[P-MT-31-3] 人工膝関節全置換術において腫脹がROMに与える影響
Keywords:人工膝関節全置換術, 腫脹, ROM
【はじめに,目的】
人工膝関節全置換術(TKA)後の理学療法として,ROM拡大を進めていくうえで,術後の腫脹により改善が進まないことを経験する。本研究では,TKA後の腫脹がROMにどのように影響を与えるかについて検討を行った。
【方法】
当院にて2011年6月~2014年11月に変形性膝関節症でTKAを施行した42例52関節を対象とした。血液疾患,神経筋疾患,認知症等を有する者,クリニカルパスに沿って術後の理学療法を実施できなかった者は除外した。年齢74.2歳,男性10関節,女性42関節,身長152.2cm,体重62.2kg,BMI26.8,右20関節,左32関節,JOAスコア56.3であった。
調査項目は,術前,術後4日目,7日目,14日目,21日目の理学療法診療録より抽出した。ROMは膝関節屈曲・伸展角度,可動域の3項目,周径は膝関節裂隙部(膝周径),膝蓋骨上縁から5cm近位部(+5cm),膝蓋骨上縁から10cm近位部(+10cm)の3部位を0.5cm単位で測定した。
術後4日目,7日目,14日目,21日目については術前との差を算出し,ROMと周径間に関係があるかを検討した。統計解析はSpeamanの相関係数の検定を行い,有意水準は5%以下とした。
【結果】
膝伸展角度は術前-8.8°,4日目-5.6°,7日目-3.5°,14日目-2.4°,21日目-1.2°であった。屈曲角度は術前から順に123.9°,92.4°,99.4°,109.4°,118.1°,可動域は115.2°,86.8°,96.0°,107.1°,116.8°,膝周径は38.7cm,42.0cm,41.6cm,40.5cm,39.9cm,+5cmは40.8cm,44.7cm,44.2cm,42.5cm,41.6cm,+10cmは43.9cm,48.2cm,47.8cm,45.3cm,44.2cmであった。
術後7日目について,伸展術前との差と膝周径の間にr=-0.31,p=0.03,+5cmの間にr=-0.33,p=0.02,+10cmの間にr=-0.28,p=0.05,屈曲術前との差と+5cm術前との差の間にr=-0.30,p=0.03,可動域術前との差と膝周径術前との差の間にr=-0.29,p=0.04,+5cm術前との差の間にr=-0.28,p=0.04の弱い相関を認めた。術後14日目は,伸展術前との差と+5cmの間にr=-0.29,p=0.04の弱い相関を認めた。術後21日目は,伸展術前との差と+5cmとの間にr=-0.31,p=0.03,屈曲術前との差と+5cm術前との差の間にr=0.32,P=0.02の弱い相関を認めた。
【結論】
膝周径,+5cm,+10cmともに術後4日目が最も大きく,7日目,14日目,21日目と減少した。術後4日目に周径が最も増大したが,ROMとの相関は認められず,この時期はまだ創部痛などが残存しているため,それらによる影響も大きく,周径のみでは影響を与えにくいと考えられた。術後7日目は伸展術前との差と周径の間に,屈曲角度,可動域の差と周径の差に負の相関が認められた。術後7日目が,弱い相関ながらも伸展,屈曲,可動域ともに周径との相関がみられ,腫脹がROMに影響を与えていると考えられた。
+5cmの周径,+5cm術前との差は術後7日目,14日目,21日目にROMと相関が認められ,膝周径や+10cmよりもROMに影響を与えることが考えられた。
人工膝関節全置換術(TKA)後の理学療法として,ROM拡大を進めていくうえで,術後の腫脹により改善が進まないことを経験する。本研究では,TKA後の腫脹がROMにどのように影響を与えるかについて検討を行った。
【方法】
当院にて2011年6月~2014年11月に変形性膝関節症でTKAを施行した42例52関節を対象とした。血液疾患,神経筋疾患,認知症等を有する者,クリニカルパスに沿って術後の理学療法を実施できなかった者は除外した。年齢74.2歳,男性10関節,女性42関節,身長152.2cm,体重62.2kg,BMI26.8,右20関節,左32関節,JOAスコア56.3であった。
調査項目は,術前,術後4日目,7日目,14日目,21日目の理学療法診療録より抽出した。ROMは膝関節屈曲・伸展角度,可動域の3項目,周径は膝関節裂隙部(膝周径),膝蓋骨上縁から5cm近位部(+5cm),膝蓋骨上縁から10cm近位部(+10cm)の3部位を0.5cm単位で測定した。
術後4日目,7日目,14日目,21日目については術前との差を算出し,ROMと周径間に関係があるかを検討した。統計解析はSpeamanの相関係数の検定を行い,有意水準は5%以下とした。
【結果】
膝伸展角度は術前-8.8°,4日目-5.6°,7日目-3.5°,14日目-2.4°,21日目-1.2°であった。屈曲角度は術前から順に123.9°,92.4°,99.4°,109.4°,118.1°,可動域は115.2°,86.8°,96.0°,107.1°,116.8°,膝周径は38.7cm,42.0cm,41.6cm,40.5cm,39.9cm,+5cmは40.8cm,44.7cm,44.2cm,42.5cm,41.6cm,+10cmは43.9cm,48.2cm,47.8cm,45.3cm,44.2cmであった。
術後7日目について,伸展術前との差と膝周径の間にr=-0.31,p=0.03,+5cmの間にr=-0.33,p=0.02,+10cmの間にr=-0.28,p=0.05,屈曲術前との差と+5cm術前との差の間にr=-0.30,p=0.03,可動域術前との差と膝周径術前との差の間にr=-0.29,p=0.04,+5cm術前との差の間にr=-0.28,p=0.04の弱い相関を認めた。術後14日目は,伸展術前との差と+5cmの間にr=-0.29,p=0.04の弱い相関を認めた。術後21日目は,伸展術前との差と+5cmとの間にr=-0.31,p=0.03,屈曲術前との差と+5cm術前との差の間にr=0.32,P=0.02の弱い相関を認めた。
【結論】
膝周径,+5cm,+10cmともに術後4日目が最も大きく,7日目,14日目,21日目と減少した。術後4日目に周径が最も増大したが,ROMとの相関は認められず,この時期はまだ創部痛などが残存しているため,それらによる影響も大きく,周径のみでは影響を与えにくいと考えられた。術後7日目は伸展術前との差と周径の間に,屈曲角度,可動域の差と周径の差に負の相関が認められた。術後7日目が,弱い相関ながらも伸展,屈曲,可動域ともに周径との相関がみられ,腫脹がROMに影響を与えていると考えられた。
+5cmの周径,+5cm術前との差は術後7日目,14日目,21日目にROMと相関が認められ,膝周径や+10cmよりもROMに影響を与えることが考えられた。