[P-MT-11-1] 中高齢者における腱板形態と肩峰下腔の特徴およびそれらの関連性
Keywords:腱板, 加齢, 変性
【はじめに,目的】腱板断裂は,加齢に伴って罹患率が増加することから,炎症を基盤とした腱板変性との関連が示唆されてきた。腱板は炎症や変性に伴って腱板厚が増加するとされる。腱板に炎症が生じる要因として,肩峰下腔の狭小化により,腱板が肩峰と上腕骨頭との間で外的に圧迫される肩峰下インピンジメントが挙げられる。それゆえ,腱板障害の罹患率が高まる中高齢者において,腱板厚や肩峰下腔の変化,またそれらの関連を調査することは,腱板断裂の病因の理解のために重要である。従って,本研究の目的は,中高齢者の腱板厚および肩峰下腔の狭小化を若年者と比較することで,加齢に伴う腱板形態や肩峰下腔の変化を特徴づけることに加え,腱板厚と肩峰下腔との関連性を検討することである。
【方法】対象は,健常中高齢者27名(66.0歳±10.3歳),健常若年者18名(22.5歳±0.8歳)とした。腱板厚の変化として,腱板断裂において最も障害されることの多い棘上筋腱の厚さを超音波法にて計測した。肩峰下腔は,超音波法を用いて肩峰上腕骨頭間距離(Acromio-humeral distance,以下AHD)を計測することで定量化された。AHDは上肢下垂位,肩甲骨面上30°および60°拳上位にて計測した(AHD0,AHD30,AHD60)。また,それらの結果から,上肢下垂位と拳上位でのAHD変化量および各AHDに占める棘上筋腱厚の割合(Occupation ratio,以下OR)を算出した。統計解析において,各データを中高齢者と若年者との間で比較することに加え,腱板厚とAHDおよびAHD変化量との相関関係を検討した。
【結果】若年者と中高齢者の比較において,棘上筋腱厚は中高齢者群で有意に厚かった。また,AHD0,AHD30,AHD60において,中高齢者群で有意に大きい値を示した。しかしながら,各AHD変化量および各ORにおける群間差を認めなかった。AHDおよびAHD変化量と棘上筋腱厚との間に有意な相関関係は認められなかった。
【結論】本研究結果は,若年者に比し,中高齢者の腱板が厚くなっていることを認め,加齢に伴う腱板変性の可能性を示した。腱板の変性と肩峰下腔の狭小化との間には関連性を認めなかった。全ての拳上角度において,AHDは中高齢者群で有意に大きかった。AHD変化量やORに群間差を認めなかった。それゆえ,たとえ腱板が厚くなっていたとしても,肩峰下腔での腱板に対する圧迫は生じていないのかもしれない。従って,棘上筋腱の変性は,腱板炎の外的要因である肩峰下腔における圧迫よりもむしろ,内的要因によって生じる可能性が示唆された。
【方法】対象は,健常中高齢者27名(66.0歳±10.3歳),健常若年者18名(22.5歳±0.8歳)とした。腱板厚の変化として,腱板断裂において最も障害されることの多い棘上筋腱の厚さを超音波法にて計測した。肩峰下腔は,超音波法を用いて肩峰上腕骨頭間距離(Acromio-humeral distance,以下AHD)を計測することで定量化された。AHDは上肢下垂位,肩甲骨面上30°および60°拳上位にて計測した(AHD0,AHD30,AHD60)。また,それらの結果から,上肢下垂位と拳上位でのAHD変化量および各AHDに占める棘上筋腱厚の割合(Occupation ratio,以下OR)を算出した。統計解析において,各データを中高齢者と若年者との間で比較することに加え,腱板厚とAHDおよびAHD変化量との相関関係を検討した。
【結果】若年者と中高齢者の比較において,棘上筋腱厚は中高齢者群で有意に厚かった。また,AHD0,AHD30,AHD60において,中高齢者群で有意に大きい値を示した。しかしながら,各AHD変化量および各ORにおける群間差を認めなかった。AHDおよびAHD変化量と棘上筋腱厚との間に有意な相関関係は認められなかった。
【結論】本研究結果は,若年者に比し,中高齢者の腱板が厚くなっていることを認め,加齢に伴う腱板変性の可能性を示した。腱板の変性と肩峰下腔の狭小化との間には関連性を認めなかった。全ての拳上角度において,AHDは中高齢者群で有意に大きかった。AHD変化量やORに群間差を認めなかった。それゆえ,たとえ腱板が厚くなっていたとしても,肩峰下腔での腱板に対する圧迫は生じていないのかもしれない。従って,棘上筋腱の変性は,腱板炎の外的要因である肩峰下腔における圧迫よりもむしろ,内的要因によって生じる可能性が示唆された。