[P-MT-40-4] 変形性膝関節症の後足部回内外が歩行時痛と内側裂隙に及ぼす影響についての検討
キーワード:踵部回内外角度, 歩行時痛, 内側裂隙率
【はじめに,目的】
変形性膝関節症内側型(膝OA内側型)には後足部回外タイプと回内タイプが存在する。後足部回外タイプは外側楔型足底挿板の後足部回内誘導により除痛効果が期待できると報告されている。一方,後足部回内タイプは後足部が回内することで荷重線が外側に移動し,疼痛が既に軽減されているため外側楔型足底挿板の後足部回内誘導による除痛効果は期待できないと述べられている。我々は外側楔型足底挿板の適用前の後足部回内外と主観的膝痛強度との関連性や膝内側裂隙の狭窄と疼痛との関連性について報告が無いことに着目した。そこで本研究の目的は,膝OA内側型の後足部回内外角度と膝内側痛および内側裂隙との関連性について検討することである。
【方法】
膝OA内側型と診断された46例67膝(男性10例,女性36例)である。内訳は両膝OAが21例,右膝OAが17例,左膝OAが8例であり,平均年齢が66.4歳,平均身長が155cm,平均体重が57.7kg,平均FTAが180.1度であった。Kellgren-LawrenceのX線像分類では,Iが22膝,IIが31膝,IIIが12膝,IVが2膝であった。方法は踵部角にて後足部回内群と後足部回外群に分類し,歩行時痛と内側裂隙の狭窄の関連性を調査した。歩行時痛の評価はVisual Analog Scaleを使用し,最大努力10m歩行時の疼痛を評価した。内側裂隙の狭窄は内側関節裂隙の幅を外側裂隙の幅で除して算出した値(%)を内側裂隙率として評価した。統計はSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準5%未満とした。
【結果】
後足部回外群は30例43膝,後足部回内群は16例24膝であった。後足部回外群の踵部回外角度と歩行時痛との相関係数はr=0.562(p=0.0002),内側裂隙率との相関係数はr=-0.269(p=0.0768)であった。後足部回内群の踵部回内角度と歩行時痛との相関係数はr=-0.813(p=0.0001),内側裂隙率との相関係数はr=-0.518(p=0.0130)であった。
【結論】
後足部回外群の踵部回外角度と歩行時痛は正の相関がみられ,踵部が回外するほど疼痛が強くなる傾向がみられた。後足部回内群の踵部回内角度と歩行時痛は負の相関がみられ,踵部が回内するほど疼痛が弱くなる傾向がみられた。また後足部回内群の踵部回内角度と内側裂隙率は負の相関がみられ,踵部が回内するほど内側裂隙が狭くなる傾向がみられた。以上のことから後足部回外タイプは,踵部が回外することで膝内側への負荷が増加すると思われた。後足部回内タイプは回内するほど疼痛が軽度となり,内側裂隙が狭くなることから,膝内側への負荷を後足部回内によって軽減していることが示唆された。したがって後足部回内タイプは後足部を回内することで疼痛軽減を行っている可能性があり,外側楔型足底挿板の適応を考えるうえで注意が必要であると思われた。
変形性膝関節症内側型(膝OA内側型)には後足部回外タイプと回内タイプが存在する。後足部回外タイプは外側楔型足底挿板の後足部回内誘導により除痛効果が期待できると報告されている。一方,後足部回内タイプは後足部が回内することで荷重線が外側に移動し,疼痛が既に軽減されているため外側楔型足底挿板の後足部回内誘導による除痛効果は期待できないと述べられている。我々は外側楔型足底挿板の適用前の後足部回内外と主観的膝痛強度との関連性や膝内側裂隙の狭窄と疼痛との関連性について報告が無いことに着目した。そこで本研究の目的は,膝OA内側型の後足部回内外角度と膝内側痛および内側裂隙との関連性について検討することである。
【方法】
膝OA内側型と診断された46例67膝(男性10例,女性36例)である。内訳は両膝OAが21例,右膝OAが17例,左膝OAが8例であり,平均年齢が66.4歳,平均身長が155cm,平均体重が57.7kg,平均FTAが180.1度であった。Kellgren-LawrenceのX線像分類では,Iが22膝,IIが31膝,IIIが12膝,IVが2膝であった。方法は踵部角にて後足部回内群と後足部回外群に分類し,歩行時痛と内側裂隙の狭窄の関連性を調査した。歩行時痛の評価はVisual Analog Scaleを使用し,最大努力10m歩行時の疼痛を評価した。内側裂隙の狭窄は内側関節裂隙の幅を外側裂隙の幅で除して算出した値(%)を内側裂隙率として評価した。統計はSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準5%未満とした。
【結果】
後足部回外群は30例43膝,後足部回内群は16例24膝であった。後足部回外群の踵部回外角度と歩行時痛との相関係数はr=0.562(p=0.0002),内側裂隙率との相関係数はr=-0.269(p=0.0768)であった。後足部回内群の踵部回内角度と歩行時痛との相関係数はr=-0.813(p=0.0001),内側裂隙率との相関係数はr=-0.518(p=0.0130)であった。
【結論】
後足部回外群の踵部回外角度と歩行時痛は正の相関がみられ,踵部が回外するほど疼痛が強くなる傾向がみられた。後足部回内群の踵部回内角度と歩行時痛は負の相関がみられ,踵部が回内するほど疼痛が弱くなる傾向がみられた。また後足部回内群の踵部回内角度と内側裂隙率は負の相関がみられ,踵部が回内するほど内側裂隙が狭くなる傾向がみられた。以上のことから後足部回外タイプは,踵部が回外することで膝内側への負荷が増加すると思われた。後足部回内タイプは回内するほど疼痛が軽度となり,内側裂隙が狭くなることから,膝内側への負荷を後足部回内によって軽減していることが示唆された。したがって後足部回内タイプは後足部を回内することで疼痛軽減を行っている可能性があり,外側楔型足底挿板の適応を考えるうえで注意が必要であると思われた。