[P-MT-31-6] 人工膝関節全置換術後早期からの連続したリハビリテーションが屋内歩行自立に与える影響
Keywords:人工膝関節全置換術, 早期リハビリテーション, 歩行自立
【はじめに,目的】
近年,急性期病院において術後早期からの充分なリハビリテーション(以下リハ)の必要性が述べられている。しかし,術後早期からのリハが与える影響を報告した先行研究は少なく,早期リハが身体機能や在院日数に与える影響は不明な点が多い。本研究の目的は術後早期における連続したリハの提供が身体機能や在院日数に与える効果を調査,検討することである。
【方法】
2015年3月~9月までの期間で当院にてTKA施行した患者27例を対象とした。対象者を月曜日に手術し術後4日間連続でリハを行えた連続群10名(男性4名,女性6名)と水曜日に手術し術後2日間しかリハを行えずに週末を迎えた非連続群17名(男性8名,女性9名)の2群に分けた。評価項目は,基本属性として年齢,性別,BMI,術後連続してリハを実施した日数(以下連続リハ日数),術後連続してリハを行った総単位数(以下連続リハ単位数),術後7日間のリハ総単位数,独歩または杖での屋内歩行自立日数,術後在院日数,平均リハ単位数,身体機能評価として膝関節可動域角度(以下ROM),10m歩行速度およびTimed up & go test(以下TUG)を術前と術後から退院までリハ実施時に毎回計測を行った。統計解析は,各評価項目をMann-WhitneyのU検定とχ2検定を用いて連続群と非連続群の2群間で比較した。またSpearmanの順位相関係数を用いて屋内歩行自立日数と各項目との相関分析を行い,相関関係を認めた項目と年齢,術後初回のROM・10m歩行速度・TUGを説明変数,屋内歩行自立日数を目的変数とした重回帰分析(stepwise法)を用いて要因分析を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
術前評価において2群間での有意差を認めなかった。屋内歩行自立日数において,連続群は非連続群より有意に短かった(連続群:平均4.4±3.7日,非連続群:平均7.7±3.5日,p<0.05)。その他の項目において2群間に有意差を認めなかった。また重回帰分析の結果,連続リハ日数と術後初回TUGが選択された。
【結論】
本研究の結果,屋内歩行を術後早期から獲得するためには術後早期から連続したリハの提供と術後初回のTUGが影響していることが明らかとなった。連続リハ日数に関しては,術後1病日は疼痛や体調不良から積極的に歩行訓練を行える者が少なく,2病日目以降から歩行訓練が可能となる者が多い。その為,非連続群では歩行訓練が充分に行えないまま週末を迎えることとなり,屋内歩行の獲得が遅れることが考えられる。またTUGはバランス能力を含んだ歩行能力評価であり,先行研究において歩行自立の指標となることが報告されている。本研究でも先行研究と同様に歩行自立の要因としてTUGが選択されたと考える。自宅退院を実現するためには,屋内歩行自立の獲得が必須であり,身体機能の向上だけでなく,術後早期から連続してリハを行い,リアルタイムに活動制限を調整することで早期の自宅退院につながる可能性が示唆される。
近年,急性期病院において術後早期からの充分なリハビリテーション(以下リハ)の必要性が述べられている。しかし,術後早期からのリハが与える影響を報告した先行研究は少なく,早期リハが身体機能や在院日数に与える影響は不明な点が多い。本研究の目的は術後早期における連続したリハの提供が身体機能や在院日数に与える効果を調査,検討することである。
【方法】
2015年3月~9月までの期間で当院にてTKA施行した患者27例を対象とした。対象者を月曜日に手術し術後4日間連続でリハを行えた連続群10名(男性4名,女性6名)と水曜日に手術し術後2日間しかリハを行えずに週末を迎えた非連続群17名(男性8名,女性9名)の2群に分けた。評価項目は,基本属性として年齢,性別,BMI,術後連続してリハを実施した日数(以下連続リハ日数),術後連続してリハを行った総単位数(以下連続リハ単位数),術後7日間のリハ総単位数,独歩または杖での屋内歩行自立日数,術後在院日数,平均リハ単位数,身体機能評価として膝関節可動域角度(以下ROM),10m歩行速度およびTimed up & go test(以下TUG)を術前と術後から退院までリハ実施時に毎回計測を行った。統計解析は,各評価項目をMann-WhitneyのU検定とχ2検定を用いて連続群と非連続群の2群間で比較した。またSpearmanの順位相関係数を用いて屋内歩行自立日数と各項目との相関分析を行い,相関関係を認めた項目と年齢,術後初回のROM・10m歩行速度・TUGを説明変数,屋内歩行自立日数を目的変数とした重回帰分析(stepwise法)を用いて要因分析を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
術前評価において2群間での有意差を認めなかった。屋内歩行自立日数において,連続群は非連続群より有意に短かった(連続群:平均4.4±3.7日,非連続群:平均7.7±3.5日,p<0.05)。その他の項目において2群間に有意差を認めなかった。また重回帰分析の結果,連続リハ日数と術後初回TUGが選択された。
【結論】
本研究の結果,屋内歩行を術後早期から獲得するためには術後早期から連続したリハの提供と術後初回のTUGが影響していることが明らかとなった。連続リハ日数に関しては,術後1病日は疼痛や体調不良から積極的に歩行訓練を行える者が少なく,2病日目以降から歩行訓練が可能となる者が多い。その為,非連続群では歩行訓練が充分に行えないまま週末を迎えることとなり,屋内歩行の獲得が遅れることが考えられる。またTUGはバランス能力を含んだ歩行能力評価であり,先行研究において歩行自立の指標となることが報告されている。本研究でも先行研究と同様に歩行自立の要因としてTUGが選択されたと考える。自宅退院を実現するためには,屋内歩行自立の獲得が必須であり,身体機能の向上だけでなく,術後早期から連続してリハを行い,リアルタイムに活動制限を調整することで早期の自宅退院につながる可能性が示唆される。