[P-KS-43-1] 下肢のスタンスと体幹の可動性の関係
キーワード:スタンス, 体幹回旋動作, 荷重
【はじめに,目的】
ゴルフやスノーボード等のスポーツにおいて,両足間の距離(以下スタンス幅)や両足の開き具合(以下スタンスアングル)は重要な因子である。これら脚の位置(以下スタンス)は現場では経験的に指導されている。下肢の関節角度と体幹の関連を調べているものは少ない。目的は,スタンス幅・スタンスアングルが,体幹の可動域や荷重にどの様な影響を及ぼすのか明らかにするものである。
【方法】
対象は健常男性11名,平均年齢は21.5±1.7歳,平均身長は171.3±6.5cm,平均体重は65.4±9.1kgだった。
運動課題は,立位で膝股関節が屈曲しないように体幹を最大左右回旋させた。立位の設定は,スタンス幅を42cmと52cmとした。スタンスアングルは踵の中心と第2趾を結ぶ線と前額軸とのなす角度を用い5パターン設定した。まず,STANCER(ジャイロテクノロジー株式会社)で,スタンス幅42cm・52cm各々の下肢の最大内外旋角度の平均値を求め,これをセンター角とし,それに15°,30°を加減したものを設定角とした。条件名は-30°,-15°,0°,+15°,+30°とした。
計測には赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社),床反力計(BP6001200,AMTI社)を使用した。サンプリング周波数は,床反力は1kHz,モーションキャプチャは100Hzとした。反射マーカーは以下の様に貼付した。脊柱の第1・第4・第7胸椎,第1腰椎の棘突起を頂点とする三角形に3つずつ貼付し各々に局所座標系を設定した。他,両肩峰,骨盤以下はヘレンヘイズマーカーセットに準じ両側に貼付した。計測時はスタンスを自由に設定できる自作の器具で足部を固定した。
計測データの分析ではVisual3D(C-Motion社)を用いた。分析パラメーターは,床反力,体幹(T1,T4,T7,L1)・骨盤角度とした。なお,体幹・骨盤角度については,グローバル座標系に対して算出した。左右の荷重は左右床反力の垂直成分にて対称性指数(Symmetry Index;SI,左右差を左右の平均値で除した値)を算出した。統計処理では,体幹・骨盤の回旋可動域の条件間の比較をするためにANOVA後,多重比較を行った。
【結果】
骨盤と体幹の回旋可動域はスタンス幅42cmにおいてスタンスアングル0°が-30°より有意に大きかった。スタンス幅の違いによる効果は認められなかった。荷重のSIはスタンスアングルが大きくなるに従い回旋側に荷重が増えており,+30°は-30°より有意に大きかった。
【結論】
スタンスアングルの違いにより,体幹の可動域が変化する可能性が示唆された。スタンスアングルがセンター角付近であると体幹の回旋可動域が大きくなっていた。スタンスアングルを大きくすると体幹の回旋可動域は減少するが,回旋側の荷重量が増える。荷重を重視するのか,回旋可動域を重視するのか,運動の特性に合わせスタンスアングルを設定することで,外傷の予防やパフォーマンス向上につなげられると考えられる。
ゴルフやスノーボード等のスポーツにおいて,両足間の距離(以下スタンス幅)や両足の開き具合(以下スタンスアングル)は重要な因子である。これら脚の位置(以下スタンス)は現場では経験的に指導されている。下肢の関節角度と体幹の関連を調べているものは少ない。目的は,スタンス幅・スタンスアングルが,体幹の可動域や荷重にどの様な影響を及ぼすのか明らかにするものである。
【方法】
対象は健常男性11名,平均年齢は21.5±1.7歳,平均身長は171.3±6.5cm,平均体重は65.4±9.1kgだった。
運動課題は,立位で膝股関節が屈曲しないように体幹を最大左右回旋させた。立位の設定は,スタンス幅を42cmと52cmとした。スタンスアングルは踵の中心と第2趾を結ぶ線と前額軸とのなす角度を用い5パターン設定した。まず,STANCER(ジャイロテクノロジー株式会社)で,スタンス幅42cm・52cm各々の下肢の最大内外旋角度の平均値を求め,これをセンター角とし,それに15°,30°を加減したものを設定角とした。条件名は-30°,-15°,0°,+15°,+30°とした。
計測には赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社),床反力計(BP6001200,AMTI社)を使用した。サンプリング周波数は,床反力は1kHz,モーションキャプチャは100Hzとした。反射マーカーは以下の様に貼付した。脊柱の第1・第4・第7胸椎,第1腰椎の棘突起を頂点とする三角形に3つずつ貼付し各々に局所座標系を設定した。他,両肩峰,骨盤以下はヘレンヘイズマーカーセットに準じ両側に貼付した。計測時はスタンスを自由に設定できる自作の器具で足部を固定した。
計測データの分析ではVisual3D(C-Motion社)を用いた。分析パラメーターは,床反力,体幹(T1,T4,T7,L1)・骨盤角度とした。なお,体幹・骨盤角度については,グローバル座標系に対して算出した。左右の荷重は左右床反力の垂直成分にて対称性指数(Symmetry Index;SI,左右差を左右の平均値で除した値)を算出した。統計処理では,体幹・骨盤の回旋可動域の条件間の比較をするためにANOVA後,多重比較を行った。
【結果】
骨盤と体幹の回旋可動域はスタンス幅42cmにおいてスタンスアングル0°が-30°より有意に大きかった。スタンス幅の違いによる効果は認められなかった。荷重のSIはスタンスアングルが大きくなるに従い回旋側に荷重が増えており,+30°は-30°より有意に大きかった。
【結論】
スタンスアングルの違いにより,体幹の可動域が変化する可能性が示唆された。スタンスアングルがセンター角付近であると体幹の回旋可動域が大きくなっていた。スタンスアングルを大きくすると体幹の回旋可動域は減少するが,回旋側の荷重量が増える。荷重を重視するのか,回旋可動域を重視するのか,運動の特性に合わせスタンスアングルを設定することで,外傷の予防やパフォーマンス向上につなげられると考えられる。