[P-MT-20-3] 非特異的腰痛者におけるサイドブリッジ持久力テスト時の体幹筋疲労分析
Keywords:非特異的腰痛, Side Bridge, T2値
【はじめに,目的】
腰痛は約60~80%の人が人生で一度は経験し(Nachemson, 2004),器質的原因が特定できない非特異的腰痛(NLBP)が80~90%を占める(荒木,2012)。腰痛者では腹横筋を代表とした深部筋機能不全が報告されている。体幹筋群の持久力により腰痛リスクの高い者を予測できるとの報告がある(McGill, 1999)。体幹筋等尺性持久力の評価としてSide Bridge(SB)を維持するSB持久力テスト(SBET)が挙げられる(McGill, 2002)。筋疲労の評価方法としてT2強調像の横緩和時間(T2値)を用いた方法が挙げられる。T2値は筋の活動状態の把握だけでなく筋疲労の程度も反映する(Adams, 1992/柳澤,2012)。有疾患の腰痛者においてSBET持続時間低下が報告されているが,その際の深部筋疲労についての報告はない。本研究の目的は,NLBP者におけるSBET実施時の深部筋疲労を,T2値を用いて明らかにすることである。
【方法】
対象は半年以上腰痛のない成人男性8名(27.3±4.7歳,167.5±5.2cm,57.6±5.9kg)を対照群(C群),疼痛誘発テストで陽性かつ半年に1回以上の頻度で腰痛を生じる成人男性11名(27.0±4.4歳,171.3±6.2cm,61.6±7.6kg)をNLBP群とした。神経学的・整形外科的疾患を有する者,測定日に腰痛を有する者,心因性疼痛の要素がある者は除外した。SBETはMcGillらの方法に順じC群は無作為,NLBP群は疼痛側を下側とし,事前測定した最大保持時間の50%で実施した。測定項目はSBET前後の第3・4腰椎間高位水平断の表在筋(外腹斜筋)と深部筋(腹横筋+内腹斜筋)T2値[msec]とした。T2強調像・T2マップ撮像はPhilips社製MRI(Achieva 3.0T Quasar-dual)を使用した。撮像肢位は両上肢拳上の背臥位にてSENCE-Torsoコイルを装着し,撮像条件はTR=3900ms,TE=20ms,NSA=1,FA=90°,FOV=350mm,Slice Thickness=5mm,gap=0mmとした。T2値はImageJ(1.48v)を使用し表在筋・深部筋の関心領域を設定したT2マップから算出した。統計解析は時間経過(SBET Pre/Post,対応あり)と腰痛経験(N/NLBP,対応なし)を独立変数,表在筋・深部筋のT2値を従属変数とした2元配置分散分析とTukey法による多重比較検定を実施した。統計処理にはIBM SPSSver.22を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
50%SBET時間[sec]はC群74.2±22.9,NLBP群55.3±29.3で有意差を認めた。表在筋T2値はC群Pre70.8±3.9・Post84.4±7.0,NLBP群Pre70.8±3.5・Post86.4±5.4で時間経過に主効果を認めた。深部筋T2値はC群Pre78.4±7.5・Post79.1±5.4,NLBP群Pre75.1±3.7・Post80.1±4.1で時間経過・腰痛経験とも主効果あり,交互作用も認められた。単純主効果の検定ではNLBP群のPre/Postで有意差を認めた。
【結論】
NLBP群ではSBET持続時間がC群より短く深部筋T2値はより上昇していた。先行研究同様にNLBP者では体幹筋等尺性持久力低下を認め,SBETにおいて健常者よりも深部筋の易疲労を生じることが明らかとなり,深部筋等尺性持久力の低下が示唆された。
腰痛は約60~80%の人が人生で一度は経験し(Nachemson, 2004),器質的原因が特定できない非特異的腰痛(NLBP)が80~90%を占める(荒木,2012)。腰痛者では腹横筋を代表とした深部筋機能不全が報告されている。体幹筋群の持久力により腰痛リスクの高い者を予測できるとの報告がある(McGill, 1999)。体幹筋等尺性持久力の評価としてSide Bridge(SB)を維持するSB持久力テスト(SBET)が挙げられる(McGill, 2002)。筋疲労の評価方法としてT2強調像の横緩和時間(T2値)を用いた方法が挙げられる。T2値は筋の活動状態の把握だけでなく筋疲労の程度も反映する(Adams, 1992/柳澤,2012)。有疾患の腰痛者においてSBET持続時間低下が報告されているが,その際の深部筋疲労についての報告はない。本研究の目的は,NLBP者におけるSBET実施時の深部筋疲労を,T2値を用いて明らかにすることである。
【方法】
対象は半年以上腰痛のない成人男性8名(27.3±4.7歳,167.5±5.2cm,57.6±5.9kg)を対照群(C群),疼痛誘発テストで陽性かつ半年に1回以上の頻度で腰痛を生じる成人男性11名(27.0±4.4歳,171.3±6.2cm,61.6±7.6kg)をNLBP群とした。神経学的・整形外科的疾患を有する者,測定日に腰痛を有する者,心因性疼痛の要素がある者は除外した。SBETはMcGillらの方法に順じC群は無作為,NLBP群は疼痛側を下側とし,事前測定した最大保持時間の50%で実施した。測定項目はSBET前後の第3・4腰椎間高位水平断の表在筋(外腹斜筋)と深部筋(腹横筋+内腹斜筋)T2値[msec]とした。T2強調像・T2マップ撮像はPhilips社製MRI(Achieva 3.0T Quasar-dual)を使用した。撮像肢位は両上肢拳上の背臥位にてSENCE-Torsoコイルを装着し,撮像条件はTR=3900ms,TE=20ms,NSA=1,FA=90°,FOV=350mm,Slice Thickness=5mm,gap=0mmとした。T2値はImageJ(1.48v)を使用し表在筋・深部筋の関心領域を設定したT2マップから算出した。統計解析は時間経過(SBET Pre/Post,対応あり)と腰痛経験(N/NLBP,対応なし)を独立変数,表在筋・深部筋のT2値を従属変数とした2元配置分散分析とTukey法による多重比較検定を実施した。統計処理にはIBM SPSSver.22を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
50%SBET時間[sec]はC群74.2±22.9,NLBP群55.3±29.3で有意差を認めた。表在筋T2値はC群Pre70.8±3.9・Post84.4±7.0,NLBP群Pre70.8±3.5・Post86.4±5.4で時間経過に主効果を認めた。深部筋T2値はC群Pre78.4±7.5・Post79.1±5.4,NLBP群Pre75.1±3.7・Post80.1±4.1で時間経過・腰痛経験とも主効果あり,交互作用も認められた。単純主効果の検定ではNLBP群のPre/Postで有意差を認めた。
【結論】
NLBP群ではSBET持続時間がC群より短く深部筋T2値はより上昇していた。先行研究同様にNLBP者では体幹筋等尺性持久力低下を認め,SBETにおいて健常者よりも深部筋の易疲労を生じることが明らかとなり,深部筋等尺性持久力の低下が示唆された。