[P-MT-35-4] 当院における骨粗鬆症リエゾンサービスの現状と今後の課題
Keywords:リエゾンサービス, 骨粗鬆症, ロコモティブシンドローム
【はじめに,目的】リエゾンは「連絡係」と訳され,診療でのコーディネーターの役割を意味する。目的は最初の脆弱性骨折の予防,また骨折への対応および骨折リスク評価と,新たな骨折の防止である。近年,日本骨粗鬆学会でもリエゾンサービス(以下OLS)の普及,推進が行われている。当院では医師,看護師,理学療法士,作業療法士でOLSチームを立ち上げ2015年4月より取り組みを開始した。本研究の目的は,当院のOLSの現状を報告し,今後の課題を明確にすることである。
【方法】2015年4月から9月の期間中,当院で担当医師より骨粗鬆症治療薬を投与されている患者の中で,リエゾンサービス,またリハビリテーションについて説明し,同意の得られた患者を理学療法の対象とした。初期評価結果を元に運動の種類や強度を決定し,ホームプログラムの指導を個別に行った。自宅での運動実施の有無と他の評価項目との相関をスピアマン同順位補正相関係数で検定した。初診より3ヵ月前後の受診日に再評価を行い,ウィルコクソンの順位和検定を用いて比較した。
【結果】対象は20名で,年齢79±5.2歳,男性2名,女性18名,主病名は椎体骨折15名,上腕骨骨折1名,前腕骨折1名,その他3名であった。FOSTA指標-6.01±1.4で骨密度低下の高リスク群であり,YAM値67.2±11.8%と骨密度が低く,FRAX(骨粗鬆症骨折)23.3±12.2%で骨折のリスクが高かった。10m歩行11.2±8.7秒,Timed Up and Go Test(以下TUG)13.6±12.4秒,片脚立ち15.1±25.8秒,Functional Reach Test24.6±6.7cm,2ステップ値0.95±0.29,ロコモ25 32.4±23.8点,FIM121.4±9.9点であった。
開始後中断となった患者は5名で,うち1名は自己中断後転倒により右内果骨折を受傷し入院加療となった。
自宅での運動が実施できたのは9名で,運動実施の有無と,10m歩行(rs=-0.50),TUG(rs=-0.42),片脚立ち(rs=0.45)の間に危険率5%で有意な相関が認められた。
再評価ができたのは6名で,全例自宅での運動が実施できていた。初期評価と再評価は各々,10m歩行速度9.82±5.1秒,8.95±3.6秒,TUG 11.9±4.9秒,10.7±4.3秒,片脚立ち25.3±34.8秒,35.1±38.1秒,2ステップ値0.95±0.34,1.00±0.25,FIM116.5±17.1点,117.8±13.4点で,有意差は認めないが改善傾向を示した。
【結論】評価結果から,運動機能は個人差が大きく,低下例が多く含まれることが確認された。転倒・骨折を来たしてしまった症例があることからも,骨粗鬆症の患者は骨折のリスクが高く,チームで骨折を予防していくことの重要性が再確認された。有意差は認めないが継続できた患者で身体機能,ADLの改善が見込まれ,理学療法は意義があると考える。またリハビリを継続できない症例が散見され,今後の課題として継続率の改善が急務である。さらに,歩行能力,バランス能力の低下があるほど自宅での運動が実施できておらず,指導にさらなる工夫が必要だと考えられる。
【方法】2015年4月から9月の期間中,当院で担当医師より骨粗鬆症治療薬を投与されている患者の中で,リエゾンサービス,またリハビリテーションについて説明し,同意の得られた患者を理学療法の対象とした。初期評価結果を元に運動の種類や強度を決定し,ホームプログラムの指導を個別に行った。自宅での運動実施の有無と他の評価項目との相関をスピアマン同順位補正相関係数で検定した。初診より3ヵ月前後の受診日に再評価を行い,ウィルコクソンの順位和検定を用いて比較した。
【結果】対象は20名で,年齢79±5.2歳,男性2名,女性18名,主病名は椎体骨折15名,上腕骨骨折1名,前腕骨折1名,その他3名であった。FOSTA指標-6.01±1.4で骨密度低下の高リスク群であり,YAM値67.2±11.8%と骨密度が低く,FRAX(骨粗鬆症骨折)23.3±12.2%で骨折のリスクが高かった。10m歩行11.2±8.7秒,Timed Up and Go Test(以下TUG)13.6±12.4秒,片脚立ち15.1±25.8秒,Functional Reach Test24.6±6.7cm,2ステップ値0.95±0.29,ロコモ25 32.4±23.8点,FIM121.4±9.9点であった。
開始後中断となった患者は5名で,うち1名は自己中断後転倒により右内果骨折を受傷し入院加療となった。
自宅での運動が実施できたのは9名で,運動実施の有無と,10m歩行(rs=-0.50),TUG(rs=-0.42),片脚立ち(rs=0.45)の間に危険率5%で有意な相関が認められた。
再評価ができたのは6名で,全例自宅での運動が実施できていた。初期評価と再評価は各々,10m歩行速度9.82±5.1秒,8.95±3.6秒,TUG 11.9±4.9秒,10.7±4.3秒,片脚立ち25.3±34.8秒,35.1±38.1秒,2ステップ値0.95±0.34,1.00±0.25,FIM116.5±17.1点,117.8±13.4点で,有意差は認めないが改善傾向を示した。
【結論】評価結果から,運動機能は個人差が大きく,低下例が多く含まれることが確認された。転倒・骨折を来たしてしまった症例があることからも,骨粗鬆症の患者は骨折のリスクが高く,チームで骨折を予防していくことの重要性が再確認された。有意差は認めないが継続できた患者で身体機能,ADLの改善が見込まれ,理学療法は意義があると考える。またリハビリを継続できない症例が散見され,今後の課題として継続率の改善が急務である。さらに,歩行能力,バランス能力の低下があるほど自宅での運動が実施できておらず,指導にさらなる工夫が必要だと考えられる。