[P-NV-07-1] リハビリテーション適応となった被殻出血症例の頭部CT画像による運動機能の予後予測―第1報―
―初期画像と経過画像の比較―
Keywords:被殻出血, CT画像, 運動予後予測
【はじめに,目的】
被殻出血と一括される中にも種々のタイプがあり,各々に特徴ある運動機能予後を有することは周知のところである。したがって,被殻出血のCT分類は単に解剖学的分類にとどまらず,運動機能予後と密接な関連を有している。しかし,回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)入棟時では必ずしも発症時の頭部CT画像を参照できるとは限らない。今回我々は,入棟時の頭部CT画像(血腫が吸収しきれていない,高吸収域と低吸収域が混在している画像)から運動機能予後を予測できることが回リハ病棟のような急性期病棟の後方施設にとって有用であると考えた。そこで発症時の頭部CT画像(以下,初期画像)と完全に低吸収域となった頭部CT画像(以下,経過画像)を脳卒中外科研究会のCT分類を参考に,血腫吸収の部位を調査した。
【方法】
対象は,2010年10月から2014年7月に回リハ病棟入棟後,理学療法を施行した被殻出血症例83例中,初期画像と経過画像が得られた45例とした。年齢は64.0±11.8歳(平均±標準偏差),性別は男性28例,女性17例であった。平均在院日数は129.4±53.7日,発症から入棟までの平均日数は26.0±13.5日であった。検討内容は,初期画像を脳卒中外科研究会の被殻出血CT分類でI~Vb(以下,初期分類)の9パターンに分類した。経過画像を初期分類に照らし合わせてI~V(以下,経過分類)の5パターンに分類した(脳室穿破像は消失しているためa,bはなしとした)。同一患者の初期画像と経過画像を,比較・調査した。
【結果】
初期分類の内訳はI:9例,IIa:1例,IIb:3例,IIIa:11例,IIIb:0例,IVa:7例,IVb:1例,Va:1例,Vb:12例であった。経過分類の内訳はI:14例,II:5例,III:11例,IV:4例,V:11例であった。また,初期分類と経過分類で,変化なしが34例(76%),変化ありが11例(24%)であった。初期画像と経過画像での病巣変化の内訳をまとめると,内包前脚または後脚に病巣があったもので,内包の外側に限局されたものが5例,内包全体に病巣が拡がったもので,内包前脚または後脚に収束されたものが4例,視床までに及ぶ病巣があったもので,内包全体に低吸収域が残ったものが2例あった。
【結論】
今回,初期画像と同様に経過画像も分類したことで,初期画像と経過画像で損傷部位の変化を認めなかったものが約8割あり,大多数が高吸収域と同部位で低吸収域となることがわかった。ただし,その大きさは全て小さくなった。また,約2割は初期画像から経過画像の比較において分類の変化を認め,さらにその変化パターンには一定の傾向が認められた。この結果より,高吸収域から低吸収域の部位を推測し得る可能性が示唆されると考えた。各分類において運動機能および能力の比較,検討をし,回リハ病棟入棟時の頭部CT画像より運動機能予後の予測を行う一助を見出していく。
被殻出血と一括される中にも種々のタイプがあり,各々に特徴ある運動機能予後を有することは周知のところである。したがって,被殻出血のCT分類は単に解剖学的分類にとどまらず,運動機能予後と密接な関連を有している。しかし,回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)入棟時では必ずしも発症時の頭部CT画像を参照できるとは限らない。今回我々は,入棟時の頭部CT画像(血腫が吸収しきれていない,高吸収域と低吸収域が混在している画像)から運動機能予後を予測できることが回リハ病棟のような急性期病棟の後方施設にとって有用であると考えた。そこで発症時の頭部CT画像(以下,初期画像)と完全に低吸収域となった頭部CT画像(以下,経過画像)を脳卒中外科研究会のCT分類を参考に,血腫吸収の部位を調査した。
【方法】
対象は,2010年10月から2014年7月に回リハ病棟入棟後,理学療法を施行した被殻出血症例83例中,初期画像と経過画像が得られた45例とした。年齢は64.0±11.8歳(平均±標準偏差),性別は男性28例,女性17例であった。平均在院日数は129.4±53.7日,発症から入棟までの平均日数は26.0±13.5日であった。検討内容は,初期画像を脳卒中外科研究会の被殻出血CT分類でI~Vb(以下,初期分類)の9パターンに分類した。経過画像を初期分類に照らし合わせてI~V(以下,経過分類)の5パターンに分類した(脳室穿破像は消失しているためa,bはなしとした)。同一患者の初期画像と経過画像を,比較・調査した。
【結果】
初期分類の内訳はI:9例,IIa:1例,IIb:3例,IIIa:11例,IIIb:0例,IVa:7例,IVb:1例,Va:1例,Vb:12例であった。経過分類の内訳はI:14例,II:5例,III:11例,IV:4例,V:11例であった。また,初期分類と経過分類で,変化なしが34例(76%),変化ありが11例(24%)であった。初期画像と経過画像での病巣変化の内訳をまとめると,内包前脚または後脚に病巣があったもので,内包の外側に限局されたものが5例,内包全体に病巣が拡がったもので,内包前脚または後脚に収束されたものが4例,視床までに及ぶ病巣があったもので,内包全体に低吸収域が残ったものが2例あった。
【結論】
今回,初期画像と同様に経過画像も分類したことで,初期画像と経過画像で損傷部位の変化を認めなかったものが約8割あり,大多数が高吸収域と同部位で低吸収域となることがわかった。ただし,その大きさは全て小さくなった。また,約2割は初期画像から経過画像の比較において分類の変化を認め,さらにその変化パターンには一定の傾向が認められた。この結果より,高吸収域から低吸収域の部位を推測し得る可能性が示唆されると考えた。各分類において運動機能および能力の比較,検討をし,回リハ病棟入棟時の頭部CT画像より運動機能予後の予測を行う一助を見出していく。