[P-MT-16-5] 人工股関節全置換術後の満足度に影響を与えるJHEQ質問項目の検討
~退院時および術後3ヶ月における検討~
Keywords:人工股関節全置換術, 日本整形外科学会股関節疾患評価質問表(JHEQ), 患者満足度
【はじめに,目的】
当院では人工股関節全置換術(以下THA)に対し,3週間のクリニカルパスを使用している。またTHA術後の評価として日本整形外科学会股関節疾患評価質問表(以下JHEQ)を用いている。近年,患者主体の主観的評価が注目されており,患者満足度が重視されている。先行研究では,JHEQ満足度に影響を与えるJHEQ痛み,動作,メンタルの合計点での検討はあるが,JHEQ満足度に影響を与える各JHEQ質問項目の検討は明らかになっていない。そこで今回,THA術後退院時,術後3ヶ月の満足度に影響を与えるJHEQ質問項目を検討することを目的とした。
【方法】
対象は片側THAを施行し,THA術後3ヶ月まで経過観察が可能であった35名(男性8名,女性27名,平均年齢68.17±8.7歳,入院期間19.0±3.2日,全例変形性股関節症,前方アプローチ)とした。除外基準は,術後合併症例,両側THA例とした。当院クリニカルパスに準じて術後理学療法を行い,退院後も外来にてフォローを行った。対象者には退院時と術後3ヶ月にJHEQを実施した。JHEQ満足度で10mm未満を満足群,10mm以上を不満足群と定義した。JHEQ質問項目20項目との関連について各項目の0点,1点,2点を困難,3点,4点を可能と定義し,χ2検定(p<0.05)を用いて不満足群に関連のある項目を抽出した。
【結果】
退院時では35名中17名の対象者が不満足群であった。退院時の不満足群と関連性のあった因子およびリスク比は「痛みがあるため股関節が動かしづらいことがある(1.78)」「股関節の痛みのためによく眠れない日がある(1.30)」「靴下をはくことが困難である(6.61)」であった。術後3ヶ月では35名中13名の対象者が不満足群であった。術後3ヶ月の不満足群と関連性のあった因子およびリスク比は,「安静にしていても股関節が痛くて苦痛である(1.30)」「股関節の痛みのため力が入りにくいことがある(1.77)」「階段を上り下りすることが困難である(2.00)」「和式トイレの使用が困難である(5.32)」「股関節の病気のために,健康に不満がある(2.26)」「股関節の病気のためにいろいろなことに意欲的に取り込むことが困難である(2.00)」であった。
【結論】
結果より満足度は退院時よりも術後3ヶ月の方が改善しているが,時期によって満足度に影響するJHEQ質問項目は異なることが明らかとなった。退院時満足度においては疼痛抑制を中心としたアプローチや動作方法の指導が必要になってくると考えた。また,術後3ヶ月は活動量が拡大するため,痛みのみならず,動作およびメンタルを考慮した上で,個々の環境に合わせたADL指導,身体機能の改善が重要になってくると考えた。術後は時期に合わせた理学療法を行うことにより,患者自身が捉える満足度の向上に繋がることが示唆された。
当院では人工股関節全置換術(以下THA)に対し,3週間のクリニカルパスを使用している。またTHA術後の評価として日本整形外科学会股関節疾患評価質問表(以下JHEQ)を用いている。近年,患者主体の主観的評価が注目されており,患者満足度が重視されている。先行研究では,JHEQ満足度に影響を与えるJHEQ痛み,動作,メンタルの合計点での検討はあるが,JHEQ満足度に影響を与える各JHEQ質問項目の検討は明らかになっていない。そこで今回,THA術後退院時,術後3ヶ月の満足度に影響を与えるJHEQ質問項目を検討することを目的とした。
【方法】
対象は片側THAを施行し,THA術後3ヶ月まで経過観察が可能であった35名(男性8名,女性27名,平均年齢68.17±8.7歳,入院期間19.0±3.2日,全例変形性股関節症,前方アプローチ)とした。除外基準は,術後合併症例,両側THA例とした。当院クリニカルパスに準じて術後理学療法を行い,退院後も外来にてフォローを行った。対象者には退院時と術後3ヶ月にJHEQを実施した。JHEQ満足度で10mm未満を満足群,10mm以上を不満足群と定義した。JHEQ質問項目20項目との関連について各項目の0点,1点,2点を困難,3点,4点を可能と定義し,χ2検定(p<0.05)を用いて不満足群に関連のある項目を抽出した。
【結果】
退院時では35名中17名の対象者が不満足群であった。退院時の不満足群と関連性のあった因子およびリスク比は「痛みがあるため股関節が動かしづらいことがある(1.78)」「股関節の痛みのためによく眠れない日がある(1.30)」「靴下をはくことが困難である(6.61)」であった。術後3ヶ月では35名中13名の対象者が不満足群であった。術後3ヶ月の不満足群と関連性のあった因子およびリスク比は,「安静にしていても股関節が痛くて苦痛である(1.30)」「股関節の痛みのため力が入りにくいことがある(1.77)」「階段を上り下りすることが困難である(2.00)」「和式トイレの使用が困難である(5.32)」「股関節の病気のために,健康に不満がある(2.26)」「股関節の病気のためにいろいろなことに意欲的に取り込むことが困難である(2.00)」であった。
【結論】
結果より満足度は退院時よりも術後3ヶ月の方が改善しているが,時期によって満足度に影響するJHEQ質問項目は異なることが明らかとなった。退院時満足度においては疼痛抑制を中心としたアプローチや動作方法の指導が必要になってくると考えた。また,術後3ヶ月は活動量が拡大するため,痛みのみならず,動作およびメンタルを考慮した上で,個々の環境に合わせたADL指導,身体機能の改善が重要になってくると考えた。術後は時期に合わせた理学療法を行うことにより,患者自身が捉える満足度の向上に繋がることが示唆された。