配時の細胞数をCDA1000Bにて均等化も確認した。各Dishに1mg/mlの濃度のInsulinを10μl投与し,分化培養を行った。6日後に写真撮影と細胞計数を行い,変化を観察し,回収した。
(実験2)Insulin濃度別分化培養としては,実験1でGlucose4500mg/Lが増殖・分化培養ともに有意な成績を認めた為,Glucose4500mg/Lで培地を統一し,C2C12細胞を4Dish作成した。そこに濃度別に希釈したInsulinを10μl添加した。Insulin濃度は,0mg/ml,0.25mg/ml,0.5mg/ml,1mg/mlとした。6日後に写真撮影と細胞計数を行い,回収した。その後NP-40,またRIPA BUFFERでのタンパク質の抽出を行い,ミオシン軽鎖1のELISA法を行った。ELISA KITはCOSBIO社製MYL1を使用した。
【結果】
(実験1)細胞数:細胞分配時1807.6±149/ml 培養終了後,0mg/L群38.3±4/ml,1000mg/L群31.6±3/ml,2250mg/L群408±20.3/ml,4500mg/L群2554±46.4/mlであった。顕微鏡像では,4500mg/L群のみ細胞数も多く,分化も認められ,十分に増殖・分化が見られた。
(実験2)細胞数:細胞分配時4056/ml 培養終了後,0mg/ml群9692/ml,0.25mg/ml群11523/ml,0.5mg/ml群11659/ml,1mg/ml群11799/mlであり,顕微鏡像でも細胞形質の差は無かった。NP-40抽出タンパクでのミオシン軽鎖1ELISA法では,0mg/ml群1.57,0.25mg/ml群13.5,0.5mg/ml群13.6,1mg/ml群1.15となり,RIPA BUFFERでは0mg/ml群0.57,0.25mg/ml群0.62,0.5mg/ml群0.59,1mg/ml群0.8となった(検量線R=0.899)。
【結論】
今回の結果は,C2C12細胞の増殖・分化にGlucoseが必要であり,Insulin濃度に依存して分化することが示唆された。筋芽細胞の増殖・分化において,生体内のGlucose濃度を抑制するより,Insulin濃度を増加させる必要性が示唆された。