[P-KS-38-4] 歩行初動作における腰椎屈伸と脊柱回旋の関連性
Keywords:歩行初動作, 脊柱, 回旋
【はじめに,目的】
片麻痺の歩行では,歩行初動作で下肢の振り出しが困難な症例や,体幹の代償により遊脚相でバランスを崩すこと,次の立脚相でバランスを崩す症例を経験する。そのような症例に対し,体幹運動の違いが遊脚相でのクリアランスやバランスを向上させ,かつ次の立脚相で支持しやすいアライメントを作り出すために重要であると考えている。第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会において歩行初動作における腰椎屈伸,体幹回旋の関連性を報告したが,体幹回旋をより詳細なものとするため,本研究では,歩行初動作における腰椎の屈伸および脊柱回旋の関連性について解析,検討を行った。
【方法】
対象は健常男性21名とした。計測は光学式3次元動作解析システム(VICONMX,Oxford Metrics社製,MXカメラ7台)を用い3次元空間内での身体体節の移動量を計測した。赤外線反射マーカーは第1,7胸椎(以下Th1,Th7),第1,3腰椎(以下L1,L3)の棘突起を中心に左右5.5cm間隔に,また左右上後腸骨棘(以下PSIS)に貼付した。サンプリング周波数は100Hzとした。腰椎屈伸角度は,L1,L3とPSISの左右マーカーの中点を算出し,L1,L3の成す角とL3,PSISの成す角の合計とした。また,脊柱の回旋角度は,Th1,PSISの左右マーカーより算出した。歩行は,自由歩行と規定歩行(歩行初動脚が自由歩行と逆のもの)をそれぞれ10施行ずつ行い,同一被験者の中で多かった動作パターンをその被験者の歩行初動作パターンとした。歩行初動作は静止立位からつま先離地までとし,その間の腰椎角度,脊柱回旋角度を算出し,腰椎屈伸,脊柱回旋をパターン分類した。また,データの採用に関しては,不備があったものは除外した。
【結果】
被験者の歩行初動作パターンの決定で,ばらつきが多く除外した例は,自由歩行で1例,規定歩行で2例あった。歩行初動作において,自由歩行と規定歩行とも全例で腰椎が屈曲に動いていた。自由歩行では,振り出し側に対し,Th1,PSISが共に前方回旋するものが12例,共に後方回旋するものが3例,Th1が前方回旋,PSISが後方回旋するものが3例,Th1が後方回旋,PSISが前方回旋するものが2例であった。規定歩行では,振り出し側に対し,Th1,PSISが共に前方回旋するものが9例,共に後方回旋するものが5例,Th1が前方回旋,PSISが後方回旋するものが2例,Th1が後方回旋,PSISが前方回旋するものが3例であった。
【結論】
全例で腰椎が屈曲に動いているのは,椎間関節面の形状と関連しており,関節面が水平面に近くなることで,回旋に有利な関節構造になるためと考える。Th1,PSISが共に前方回旋するものが多く,歩行初動作において前方推進を図るための動きであると考える。健常者を対象とした本研究デザインにおいて,自由歩行と規定歩行の差異がみられなかったことから,健常者の歩行初動作においては胸腰椎を前方回旋するパターンが効率的なのではないかと推察される。
片麻痺の歩行では,歩行初動作で下肢の振り出しが困難な症例や,体幹の代償により遊脚相でバランスを崩すこと,次の立脚相でバランスを崩す症例を経験する。そのような症例に対し,体幹運動の違いが遊脚相でのクリアランスやバランスを向上させ,かつ次の立脚相で支持しやすいアライメントを作り出すために重要であると考えている。第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会において歩行初動作における腰椎屈伸,体幹回旋の関連性を報告したが,体幹回旋をより詳細なものとするため,本研究では,歩行初動作における腰椎の屈伸および脊柱回旋の関連性について解析,検討を行った。
【方法】
対象は健常男性21名とした。計測は光学式3次元動作解析システム(VICONMX,Oxford Metrics社製,MXカメラ7台)を用い3次元空間内での身体体節の移動量を計測した。赤外線反射マーカーは第1,7胸椎(以下Th1,Th7),第1,3腰椎(以下L1,L3)の棘突起を中心に左右5.5cm間隔に,また左右上後腸骨棘(以下PSIS)に貼付した。サンプリング周波数は100Hzとした。腰椎屈伸角度は,L1,L3とPSISの左右マーカーの中点を算出し,L1,L3の成す角とL3,PSISの成す角の合計とした。また,脊柱の回旋角度は,Th1,PSISの左右マーカーより算出した。歩行は,自由歩行と規定歩行(歩行初動脚が自由歩行と逆のもの)をそれぞれ10施行ずつ行い,同一被験者の中で多かった動作パターンをその被験者の歩行初動作パターンとした。歩行初動作は静止立位からつま先離地までとし,その間の腰椎角度,脊柱回旋角度を算出し,腰椎屈伸,脊柱回旋をパターン分類した。また,データの採用に関しては,不備があったものは除外した。
【結果】
被験者の歩行初動作パターンの決定で,ばらつきが多く除外した例は,自由歩行で1例,規定歩行で2例あった。歩行初動作において,自由歩行と規定歩行とも全例で腰椎が屈曲に動いていた。自由歩行では,振り出し側に対し,Th1,PSISが共に前方回旋するものが12例,共に後方回旋するものが3例,Th1が前方回旋,PSISが後方回旋するものが3例,Th1が後方回旋,PSISが前方回旋するものが2例であった。規定歩行では,振り出し側に対し,Th1,PSISが共に前方回旋するものが9例,共に後方回旋するものが5例,Th1が前方回旋,PSISが後方回旋するものが2例,Th1が後方回旋,PSISが前方回旋するものが3例であった。
【結論】
全例で腰椎が屈曲に動いているのは,椎間関節面の形状と関連しており,関節面が水平面に近くなることで,回旋に有利な関節構造になるためと考える。Th1,PSISが共に前方回旋するものが多く,歩行初動作において前方推進を図るための動きであると考える。健常者を対象とした本研究デザインにおいて,自由歩行と規定歩行の差異がみられなかったことから,健常者の歩行初動作においては胸腰椎を前方回旋するパターンが効率的なのではないかと推察される。