[P-MT-32-4] 鏡視下腱板修復術後の下垂位外旋制限についての検討
キーワード:鏡視下腱板修復術, 術後拘縮, 下垂位外旋可動域
【はじめに,目的】近年,鏡視下腱板修復術は良好な成績が報告されているが,術後合併症もみられ,その一つに術後拘縮があげられる。拘縮例には挙上可動域に制限はないが,外旋制限を認めるものも少なくない。今回,当院にて鏡視下腱板修復術を施行し,術後6ヶ月の時点で下垂位外旋制限が遺残した症例について検討し,その特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は,当院にて2009年1月から2013年12月までに鏡視下腱板一次修復術を施行し,術後1年以上経過観察可能であったもののうち,術前に拘縮を有するもの(挙上≦120度,下垂位外旋≦30度),術後6ヶ月の時点で挙上150度を獲得できなかったものを除外した244例(男性143例,女性101例)251肩とした。断裂形態は不全断裂79肩,完全断裂172肩,断裂部位は棘上筋腱断裂64肩,棘上筋腱+棘下筋腱断裂42肩,棘上筋腱+肩甲下筋腱34肩,棘上筋腱+棘下筋腱+肩甲下筋腱32肩で,平均年齢は61.2歳(21-79歳)であった。対象を術後6ヶ月時点で下垂位外旋可動域(以下,外旋)が30度未満を拘縮群(37肩),それ以外のものを非拘縮群(214肩)に分類し,糖尿病の有無,手術内容(修復腱,関節包切離術の有無,肩甲下筋腱最頭側部修復術の有無),断裂形態,術後固定期間の有無,術前と術後3ヶ月(以下,3M),6ヶ月(以下,6M),12ヶ月(以下,12M)の理学所見(他動関節可動域:術前,3M;挙上と外旋,6M,12M;外旋,等尺性筋力:術前,6M,12M;90度外転筋力,30度外転筋力,下垂位外旋筋力,内旋筋力)を後方視的に調査した。統計学的検討は,性別,糖尿病の有無,手術内容,断裂形態,術後固定期間の有無についてはχ2検定を,身体特性(年齢,身長,体重),各時期の理学所見についてはMann-WhitneyのU検定を用いて,有意水準は5%未満とした。
【結果】拘縮群と非拘縮群(拘縮群/非拘縮群)の間で,性別,身体特性,糖尿病の有無,手術内容,断裂形態,固定期間の有無,術前の理学所見に有意な差を認めなかった。術後関節可動域については,3Mの挙上(139.9度/148.7度,p<0.05),外旋(18.0度/38.6度,p<0.05),12Mの外旋(31.6度/49.0度,p<0.05)に有意な差を認めた。筋力については,6Mの下垂位外旋筋力(53.5N/62.7N,p<0.05)に有意な差を認めた。
【結論】手術内容などに2群間で有意な差は認めなかった。一方で,拘縮群は3Mでの挙上,外旋が有意に低値を示し,12Mでも外旋制限を有していた。また,6Mでの下垂位外旋筋力は有意に低値であった。外旋拘縮を防ぐには,後療法において,術直後より安全な負荷での外旋筋力の再教育を行い,3Mまでに外旋を獲得することが重要であることが示唆された。
【方法】対象は,当院にて2009年1月から2013年12月までに鏡視下腱板一次修復術を施行し,術後1年以上経過観察可能であったもののうち,術前に拘縮を有するもの(挙上≦120度,下垂位外旋≦30度),術後6ヶ月の時点で挙上150度を獲得できなかったものを除外した244例(男性143例,女性101例)251肩とした。断裂形態は不全断裂79肩,完全断裂172肩,断裂部位は棘上筋腱断裂64肩,棘上筋腱+棘下筋腱断裂42肩,棘上筋腱+肩甲下筋腱34肩,棘上筋腱+棘下筋腱+肩甲下筋腱32肩で,平均年齢は61.2歳(21-79歳)であった。対象を術後6ヶ月時点で下垂位外旋可動域(以下,外旋)が30度未満を拘縮群(37肩),それ以外のものを非拘縮群(214肩)に分類し,糖尿病の有無,手術内容(修復腱,関節包切離術の有無,肩甲下筋腱最頭側部修復術の有無),断裂形態,術後固定期間の有無,術前と術後3ヶ月(以下,3M),6ヶ月(以下,6M),12ヶ月(以下,12M)の理学所見(他動関節可動域:術前,3M;挙上と外旋,6M,12M;外旋,等尺性筋力:術前,6M,12M;90度外転筋力,30度外転筋力,下垂位外旋筋力,内旋筋力)を後方視的に調査した。統計学的検討は,性別,糖尿病の有無,手術内容,断裂形態,術後固定期間の有無についてはχ2検定を,身体特性(年齢,身長,体重),各時期の理学所見についてはMann-WhitneyのU検定を用いて,有意水準は5%未満とした。
【結果】拘縮群と非拘縮群(拘縮群/非拘縮群)の間で,性別,身体特性,糖尿病の有無,手術内容,断裂形態,固定期間の有無,術前の理学所見に有意な差を認めなかった。術後関節可動域については,3Mの挙上(139.9度/148.7度,p<0.05),外旋(18.0度/38.6度,p<0.05),12Mの外旋(31.6度/49.0度,p<0.05)に有意な差を認めた。筋力については,6Mの下垂位外旋筋力(53.5N/62.7N,p<0.05)に有意な差を認めた。
【結論】手術内容などに2群間で有意な差は認めなかった。一方で,拘縮群は3Mでの挙上,外旋が有意に低値を示し,12Mでも外旋制限を有していた。また,6Mでの下垂位外旋筋力は有意に低値であった。外旋拘縮を防ぐには,後療法において,術直後より安全な負荷での外旋筋力の再教育を行い,3Mまでに外旋を獲得することが重要であることが示唆された。