[P-MT-05-4] 肩腱板断裂症例における短期的患者満足度と身体機能評価との関係性
キーワード:肩腱板断裂術後, 患者満足度, 肩関節外転筋力
【はじめに,目的】
肩関節腱板断裂術後1年以上経過した症例の患者満足度に影響を及ぼす因子として,疼痛との関係性が報告されている。当院では肩腱板断裂症例にMcLaughlin法を施行し,術後約2~3ヶ月で退院して日常生活や仕事復帰する特徴がある。そこで実際に退院後,元の生活環境に戻り,術側の使用頻度が増え始める術後4ヶ月時の患者満足度と身体機能評価の関係性ついて検討した。
【方法】
対象は,2015年2月~5月に当院にて肩腱板断裂に対しMcLaughlin法を施行し,術後ゼロポジション固定を用いた21名とした。患者満足度(0~100%)は口頭で聴取し,満足度80%以上群(11名,手術時平均年齢:65.1±5.7歳)と満足度80%未満群(10名,手術時平均年齢:66.2±6.4歳)に群分けした。身体機能評価は,疼痛の程度(安静時痛,夜間時痛,運動時痛)及び不安の程度(疼痛,仕事)をVisual Analogue Scale(以下:VAS)を用いて評価した。また,客観的評価として肩関節可動域(以下:ROM)の他動屈曲,外転,内転角度,自動屈曲角度と徒手筋力検査法(以下:MMT)に準じて肩関節屈曲,外転,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の筋力を測定した。主観的評価は,患者立脚肩関節評価法Shoulder36 V1.3(以下:Sh36)の疼痛,可動域,筋力,健康感,ADL,スポーツ能力の6項目を用いた。術後4ヶ月時の満足度80%以上群と80%未満群の2群間で各評価項目について比較検討した。統計処理はt検定,Mann-Whitney U検定を用いて,有意水準は5%未満とした。
【結果】
疼痛に対する不安の程度と肩関節外転筋力,Sh36可動域,筋力において,2群間に有意差がみられた(p<0.05)。Sh36筋力の2群間に有意差がみられた項目の具体的な内容は,「タオルの両端をもって患側の手を上にして背中を洗う」「患側の手で頭より上の棚に皿を置く」「日常生活で普段患側を使って行うことを健側を使わずに出来る」であった(p<0.05)。また,疼痛の程度,客観的評価のROM各項目,MMTの外転筋力以外は,2群間に有意差はみられなかった(p>0.05)。
【結論】
術後4ヶ月時の患者満足度の高い群は,疼痛に対する不安感が少なく,客観的及び主観的に肩関節外転筋力が高値であった。ゼロポジション固定後の経過をみると,挙上方向に比べ下垂方向への可動域獲得に遅延する傾向にあるが,客観的評価のROM各項目は,2群間に差がみられなかった。術後4ヶ月時の肩関節内転角度は患者満足度に影響を与えていなかった。このため,下垂可動域の改善よりも挙上位での筋力発揮を優先して獲得する事が満足度を高めるためには重要となる。
肩関節腱板断裂術後1年以上経過した症例の患者満足度に影響を及ぼす因子として,疼痛との関係性が報告されている。当院では肩腱板断裂症例にMcLaughlin法を施行し,術後約2~3ヶ月で退院して日常生活や仕事復帰する特徴がある。そこで実際に退院後,元の生活環境に戻り,術側の使用頻度が増え始める術後4ヶ月時の患者満足度と身体機能評価の関係性ついて検討した。
【方法】
対象は,2015年2月~5月に当院にて肩腱板断裂に対しMcLaughlin法を施行し,術後ゼロポジション固定を用いた21名とした。患者満足度(0~100%)は口頭で聴取し,満足度80%以上群(11名,手術時平均年齢:65.1±5.7歳)と満足度80%未満群(10名,手術時平均年齢:66.2±6.4歳)に群分けした。身体機能評価は,疼痛の程度(安静時痛,夜間時痛,運動時痛)及び不安の程度(疼痛,仕事)をVisual Analogue Scale(以下:VAS)を用いて評価した。また,客観的評価として肩関節可動域(以下:ROM)の他動屈曲,外転,内転角度,自動屈曲角度と徒手筋力検査法(以下:MMT)に準じて肩関節屈曲,外転,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の筋力を測定した。主観的評価は,患者立脚肩関節評価法Shoulder36 V1.3(以下:Sh36)の疼痛,可動域,筋力,健康感,ADL,スポーツ能力の6項目を用いた。術後4ヶ月時の満足度80%以上群と80%未満群の2群間で各評価項目について比較検討した。統計処理はt検定,Mann-Whitney U検定を用いて,有意水準は5%未満とした。
【結果】
疼痛に対する不安の程度と肩関節外転筋力,Sh36可動域,筋力において,2群間に有意差がみられた(p<0.05)。Sh36筋力の2群間に有意差がみられた項目の具体的な内容は,「タオルの両端をもって患側の手を上にして背中を洗う」「患側の手で頭より上の棚に皿を置く」「日常生活で普段患側を使って行うことを健側を使わずに出来る」であった(p<0.05)。また,疼痛の程度,客観的評価のROM各項目,MMTの外転筋力以外は,2群間に有意差はみられなかった(p>0.05)。
【結論】
術後4ヶ月時の患者満足度の高い群は,疼痛に対する不安感が少なく,客観的及び主観的に肩関節外転筋力が高値であった。ゼロポジション固定後の経過をみると,挙上方向に比べ下垂方向への可動域獲得に遅延する傾向にあるが,客観的評価のROM各項目は,2群間に差がみられなかった。術後4ヶ月時の肩関節内転角度は患者満足度に影響を与えていなかった。このため,下垂可動域の改善よりも挙上位での筋力発揮を優先して獲得する事が満足度を高めるためには重要となる。