[P-MT-17-1] 糖尿病や甲状腺疾患は癒着性関節包炎の改善を遅延させる
キーワード:拘縮, 危険因子, 肩関節周囲炎
【目的】
Clinical practice guidelineによると癒着性関節包炎(Adhesive capsulitis:AC)の特異的Risk factorは糖尿病,甲状腺疾患である。病期,臨床経過はStageI,II(Freezing),III(Frozen),IV(Thawing)に従うが,これはRisk factorの有無を関連付けてない。また,糖尿病や甲状腺疾患を有するACの臨床経過の報告は殆どない。本研究の目的はRisk factorを有する者は有さない者に比べ改善率が遅延すると仮定し検討をした。
【方法】
対象は当院にて肩関節周囲炎と診断されACの定義(1)1ヶ月以上の疼痛を有するもの(2)患側への側臥位不可(3)自他動可動域制限(4)夜間痛(5)外旋が健側より50%以上の制限に該当すると判断された16例。3年以上の糖尿病歴,甲状腺疾患を有するものをRisk factor群(R群:男性5名,女性3名,年齢63.7±7.3),有しないものをControl群(C群:女性8名,年齢68.5±8.7)とした。除外基準は甲状腺摘出術を経験した者,理学療法実施中のステロイド注射を行なった者,介入期間の追跡不可能な者,Red flagを有する者とした。ステロイド注射は短期効果(6~7週)があり,長期効果(12~52週)が無いとの強いエビデンスがあるため,エンドポイントの設定は効果の消失する12週とした。評価は能力障害をみるために妥当性,信頼性が認められているShoulder pain and disability index(SPADI)を使用した。ベースライン評価は,年齢,AC stage,ステロイド注射の有無,SPADIを確認した。改善率は((初期評価-最終評価)/初期評価×100)で算出した。統計方法は,R群とC群の差の検定を適用した。検定に先立ってデータが正規分布に従うかをShapiro-Wilk検定で確認した。すべての検定における有意水準はP=0.05とした。すべての統計解析のためにR-2.8.1を用いた。
【結果】
Shapiro-Wilk検定を行なった結果,すべての変数が正規分布していると確認できた。Levene検定で各標本の等分散が確認でき,2標本のt検定を適用した。名義尺度はχ2独立性の検定を適用した。ベースラインはすべての変数で有意差を認めなかった。改善率はR群:20.9±22.0,C群:56.5±19.7,p=0.004,(95%CI 13.1~58.0)有意差が認められた。
【結論】
糖尿病や甲状腺疾患はACの改善を遅延させることがわかった。臨床上,問診にて特異的Risk factorの確認は予後予測を行なう上で重要である。
Clinical practice guidelineによると癒着性関節包炎(Adhesive capsulitis:AC)の特異的Risk factorは糖尿病,甲状腺疾患である。病期,臨床経過はStageI,II(Freezing),III(Frozen),IV(Thawing)に従うが,これはRisk factorの有無を関連付けてない。また,糖尿病や甲状腺疾患を有するACの臨床経過の報告は殆どない。本研究の目的はRisk factorを有する者は有さない者に比べ改善率が遅延すると仮定し検討をした。
【方法】
対象は当院にて肩関節周囲炎と診断されACの定義(1)1ヶ月以上の疼痛を有するもの(2)患側への側臥位不可(3)自他動可動域制限(4)夜間痛(5)外旋が健側より50%以上の制限に該当すると判断された16例。3年以上の糖尿病歴,甲状腺疾患を有するものをRisk factor群(R群:男性5名,女性3名,年齢63.7±7.3),有しないものをControl群(C群:女性8名,年齢68.5±8.7)とした。除外基準は甲状腺摘出術を経験した者,理学療法実施中のステロイド注射を行なった者,介入期間の追跡不可能な者,Red flagを有する者とした。ステロイド注射は短期効果(6~7週)があり,長期効果(12~52週)が無いとの強いエビデンスがあるため,エンドポイントの設定は効果の消失する12週とした。評価は能力障害をみるために妥当性,信頼性が認められているShoulder pain and disability index(SPADI)を使用した。ベースライン評価は,年齢,AC stage,ステロイド注射の有無,SPADIを確認した。改善率は((初期評価-最終評価)/初期評価×100)で算出した。統計方法は,R群とC群の差の検定を適用した。検定に先立ってデータが正規分布に従うかをShapiro-Wilk検定で確認した。すべての検定における有意水準はP=0.05とした。すべての統計解析のためにR-2.8.1を用いた。
【結果】
Shapiro-Wilk検定を行なった結果,すべての変数が正規分布していると確認できた。Levene検定で各標本の等分散が確認でき,2標本のt検定を適用した。名義尺度はχ2独立性の検定を適用した。ベースラインはすべての変数で有意差を認めなかった。改善率はR群:20.9±22.0,C群:56.5±19.7,p=0.004,(95%CI 13.1~58.0)有意差が認められた。
【結論】
糖尿病や甲状腺疾患はACの改善を遅延させることがわかった。臨床上,問診にて特異的Risk factorの確認は予後予測を行なう上で重要である。