[P-MT-18-2] 腰部脊柱管狭窄症術後1年における歩行能力の経時的変化
Keywords:腰部脊柱管狭窄症, 歩行能力, QOL
【はじめに,目的】
腰部脊柱管狭窄症では間欠性跛行が特徴的で歩行能力とQOLが阻害される。腰部脊柱管狭窄症の術後の報告はいくつか散見されるが,術後の歩行能力とQOLの経時的な変化に対する報告は狩猟しえない。本研究の目的は,当院における腰部脊柱管狭窄症術後1年までにおける歩行能力とQOLの経時的な変化について調査することである。
【方法】
当院において間欠性跛行を呈し,手術を施行した腰部脊柱管狭窄症16例(男性9例,女性7例,平均年齢73.9±5.7歳)を対象とした。歩行困難な症例,術前に15分間連続歩行可能だった症例,評価項目に不備があった症例は対象から除外した。評価項目は,10m歩行テスト,連続歩行テスト,包括的健康関連QOL尺度であるMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と患者立脚型の腰痛疾患特異的評価尺度である日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ),腰部脊柱管狭窄症患者の疾患特異的評価尺度であるチューリヒ跛行質問票(以下:ZCQ)とした。10m歩行テストは,最大スピードで歩行時間と歩数を計測した。連続歩行テストでは快適歩行速度で15分を上限とする連続歩行可能距離を計測した。SF-36では国民標準値を用いてスコアリング(平均50点,標準偏差10点)した。評価は術前,術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年に実施した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。術後の理学療法はおおむね3,4週間の入院期間中のみ実施した。統計的処理は術前と術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年の比較において一元配置分散分析および多重比較検定を用いて実施した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
歩行テストでは,連続歩行距離において術前平均386mが術後3ヶ月821m,術後6ヶ月762m,歩行時VASは術前62mmが術後3ヶ月20mm,術後6ヶ月24mm,術後1年25mmで有意な改善が認められた。QOL評価では,SF-36のPFにおいて術前平均19.4点が術後3ヶ月37.1点,術後6ヶ月39.4点,術後1年37点。BPでは術前29.9点が術後3ヶ月43.1点,術後6ヶ月44.8点,術後1年42.9点。JOABPEQの疼痛関連では術前48.6点が術後3ヶ月79.4点,術後6ヶ月79点,歩行機能では術前32.7点が術後3ヶ月73.2点,術後6ヶ月77.3点,術後1年70.2点。社会生活では術前40.5点が,術後3ヶ月67.2点,術後6ヶ月77.4点,術後1年70.6点。ZCQでは術前37.7点が術後3ヶ月24.5点,術後6ヶ月24.3点,術後1年25.5点と有意な改善が認められていた。今回の結果では術前に比べ術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年と改善が認められていたが,その他の期間では有意な改善は認められなかった。また,上記以外の項目では有意な改善は認められなかった。
【結論】
今回の結果から術後1年までの経過では歩行能力と痛みにおいて術後3ヶ月をピークに改善し,おおむね術後1年まで維持されていることが分かった。しかし,QOLの精神面では術後有意に改善が得られていなかった。
腰部脊柱管狭窄症では間欠性跛行が特徴的で歩行能力とQOLが阻害される。腰部脊柱管狭窄症の術後の報告はいくつか散見されるが,術後の歩行能力とQOLの経時的な変化に対する報告は狩猟しえない。本研究の目的は,当院における腰部脊柱管狭窄症術後1年までにおける歩行能力とQOLの経時的な変化について調査することである。
【方法】
当院において間欠性跛行を呈し,手術を施行した腰部脊柱管狭窄症16例(男性9例,女性7例,平均年齢73.9±5.7歳)を対象とした。歩行困難な症例,術前に15分間連続歩行可能だった症例,評価項目に不備があった症例は対象から除外した。評価項目は,10m歩行テスト,連続歩行テスト,包括的健康関連QOL尺度であるMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と患者立脚型の腰痛疾患特異的評価尺度である日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ),腰部脊柱管狭窄症患者の疾患特異的評価尺度であるチューリヒ跛行質問票(以下:ZCQ)とした。10m歩行テストは,最大スピードで歩行時間と歩数を計測した。連続歩行テストでは快適歩行速度で15分を上限とする連続歩行可能距離を計測した。SF-36では国民標準値を用いてスコアリング(平均50点,標準偏差10点)した。評価は術前,術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年に実施した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。術後の理学療法はおおむね3,4週間の入院期間中のみ実施した。統計的処理は術前と術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年の比較において一元配置分散分析および多重比較検定を用いて実施した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
歩行テストでは,連続歩行距離において術前平均386mが術後3ヶ月821m,術後6ヶ月762m,歩行時VASは術前62mmが術後3ヶ月20mm,術後6ヶ月24mm,術後1年25mmで有意な改善が認められた。QOL評価では,SF-36のPFにおいて術前平均19.4点が術後3ヶ月37.1点,術後6ヶ月39.4点,術後1年37点。BPでは術前29.9点が術後3ヶ月43.1点,術後6ヶ月44.8点,術後1年42.9点。JOABPEQの疼痛関連では術前48.6点が術後3ヶ月79.4点,術後6ヶ月79点,歩行機能では術前32.7点が術後3ヶ月73.2点,術後6ヶ月77.3点,術後1年70.2点。社会生活では術前40.5点が,術後3ヶ月67.2点,術後6ヶ月77.4点,術後1年70.6点。ZCQでは術前37.7点が術後3ヶ月24.5点,術後6ヶ月24.3点,術後1年25.5点と有意な改善が認められていた。今回の結果では術前に比べ術後3ヶ月,術後6ヶ月,術後1年と改善が認められていたが,その他の期間では有意な改善は認められなかった。また,上記以外の項目では有意な改善は認められなかった。
【結論】
今回の結果から術後1年までの経過では歩行能力と痛みにおいて術後3ヶ月をピークに改善し,おおむね術後1年まで維持されていることが分かった。しかし,QOLの精神面では術後有意に改善が得られていなかった。