[P-MT-06-4] 頚椎症性脊髄症の術後患者のJOACMEQの経過および年齢の影響について
キーワード:頚髄症, JOACMEQ, QOL
【はじめに,目的】
頚椎症性脊髄症(以下,頚髄症)は,上下肢に運動障害を引き起こし,手術療法の有効性が示されている。治療の有効性の評価として患者立脚型評価スケールである日本整形外科学会頸部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)が開発されたが,術前後のJOACMEQの経過の報告はまだ不十分である。また,術後の結果には年齢による影響が示唆されている。そこで本研究では術後6ヶ月までの頚髄症術前後のJOACMEQの経過と年齢による影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は当院整形外科にて頚髄症と診断され,手術を施行された44名とした(男性24名,女性20名,平均年齢68.2±34.2歳)。取り込み条件は頚椎症性脊髄症もしくは後縦靭帯骨化症にて頚椎拡大術を施行された患者で,かつ術後6ヶ月以上経過しているものとした。除外条件は,脳血管疾患など運動に影響を及ぼす疾患の既往があるもの,認知症などにより評価が困難なものとした。また,対象は75歳未満を若年群,75歳以上を高齢群とした。
評価内容は,日本整形外科学会頸部脊髄症治療判定基準(以下,JOAスコア)合計値,JOACMEQ(頚椎,上肢,下肢,膀胱機能,QOL),Grip&Release(以下GR),Foot Tapping Test(以下FTT)とした。GR,FTTは左右の最小値を採用した。評価は術前,術後3ヵ月,術後6ヵ月時とした。
統計学的解析は,年齢群と評価時期を2要因として,JOAスコア,JOACMEQ,GR,FTTを従属変数とした反復測定による二元配置分散分析を用いた。分析にはSPSS17.0Jを用い,有意水準は5%とした。
【結果】
二元配置分散分析の結果,JOAスコア,FTTにおいて年齢群と評価時期に有意な主効果を認めた。JOACMEQの上肢スコア,下肢スコア,GRの年齢群において主効果を認めた。さらに多重比較の結果,JOAスコアにおいては術前-術後3ヶ月,術前-術後6ヶ月,若年-高齢,FTTでは術前-術後3ヶ月,若年-高齢,JOACMEQ上肢スコアおよび下肢スコア,GRでは,若年-高齢の組み合わせで有意差が認められ(P<0.05),そのすべてにおいて年齢が若いほど数値が高く,術後のほど点数の改善が認められた。なお,交互作用は全てに認められなかった。
【結論】
頚髄症の術後成績については,患者立脚型評価スケールもひとつのアウトカムとして報告が増えてきており,本研究では術後6ヶ月までの経過を調査した。本研究では下肢の神経兆候や術後成績評価の改善は認められたものの,JOACMEQの改善は認めらず,JOACMEQの改善には時間を要する可能性が考えられた。また,多くの項目で高齢になるほど重症化し,術後においても低値であった。高齢者で回復が不良であった原因としては,高齢者は頚髄症自体がより重症であったことと,高齢による筋力低下や膝などの頚髄症以外の影響が大きくなる可能性の2つが考えられた。
今後はより長期経過を追跡すること,JOACMEQの改善へ影響する因子の検討を行っていく必要がある。
頚椎症性脊髄症(以下,頚髄症)は,上下肢に運動障害を引き起こし,手術療法の有効性が示されている。治療の有効性の評価として患者立脚型評価スケールである日本整形外科学会頸部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)が開発されたが,術前後のJOACMEQの経過の報告はまだ不十分である。また,術後の結果には年齢による影響が示唆されている。そこで本研究では術後6ヶ月までの頚髄症術前後のJOACMEQの経過と年齢による影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は当院整形外科にて頚髄症と診断され,手術を施行された44名とした(男性24名,女性20名,平均年齢68.2±34.2歳)。取り込み条件は頚椎症性脊髄症もしくは後縦靭帯骨化症にて頚椎拡大術を施行された患者で,かつ術後6ヶ月以上経過しているものとした。除外条件は,脳血管疾患など運動に影響を及ぼす疾患の既往があるもの,認知症などにより評価が困難なものとした。また,対象は75歳未満を若年群,75歳以上を高齢群とした。
評価内容は,日本整形外科学会頸部脊髄症治療判定基準(以下,JOAスコア)合計値,JOACMEQ(頚椎,上肢,下肢,膀胱機能,QOL),Grip&Release(以下GR),Foot Tapping Test(以下FTT)とした。GR,FTTは左右の最小値を採用した。評価は術前,術後3ヵ月,術後6ヵ月時とした。
統計学的解析は,年齢群と評価時期を2要因として,JOAスコア,JOACMEQ,GR,FTTを従属変数とした反復測定による二元配置分散分析を用いた。分析にはSPSS17.0Jを用い,有意水準は5%とした。
【結果】
二元配置分散分析の結果,JOAスコア,FTTにおいて年齢群と評価時期に有意な主効果を認めた。JOACMEQの上肢スコア,下肢スコア,GRの年齢群において主効果を認めた。さらに多重比較の結果,JOAスコアにおいては術前-術後3ヶ月,術前-術後6ヶ月,若年-高齢,FTTでは術前-術後3ヶ月,若年-高齢,JOACMEQ上肢スコアおよび下肢スコア,GRでは,若年-高齢の組み合わせで有意差が認められ(P<0.05),そのすべてにおいて年齢が若いほど数値が高く,術後のほど点数の改善が認められた。なお,交互作用は全てに認められなかった。
【結論】
頚髄症の術後成績については,患者立脚型評価スケールもひとつのアウトカムとして報告が増えてきており,本研究では術後6ヶ月までの経過を調査した。本研究では下肢の神経兆候や術後成績評価の改善は認められたものの,JOACMEQの改善は認めらず,JOACMEQの改善には時間を要する可能性が考えられた。また,多くの項目で高齢になるほど重症化し,術後においても低値であった。高齢者で回復が不良であった原因としては,高齢者は頚髄症自体がより重症であったことと,高齢による筋力低下や膝などの頚髄症以外の影響が大きくなる可能性の2つが考えられた。
今後はより長期経過を追跡すること,JOACMEQの改善へ影響する因子の検討を行っていく必要がある。