[P-MT-25-3] 変形性膝関節症患者の神経障害性疼痛様の症状の有無と破局的思考および自己効力感との関連:横断研究
Keywords:変形性膝関節症, 神経障害性疼痛, 保存療法
【はじめに】変形性膝関節症(膝OA)は,痛みを主訴とする筋骨格系疾患の一つである。痛みには侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛(neuropathic pain:NP)があり,膝OA患者の中にはNP様の症状を有すサブグループが存在すると言われている。NPをスクリーニングするツールとしてPainDETECT(PDQ)があり,得点が13点以上でNPの存在が疑われる。しかし,PDQは偽陽性になりやすく,このことは,患者にNP様の疼痛をもたらす別の要因が存在することを示唆している。その要因として,我々は今回,破局的思考や自己効力感に注目した。これらは膝OA患者の痛みの悪化と関連し,痛みの認知を歪めている可能性がある。そこで,本研究は,PDQによる膝OA患者のNP様の症状と破局的思考および自己効力感との関連を検討することを目的とした。
【方法】本研究は横断研究であり,サカ緑井病院,緑井整形外科,大朝ふるさと病院の外来にて実施された。データ収集の期間は,2014年4月から2015年2月までであった。組み入れ基準は,疼痛を有し,医師によって膝OAと診断された者,とした。除外基準は,認知症と診断されている者,関節リウマチと診断されている者,人工膝関節置換術が施行されている者,とした。NPの有無はPDQを使って判断し,得点が12点以下をNPなし群,13点以上をNP疑い群とした。破局的思考の評価には,coping strategy questionnaire(CSQ)を用いた。自己効力感の評価には,慢性関節リウマチ患者の自己効力感尺度(Self-efficacy Scale for Rheumatoid Arthritis:SERA)を使用した。PDQによるNPの有無と破局的思考および自己効力感との関連を検討するために,ROC曲線を使って最適な感度および特異度を算出した。また,2群間に有意差のあった変数についても感度および特異度を求めた。
【結果】50名の膝OA罹患者から研究協力が得られ,NPなし群は33名(66%),NP疑い群は17名(34%)であった。2群間で有意差のあった変数は,年齢,CSQの下位尺度である「破滅思考」,SERAの下位尺度である「痛みに対する自己効力感」であった。PDQの得点が13点以上を陽性とした場合の各変数のカットオフ値・感度・特異度は,年齢が73歳以上・0.941・0.485であり,NP様の症状の存在を除外するためには年齢を考慮することが有用であることが示唆された。また,年齢が73歳以上,かつ破滅思考が8点以上,かつ痛みに対する自己効力感が21点以下だった場合の感度・特異度は,0.471・0.939であり,これらの要因がPDQによるNPの疑い,NP様の症状と強く結びついていることが示唆された。
【結論】年齢,破滅思考,疼痛に対する自己効力感は,PD-QによるNPの有無と関連する。
【方法】本研究は横断研究であり,サカ緑井病院,緑井整形外科,大朝ふるさと病院の外来にて実施された。データ収集の期間は,2014年4月から2015年2月までであった。組み入れ基準は,疼痛を有し,医師によって膝OAと診断された者,とした。除外基準は,認知症と診断されている者,関節リウマチと診断されている者,人工膝関節置換術が施行されている者,とした。NPの有無はPDQを使って判断し,得点が12点以下をNPなし群,13点以上をNP疑い群とした。破局的思考の評価には,coping strategy questionnaire(CSQ)を用いた。自己効力感の評価には,慢性関節リウマチ患者の自己効力感尺度(Self-efficacy Scale for Rheumatoid Arthritis:SERA)を使用した。PDQによるNPの有無と破局的思考および自己効力感との関連を検討するために,ROC曲線を使って最適な感度および特異度を算出した。また,2群間に有意差のあった変数についても感度および特異度を求めた。
【結果】50名の膝OA罹患者から研究協力が得られ,NPなし群は33名(66%),NP疑い群は17名(34%)であった。2群間で有意差のあった変数は,年齢,CSQの下位尺度である「破滅思考」,SERAの下位尺度である「痛みに対する自己効力感」であった。PDQの得点が13点以上を陽性とした場合の各変数のカットオフ値・感度・特異度は,年齢が73歳以上・0.941・0.485であり,NP様の症状の存在を除外するためには年齢を考慮することが有用であることが示唆された。また,年齢が73歳以上,かつ破滅思考が8点以上,かつ痛みに対する自己効力感が21点以下だった場合の感度・特異度は,0.471・0.939であり,これらの要因がPDQによるNPの疑い,NP様の症状と強く結びついていることが示唆された。
【結論】年齢,破滅思考,疼痛に対する自己効力感は,PD-QによるNPの有無と関連する。