[P-NV-03-5] 頚髄損傷患者の転帰とリハビリテーション効率
過去3年間の後方視調査
Keywords:頚髄損傷, 転帰, リハビリテーション効率
【はじめに,目的】
近年の脊髄損傷患者の分布は,頚髄損傷不全麻痺者が増加傾向にある。本邦では,2007年までの脊髄損傷に対する大規模な調査結果が報告されている。それ以降,最近の疫学を反映した脊髄損傷に関するアウトカム分析の報告は少ない。今回,我々は脊髄損傷データベースをもとに,過去3年間の頚髄損傷者の転帰とリハビリテーション効率について,後方視的に調査したので報告する。
【方法】
調査期間及び対象は,2012年1月1日~2014年12月31までに脊髄損傷データベースに登録された頚髄損傷患者76名とした。平均年齢は61.2±13.1歳であった。調査は退院時Asia impairment scale(以下AIS)を基準としAIS:A,B,Cを重度群(28名),AIS:Dを軽度群(48名)に分類した。各群で在宅復帰率,運動項目に限定したFIM利得(入院時FIM運動項目合計-退院時FIM運動項目合計)及びFIM効率(FIM利得/入院日数)を算出した。FIM効率はMann-Whitney U testを用いて2群間を比較した。
【結果】
平均在院日数は重度群で193.2±67.3日,軽度群で141.9±58.7日であった。在宅復帰率は重度群で53%,軽度群で85%であり,退院時FIM運動項目の中央値は重度群で23点,軽度群で64点であった。運動項目のFIM利得の中央値は重度群で6.5点,軽度群で35点であった。FIM効率の中央値は,重度群で0.03,軽度群で0.24であり軽度群で有意に高かった(P<0.01)。
【結論】
軽度群は在宅復帰率が8割を超え,FIM効率が重度群と比較し有意に高いことからリハビリテーション効率が高い群と考えられた。一方,重度群は長期の入院期間を必要とし,退院時には介助量が多い状態で在宅復帰となるが故に,退院後を見据えた介護指導や環境整備を十分に行う必要性があると考えられた。これらの結果より,頚髄損傷者の重症度や麻痺の改善,ADLの改善度等の身体特性を考慮して,入院から退院時までの計画的なリハビリテーション支援を行う必要があると考えられた。
近年の脊髄損傷患者の分布は,頚髄損傷不全麻痺者が増加傾向にある。本邦では,2007年までの脊髄損傷に対する大規模な調査結果が報告されている。それ以降,最近の疫学を反映した脊髄損傷に関するアウトカム分析の報告は少ない。今回,我々は脊髄損傷データベースをもとに,過去3年間の頚髄損傷者の転帰とリハビリテーション効率について,後方視的に調査したので報告する。
【方法】
調査期間及び対象は,2012年1月1日~2014年12月31までに脊髄損傷データベースに登録された頚髄損傷患者76名とした。平均年齢は61.2±13.1歳であった。調査は退院時Asia impairment scale(以下AIS)を基準としAIS:A,B,Cを重度群(28名),AIS:Dを軽度群(48名)に分類した。各群で在宅復帰率,運動項目に限定したFIM利得(入院時FIM運動項目合計-退院時FIM運動項目合計)及びFIM効率(FIM利得/入院日数)を算出した。FIM効率はMann-Whitney U testを用いて2群間を比較した。
【結果】
平均在院日数は重度群で193.2±67.3日,軽度群で141.9±58.7日であった。在宅復帰率は重度群で53%,軽度群で85%であり,退院時FIM運動項目の中央値は重度群で23点,軽度群で64点であった。運動項目のFIM利得の中央値は重度群で6.5点,軽度群で35点であった。FIM効率の中央値は,重度群で0.03,軽度群で0.24であり軽度群で有意に高かった(P<0.01)。
【結論】
軽度群は在宅復帰率が8割を超え,FIM効率が重度群と比較し有意に高いことからリハビリテーション効率が高い群と考えられた。一方,重度群は長期の入院期間を必要とし,退院時には介助量が多い状態で在宅復帰となるが故に,退院後を見据えた介護指導や環境整備を十分に行う必要性があると考えられた。これらの結果より,頚髄損傷者の重症度や麻痺の改善,ADLの改善度等の身体特性を考慮して,入院から退院時までの計画的なリハビリテーション支援を行う必要があると考えられた。