[P-MT-37-3] 大腿骨近位部骨折術後患者の基本動作能力と歩行能力向上の関係
Keywords:大腿骨近位部骨折, 基本動作, 歩行
【目的】急性期における大腿骨近位部骨折術後の基本動作能力と歩行能力の変化を経時的に調査し,それらの関係性と基本動作能力向上を図る有用性を明確にすることである。
【対象】同法人聖マリア病院において,2014年4月から2015年3月までに大腿骨近位部骨折に対し骨接合術を施行し術後翌日より全荷重が許可され,受傷前独歩自立していた患者55名(平均年齢71.3±15.7歳)。
【方法】診療録より,年齢,入院期間,受傷から手術までの期間,理学療法期間を調査した。基本動作能力を,寝返り,起き上がり,立ち上がり,移乗の動作において,Bedside Mobility Scaleを用い5段階で評価した。歩行能力は,不可能0点から独歩自立を12点とした13段階の独自のスケールで評価した。基本動作能力と歩行能力の評価は理学療法実施毎に行った。次いで,理学療法における退院時の歩行能力を杖歩行に到達した群(到達群)18名と杖歩行に到達しなかった群(未到達群)37名の2群に分類し,年齢,入院期間,受傷から手術までの期間,理学療法期間,HDS-Rについて比較検定を行った。検定は,Shapiro-Wilk検定の結果に準じt検定もしくはMann-Whiteny検定を用いた。また,各群において術後日数,各基本動作能力,歩行能力間の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて求めた。統計ソフトはSPSSを用い,有意水準5%未満とした。
【結果】年齢(到達群77.0±11.7歳,未到達群81.3±9.3歳),入院期間(27.1±5.6日,25.6±6.3日),理学療法実施期間(23.1±5.3日,21.4±6.7日)に有意な差は認められなかった。受傷から手術までの日数(7.5±3.5日,10.0±3.4日),HDS-R(25.6±6.4点,18.1±8.5点)では2群間に有意な差が認められた(P<0.01)。術後日数,各基本動作能力,歩行能力の相関関係でかなり強い相関があるとされる係数0.7以上の正の相関があったものは,到達群では各基本動作能力間,各基本動作能力と歩行能力,日数と歩行能力の間で認められ,未到達群では立ち上がりと移乗の動作能力の間のみであった。
【考察】本研究において,受傷から手術までの期間と認知機能が退院時の歩行能力に関与する因子と考えられる結果となった。基本動作能力と歩行能力の関係は,到達群で,各基本動作間,各基本動作と歩行の間に高い相関関係が認められた。一方,未到達群では,立ち上がり動作と移乗動作に相関関係が認められたものの,それ以外の相関関係は低く,各基本動作能力と歩行能力との関係は乏しいことが考えられた。つまり,大腿骨近位部骨折術後において基本動作能力向上を図ることは歩行能力の向上にも影響し有用であることが示唆された。
【対象】同法人聖マリア病院において,2014年4月から2015年3月までに大腿骨近位部骨折に対し骨接合術を施行し術後翌日より全荷重が許可され,受傷前独歩自立していた患者55名(平均年齢71.3±15.7歳)。
【方法】診療録より,年齢,入院期間,受傷から手術までの期間,理学療法期間を調査した。基本動作能力を,寝返り,起き上がり,立ち上がり,移乗の動作において,Bedside Mobility Scaleを用い5段階で評価した。歩行能力は,不可能0点から独歩自立を12点とした13段階の独自のスケールで評価した。基本動作能力と歩行能力の評価は理学療法実施毎に行った。次いで,理学療法における退院時の歩行能力を杖歩行に到達した群(到達群)18名と杖歩行に到達しなかった群(未到達群)37名の2群に分類し,年齢,入院期間,受傷から手術までの期間,理学療法期間,HDS-Rについて比較検定を行った。検定は,Shapiro-Wilk検定の結果に準じt検定もしくはMann-Whiteny検定を用いた。また,各群において術後日数,各基本動作能力,歩行能力間の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて求めた。統計ソフトはSPSSを用い,有意水準5%未満とした。
【結果】年齢(到達群77.0±11.7歳,未到達群81.3±9.3歳),入院期間(27.1±5.6日,25.6±6.3日),理学療法実施期間(23.1±5.3日,21.4±6.7日)に有意な差は認められなかった。受傷から手術までの日数(7.5±3.5日,10.0±3.4日),HDS-R(25.6±6.4点,18.1±8.5点)では2群間に有意な差が認められた(P<0.01)。術後日数,各基本動作能力,歩行能力の相関関係でかなり強い相関があるとされる係数0.7以上の正の相関があったものは,到達群では各基本動作能力間,各基本動作能力と歩行能力,日数と歩行能力の間で認められ,未到達群では立ち上がりと移乗の動作能力の間のみであった。
【考察】本研究において,受傷から手術までの期間と認知機能が退院時の歩行能力に関与する因子と考えられる結果となった。基本動作能力と歩行能力の関係は,到達群で,各基本動作間,各基本動作と歩行の間に高い相関関係が認められた。一方,未到達群では,立ち上がり動作と移乗動作に相関関係が認められたものの,それ以外の相関関係は低く,各基本動作能力と歩行能力との関係は乏しいことが考えられた。つまり,大腿骨近位部骨折術後において基本動作能力向上を図ることは歩行能力の向上にも影響し有用であることが示唆された。