[P-MT-39-1] 反重力トレッドミル(Alter-G)によるBWSTTが大腿骨近位部骨折術後早期の歩行能力回復に及ぼす影響について
キーワード:大腿骨近位部骨折術後, Alter-G, 歩行能力回復
【はじめに,目的】大腿骨近位部骨折術後の歩行獲得には,術後早期からの加速的リハが推奨されているが,疼痛などで急性期の歩行訓練に難渋することも少なくない。空気圧で免荷するAlter-Gは,ACL再建術後などにおける歩行訓練の有用性が報告されており,我々もTKA術後における有用性を報告した。しかし,大腿骨近位部骨折術後早期においては,BWSTTの有用性を報告した研究は殆どみられない。そこで本研究は,Alter-GによるBWSTTが大腿骨近位部骨折術後早期の歩行能力回復に及ぼす影響について,検討することを目的とした。
【方法】対象は大腿骨近位部骨折術後で,受傷前能力が屋内伝い歩き自立以上,既往に脳卒中や重度の認知機能低下の無い30例とした。方法は,Alter-G実施群15例(実施群,女性11例,男性4例,75.5±10.5歳),Alter-G非実施群15例(非実施群,女性11例,男性4例,68.5±21.5歳)に無作為に分け,実施群は通常の理学療法に加え,術後3日目よりAlter-GでのBWSTTを10分実施した。評価項目は術後7,14日目の患肢荷重量,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離及び歩行後のBorg Scale,10m歩行最大歩行速度(10MWS)及び歩幅,歩行器を使用した歩行自立までの日数(歩行自立日数)とした。実施群,非実施群の2群間で比較検討し,統計方法はカイ2乗検定,t検定,Mann-Whitney検定,welch検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】歩行自立日数は,実施群7.2±1.4日,非実施群11.3±5.5日と,実施群は非実施群に比べ,有意に短かった(p<0.05)。6分間歩行距離は,術後7日目が実施群174.7±80m,非実施群111.3±67.1m,術後14日目が実施群238.3±88.4m,非実施群162±90.9mと,いずれも実施群は非実施群に比べ,有意に延長した(p<0.05)。歩幅は,術後7日目が実施群49.6±14.2cm,非実施群34.3±13.5cm,術後14日目が実施群51.4±16.0cm,非実施群39.9±13.0cmと,いずれも実施群は非実施群に比べ有意に大きかった(p<0.05)。患肢荷重量,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離後のBorg Scale,10MWSは,術後7,14日目で,両群間に有意差を認めなかった。
【結論】実施群は非実施群に比べ,6分間歩行距離,10MWSの歩幅,歩行自立日数に有意な変化を認めた。楠らは,虚弱高齢者に対するAlter-GによるBWSTTは歩幅が大きく,歩行率が低下した歩行パターンに変化すると報告している。疼痛などにより歩幅が減少する大腿骨近位部骨折術後においても,BWSTTにより歩幅が拡大し,反復学習された歩行が平地歩行にも反映されたと考えた。また,非実施群が平地歩行で十分な歩行量を確保できない術後早期に,実施群はBWSTTで術後7日目までに1.1±0.6kmの歩行量と,早期歩行自立による病棟での歩行量とが増加したため,非実施群に比べ,6分間歩行距離が延長したと考えた。本研究よりAlter-Gは,大腿骨近位部骨折術後早期の歩行訓練として有用な手段となり得る可能性が示唆された。
【方法】対象は大腿骨近位部骨折術後で,受傷前能力が屋内伝い歩き自立以上,既往に脳卒中や重度の認知機能低下の無い30例とした。方法は,Alter-G実施群15例(実施群,女性11例,男性4例,75.5±10.5歳),Alter-G非実施群15例(非実施群,女性11例,男性4例,68.5±21.5歳)に無作為に分け,実施群は通常の理学療法に加え,術後3日目よりAlter-GでのBWSTTを10分実施した。評価項目は術後7,14日目の患肢荷重量,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離及び歩行後のBorg Scale,10m歩行最大歩行速度(10MWS)及び歩幅,歩行器を使用した歩行自立までの日数(歩行自立日数)とした。実施群,非実施群の2群間で比較検討し,統計方法はカイ2乗検定,t検定,Mann-Whitney検定,welch検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】歩行自立日数は,実施群7.2±1.4日,非実施群11.3±5.5日と,実施群は非実施群に比べ,有意に短かった(p<0.05)。6分間歩行距離は,術後7日目が実施群174.7±80m,非実施群111.3±67.1m,術後14日目が実施群238.3±88.4m,非実施群162±90.9mと,いずれも実施群は非実施群に比べ,有意に延長した(p<0.05)。歩幅は,術後7日目が実施群49.6±14.2cm,非実施群34.3±13.5cm,術後14日目が実施群51.4±16.0cm,非実施群39.9±13.0cmと,いずれも実施群は非実施群に比べ有意に大きかった(p<0.05)。患肢荷重量,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離後のBorg Scale,10MWSは,術後7,14日目で,両群間に有意差を認めなかった。
【結論】実施群は非実施群に比べ,6分間歩行距離,10MWSの歩幅,歩行自立日数に有意な変化を認めた。楠らは,虚弱高齢者に対するAlter-GによるBWSTTは歩幅が大きく,歩行率が低下した歩行パターンに変化すると報告している。疼痛などにより歩幅が減少する大腿骨近位部骨折術後においても,BWSTTにより歩幅が拡大し,反復学習された歩行が平地歩行にも反映されたと考えた。また,非実施群が平地歩行で十分な歩行量を確保できない術後早期に,実施群はBWSTTで術後7日目までに1.1±0.6kmの歩行量と,早期歩行自立による病棟での歩行量とが増加したため,非実施群に比べ,6分間歩行距離が延長したと考えた。本研究よりAlter-Gは,大腿骨近位部骨折術後早期の歩行訓練として有用な手段となり得る可能性が示唆された。