[P-MT-12-3] 距骨下関節回内外誘導の決定に関する立位体前屈評価の有用性
重心動揺による検討
キーワード:距骨下関節, 立位体前屈評価, 重心動揺
【はじめに,目的】理学療法効果を高めるためには,精度の高い評価が重要となる。入谷は効率的な歩行が可能な足部関節肢位を見分ける一助として,立位体前屈評価を利用している。本研究の目的は,距骨下関節の回内外誘導で立位体前屈が変化するかを確認すること,さらに距骨下関節の回内外誘導が片脚立位時の重心動揺に及ぼす影響について調査し,立位体前屈評価の有用性を明かにすることである。
【方法】対象は,平衡機能に障害のない健常成人21名(男性14名,女性7名,年齢27.6±3.6歳)とした。方法は対象の距骨下関節を回外・回内誘導し,その後立位体前屈を実施した。立位体前屈は,自然立位とし両膝関節伸展位で最大限前屈する指床間距離(以下;FFD)をメジャーにて計測した。FFDが向上した誘導方向(以下;FFD向上群)とFFDが向上しない誘導方向(以下;FFD非向上群)として2群に分けた。距骨下関節回外・回内誘導には,伸縮性テープDE-50(ドレイパー社製)を用い,入谷の評価方法に準じて同一検者が両足に同一誘導を行った。次に対象の回外・回内誘導時の片脚立位における総軌跡長の測定を行った。総軌跡長は圧力分布測定装置(アニマ社製MD-1000)上で,自然立位より両腕を組み片脚立位にて安定した10秒間にて測定した。測定時は開眼で全例右足を支持側とした。2条件の測定順序は循環法を用いて,FFD向上群とFFD非向上群で,片脚立位時の総軌跡長を比較した。統計的手法はSPSS Ver17.0を使用し,FFDと総軌跡長を対応のあるt検定で2群間を比較した。有意水準は5%とした。
【結果】FFDはFFD向上群が5.6±9.0cm,FFD非向上群は1.8±10.0cmであった(p<0.05)。またFFDが向上した誘導方向は,回外誘導が15名,回内誘導が6名であった。総軌跡長はFFD向上群29.5±5.3cm,FFD非向上群は33.2±4.0cmであった(p<0.05)。FFD向上群で総軌跡長の短縮が認められた者は21名中20名であった。
【結論】距骨下関節を誘導することによって,FFDの変化が認められた。またFFDが向上した誘導方向と片脚立位時の安定性は関与していることが示唆された。先行研究において距骨下関節回外誘導は,片脚立位時の総軌跡長や筋活動を減少させると報告している。本研究では,距骨下関節回外誘導で21名中15名に,回内誘導で6名にFFDの向上が確認された。個々によって適合する距骨下関節誘導方向は異なることが明らかとなった。FFD向上群では21名中20名で片脚立位時の安定性が認められた。このことから,より精度の高い距骨下関節の誘導方向の決定には,立位体前屈を用いた評価が有用であることが示唆された。また先行研究で片脚動作中に起こる現象は歩行立脚初期から中期にかけて反映されることやFFDの向上は歩行効率が向上すると報告されており,FFDの向上は歩行時の距骨下関節誘導方向を示唆する可能性がある。今後は,歩行との関連を調査していきたい。
【方法】対象は,平衡機能に障害のない健常成人21名(男性14名,女性7名,年齢27.6±3.6歳)とした。方法は対象の距骨下関節を回外・回内誘導し,その後立位体前屈を実施した。立位体前屈は,自然立位とし両膝関節伸展位で最大限前屈する指床間距離(以下;FFD)をメジャーにて計測した。FFDが向上した誘導方向(以下;FFD向上群)とFFDが向上しない誘導方向(以下;FFD非向上群)として2群に分けた。距骨下関節回外・回内誘導には,伸縮性テープDE-50(ドレイパー社製)を用い,入谷の評価方法に準じて同一検者が両足に同一誘導を行った。次に対象の回外・回内誘導時の片脚立位における総軌跡長の測定を行った。総軌跡長は圧力分布測定装置(アニマ社製MD-1000)上で,自然立位より両腕を組み片脚立位にて安定した10秒間にて測定した。測定時は開眼で全例右足を支持側とした。2条件の測定順序は循環法を用いて,FFD向上群とFFD非向上群で,片脚立位時の総軌跡長を比較した。統計的手法はSPSS Ver17.0を使用し,FFDと総軌跡長を対応のあるt検定で2群間を比較した。有意水準は5%とした。
【結果】FFDはFFD向上群が5.6±9.0cm,FFD非向上群は1.8±10.0cmであった(p<0.05)。またFFDが向上した誘導方向は,回外誘導が15名,回内誘導が6名であった。総軌跡長はFFD向上群29.5±5.3cm,FFD非向上群は33.2±4.0cmであった(p<0.05)。FFD向上群で総軌跡長の短縮が認められた者は21名中20名であった。
【結論】距骨下関節を誘導することによって,FFDの変化が認められた。またFFDが向上した誘導方向と片脚立位時の安定性は関与していることが示唆された。先行研究において距骨下関節回外誘導は,片脚立位時の総軌跡長や筋活動を減少させると報告している。本研究では,距骨下関節回外誘導で21名中15名に,回内誘導で6名にFFDの向上が確認された。個々によって適合する距骨下関節誘導方向は異なることが明らかとなった。FFD向上群では21名中20名で片脚立位時の安定性が認められた。このことから,より精度の高い距骨下関節の誘導方向の決定には,立位体前屈を用いた評価が有用であることが示唆された。また先行研究で片脚動作中に起こる現象は歩行立脚初期から中期にかけて反映されることやFFDの向上は歩行効率が向上すると報告されており,FFDの向上は歩行時の距骨下関節誘導方向を示唆する可能性がある。今後は,歩行との関連を調査していきたい。