[P-MT-10-5] 人工膝関節全置換術におけるトラネキサム酸投与・非投与による術後身体機能の比較
Keywords:人工膝関節全置換術, トラネキサム酸, 術後身体機能
【はじめに,目的】近年,人工膝関節全置換術(以下TKA)術後の出血対策として,止血剤の一つであるトラネキサム酸(以下TA)の有効性が示されている。しかし,TA投与における術後の理学療法の報告は少ない。当院でも2011年6月から術中に関節内へのTA投与を行っている。その為,今回はTKAにおけるTA投与・非投与による違いが術後身体機能(自動膝関節屈曲・伸展,他動膝関節屈曲・伸展,周径,荷重時痛)に影響を及ぼすか否かを当院のTKAデータベースを用いて後方視的に検討することを目的とした。
【方法】2008年2月から2014年6月までに当院でTKAを行った118例123膝のうちTA非投与群は,2008年2月から2011年5月までの47例(男性7例,女性40例)47膝。TA投与群は,2011年6月から2014年6月までの71例(男性12例,女性59例のうち両側同時例5例)76膝とした。検討項目は,年齢,体重,身長,術後出血量,自動膝関節屈曲・伸展,他動膝関節屈曲・伸展,周径(膝蓋骨上縁周径の術前後差),荷重時痛(以下疼痛)とし,術後2日,術後1週,術後2週,術後3週,術後4週,術後8週の値をTA投与群とTA非投与群で比較した。なお,周径については術後1週から比較した。
統計解析は,正規分布を確認の上,2群を対応のないt検定を用いて危険率5%未満とした。
【結果】年齢,体重,身長は,2群間で有意差は認められなかった。術後出血量は,TA投与群とTA非投与群で有意差が認められた。術後身体機能では,術後2日は自動・他動膝関節伸展,術後1週は自動・他動膝関節屈曲,自動・他動膝関節伸展,周径,疼痛,術後2週は他動膝関節屈曲,自動・他動膝関節伸展,周径,疼痛,術後3週は他動膝関節伸展,術後4週は自動・他動膝関節伸展,術後8週は自動膝関節伸展に有意差が認められた。
【結論】術後1週~2週においてTA投与による術後身体機能に有意差があるので,TA投与・TA非投与による違いが影響を及ぼす結果となったが,術後3週以降では大きな影響がない事が示唆された。TA投与により術後1週~2週で膝関節屈曲,膝関節伸展,疼痛に有意差が出現した事については,TA投与により術後出血量が有意に少ないので術後早期に可動域練習や歩行練習に積極的に取り組む事が可能であるので,その影響が術後2週まで及ぼしているのではないかと考える。
また,今回の結果から周径は,術後1週・2週共にTA投与群の方が有意に大きいので,腫脹があっても術後身体機能には大きな影響を及ぼさない可能性があると考える。
【方法】2008年2月から2014年6月までに当院でTKAを行った118例123膝のうちTA非投与群は,2008年2月から2011年5月までの47例(男性7例,女性40例)47膝。TA投与群は,2011年6月から2014年6月までの71例(男性12例,女性59例のうち両側同時例5例)76膝とした。検討項目は,年齢,体重,身長,術後出血量,自動膝関節屈曲・伸展,他動膝関節屈曲・伸展,周径(膝蓋骨上縁周径の術前後差),荷重時痛(以下疼痛)とし,術後2日,術後1週,術後2週,術後3週,術後4週,術後8週の値をTA投与群とTA非投与群で比較した。なお,周径については術後1週から比較した。
統計解析は,正規分布を確認の上,2群を対応のないt検定を用いて危険率5%未満とした。
【結果】年齢,体重,身長は,2群間で有意差は認められなかった。術後出血量は,TA投与群とTA非投与群で有意差が認められた。術後身体機能では,術後2日は自動・他動膝関節伸展,術後1週は自動・他動膝関節屈曲,自動・他動膝関節伸展,周径,疼痛,術後2週は他動膝関節屈曲,自動・他動膝関節伸展,周径,疼痛,術後3週は他動膝関節伸展,術後4週は自動・他動膝関節伸展,術後8週は自動膝関節伸展に有意差が認められた。
【結論】術後1週~2週においてTA投与による術後身体機能に有意差があるので,TA投与・TA非投与による違いが影響を及ぼす結果となったが,術後3週以降では大きな影響がない事が示唆された。TA投与により術後1週~2週で膝関節屈曲,膝関節伸展,疼痛に有意差が出現した事については,TA投与により術後出血量が有意に少ないので術後早期に可動域練習や歩行練習に積極的に取り組む事が可能であるので,その影響が術後2週まで及ぼしているのではないかと考える。
また,今回の結果から周径は,術後1週・2週共にTA投与群の方が有意に大きいので,腫脹があっても術後身体機能には大きな影響を及ぼさない可能性があると考える。