第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本運動器理学療法学会 一般演題ポスター
運動器P23

Sat. May 28, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-MT-23-1] 膝蓋下脂肪体の角度による厚みの評価

超音波エコーを用いた健常群と変形性膝関節症無痛群,有痛群との比較

永田達1, 新貝和也2, 田中直1, 牧野佳朗1 (1.まきの整形外科医院, 2.公立陶生病院中央リハビリテーション部)

Keywords:膝蓋下脂肪体, 超音波エコー, 変形性膝関節症

【はじめに,目的】

林は,膝関節周囲組織の硬さは膝蓋下脂肪体(IPFP)の機能変形を阻害し,膝前面部痛と関連している可能性があると報告している。IPFPの機能変形の阻害が膝前面部痛を招くという報告はみられるが,IPFPの機能変形についてIPFPの厚みに関する報告はない。本研究の目的は,変形性膝関節症(OA)患者におけるIPFP厚を,健常者と比較することを目的とした。また,疼痛の有無による違いも検討した。


【方法】

対象は健常者5例8膝(N群,平均年齢60±9.5歳),OAと診断されIPFPに疼痛が無い者6例7膝(OAN群,平均年齢71.1±7.2),OAと診断されIPFPに疼痛を有する者7例7膝(OAP群,平均年齢71±8.9歳)とした。方法は,測定肢位を背臥位とし,超音波エコー(Xario™ 100,東芝製)を用いてIPFP厚を測定した。IPFPは,膝蓋骨内側縁から大腿骨内顆を描出した長軸走査にてIPFPを同定し,内蔵デジタルメジャーにて厚さを計測した。測定角度は,膝関節屈曲0度,60度,130度とし,各3回測定してその平均値を算出した。解析方法は,IPFPの各角度における群間の比較をTukeyの多重比較検定を用いて解析した。




【結果】

IPFP厚は0度において,N群(2.3±0.2mm),OAN群(2.7±0.3mm),OAP群(3.4±0.3mm)の順に有意に高値を示した(P<0.05)。60度においては,N群(1.7±0.3mm),OAN群(2.1±0.3mm),OAP群(2.7±0.2mm)と,N群とOAP群,OAN群とOAP群において有意な差がみられた(P<0.05)。130度においては,N群(1.9±0.4mm),OAN群(2.1±0.3mm),OAP群(3.2±0.7mm)となり,N群とOAP群,OAN群とOAP群において有意な差がみられた(P<0.05)。




【結論】

IPFPは,健常者よりもOA患者の方が厚く,さらに疼痛を有する者で有意に厚かった。IPFP厚の増大は,膝前面部痛および変形と関与していることが明らかとなった。IPFPの機能変形の阻害には,IPFP厚が関係し,その結果として疼痛が生じている可能性がある。