[P-MT-10-4] 人工膝関節置換術患者の早期退院後のセルフチェックシートを用いた疼痛管理の有用性
Keywords:人工膝関節置換術, 疼痛管理, セルフモニタリング
【はじめに,目的】人工膝関節置換術(以下;TKA)の在院日数は短縮傾向であるが,早期退院後は激しい疼痛を経験すると報告されているため,退院後の疼痛管理が重要となる。近年,疼痛管理の方法としてチェックシートを用いたセルフモニタリングが着目されており,他疾患でその効果が実証されているが,TKA後早期の疼痛管理で検討している研究は見当たらない。よって,本研究の目的はTKA患者の早期退院後のセルフチェックシートを用いた疼痛管理の有用性を検討することとした。
【方法】対象者は,当院でTKAを施行され本研究に同意を得られた患者61名とし,セルフチェックシート介入群(以下;介入群)32名,コントロール群29名に無作為に振り分けた。身体機能評価は手術1ヶ月前,術後5日,術後2週,術後4週に行い,評価項目は歩行時痛,階段昇降時痛(いずれもNumerical Rating Scale,以下;NRS),膝関節可動域とした。両群とも術後翌日より歩行練習,日常生活動作練習を開始し,術後翌日に歩行器歩行自立,術後3日目に杖歩行自立,術後5日目の退院を目標とした。退院後は週に1度の外来リハビリテーションを継続した。介入群に対し退院日にセルフチェックシートを配布し,毎日就寝前に記載するよう説明した。その後,外来通院時に理学療法士が回収し,新たに1週間分を配布する介入を術後4週まで繰り返した。セルフチェックシート内容は,歩行時痛(NRS),前日との腫脹の比較,膝関節伸展位保持の確認,端座位での下垂位保持の確認とした。統計学的解析は,基本属性,術前の身体機能には対応の無いt検定,χ二乗検定を行い,各評価項目と評価時期を2要因とした二元配置分散分析およびBonferroniの多重比較検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】介入群で4名,コントロール群で2名脱落したため,最終的に介入群28名(男性4名女性24名,年齢70.0±5.4歳),コントロール群27名(男性5名女性22名,年齢72.1±5.6歳)での解析を実施した。基本属性,術前の身体機能には両群間で有意差を認めなかった。交互作用は階段昇降時痛に認め(p=0.03),介入群では術後2週(p<0.01),術後4週(p=0.04)で有意に低値を示した。また,介入群はコントロール群と比較し歩行時痛で術後2週(p<0.01),術後4週(p=0.02)に有意に低値を示し,膝関節屈曲可動域で術後2週(p=0.04),術後4週(p<0.01)に有意に高値を示した。
【結論】TKA患者における早期退院後の疼痛軽減にはセルフチェックシートを用いた疼痛管理が有効であることが示唆された。セルフモニタリングは疼痛管理の手段として有効であると報告されており,早期退院後のTKA患者においても歩行時痛や膝機能の状態をセルフチェックシートに記載したことで自己疼痛管理が行え,疼痛軽減につながったと考えられる。本研究はセルフチェックシートがTKA後早期の疼痛管理に対する新たなサポートツールとして活用できることを示唆している。
【方法】対象者は,当院でTKAを施行され本研究に同意を得られた患者61名とし,セルフチェックシート介入群(以下;介入群)32名,コントロール群29名に無作為に振り分けた。身体機能評価は手術1ヶ月前,術後5日,術後2週,術後4週に行い,評価項目は歩行時痛,階段昇降時痛(いずれもNumerical Rating Scale,以下;NRS),膝関節可動域とした。両群とも術後翌日より歩行練習,日常生活動作練習を開始し,術後翌日に歩行器歩行自立,術後3日目に杖歩行自立,術後5日目の退院を目標とした。退院後は週に1度の外来リハビリテーションを継続した。介入群に対し退院日にセルフチェックシートを配布し,毎日就寝前に記載するよう説明した。その後,外来通院時に理学療法士が回収し,新たに1週間分を配布する介入を術後4週まで繰り返した。セルフチェックシート内容は,歩行時痛(NRS),前日との腫脹の比較,膝関節伸展位保持の確認,端座位での下垂位保持の確認とした。統計学的解析は,基本属性,術前の身体機能には対応の無いt検定,χ二乗検定を行い,各評価項目と評価時期を2要因とした二元配置分散分析およびBonferroniの多重比較検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】介入群で4名,コントロール群で2名脱落したため,最終的に介入群28名(男性4名女性24名,年齢70.0±5.4歳),コントロール群27名(男性5名女性22名,年齢72.1±5.6歳)での解析を実施した。基本属性,術前の身体機能には両群間で有意差を認めなかった。交互作用は階段昇降時痛に認め(p=0.03),介入群では術後2週(p<0.01),術後4週(p=0.04)で有意に低値を示した。また,介入群はコントロール群と比較し歩行時痛で術後2週(p<0.01),術後4週(p=0.02)に有意に低値を示し,膝関節屈曲可動域で術後2週(p=0.04),術後4週(p<0.01)に有意に高値を示した。
【結論】TKA患者における早期退院後の疼痛軽減にはセルフチェックシートを用いた疼痛管理が有効であることが示唆された。セルフモニタリングは疼痛管理の手段として有効であると報告されており,早期退院後のTKA患者においても歩行時痛や膝機能の状態をセルフチェックシートに記載したことで自己疼痛管理が行え,疼痛軽減につながったと考えられる。本研究はセルフチェックシートがTKA後早期の疼痛管理に対する新たなサポートツールとして活用できることを示唆している。