第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本神経理学療法学会 一般演題ポスター
神経P16

Sat. May 28, 2016 4:00 PM - 5:00 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-NV-16-6] 回復期リハビリテーション病棟に入院するまでの期間とADL予後との関連

白石成明1, 松本大輔2, 杉山統哉3, 伊藤卓也4, 石野聡3, 近藤克則5 (1.日本福祉大学, 2.畿央大学, 3.ちゅうぶ労災病院, 4.主体会病院, 5.千葉大学予防医学センター)

Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 脳卒中, 発症後入院病日

【はじめに,目的】

発症から回復期リハビリテーション(リハ)病棟に入院するまでの期間とADL予後との関連を検討することを目的とした。


【方法】

研究デザインはケースコントロール研究である。対象は日本リハ・データベース協議会(JARD)を運営するデータベースに回復期リハ病棟患者として登録され選択基準を満たした,29病院1573名(男性930名,女性643名,69.7±12.5歳)とした。調査項目は年齢(54歳以下,55-64,65-74,75-84,85歳以上に分割,参照値85.歳以上),性別,介護力,脳卒中病型,在院日数,発症後入院病日(26日以内,27-41日,42日以上に3等分割,参照値42日以上),Rankin scale(RS),FIM運動,FIM認知,FIM運動利得,FIM認知利得とした。入院時RSにより軽度(0-2),中等度(3),重度(4-5)に層別化し,各層で従属変数をFIM運動利得,FIM認知利得,説明変数を入院時調査項目とした重回帰分析を行い,発症後入院病日と退院時ADLの関連を検討した。


【結果】

1.RS(0-2)の軽度層:従属変数がFIM運動利得では発症後入院病日26日以内(β;0.06,p=0.16),27-41日(β;-0.03,p=0.52),FIM認知利得では発症後入院病日26日以内(β;0.12,p=0.06),27-41日(β;0.04,p=0.56)であった。軽度層では発症後入院病日とFIM利得は関連がみられなかった。

2.RS(3)の中等度層:従属変数がFIM運動利得では発症後入院病日26日以内(β;0.19,p<0.01),27-41日(β;0.12,p=0.01),FIM認知利得では発症後入院病日26日以内(β;0.16,p<0.01),27-41日(β;0.11,p=0.01)であり,発症後入院病日とFIM利得は関連がみられた。

3.RS(4-5)の重度層:従属変数がFIM運動利得では発症後入院病日26日以内(β;0.16,p<0.01),27-41日(β;0.13,p<0.01),FIM認知利得では発症後入院病日26日以内(β;0.18,p<0.01),27-41日(β;0.11,p<0.01)であり,発症後入院病日とFIM利得は関連がみられた。


【結論】

FIM運動利得,FIM認知利得を従属変数とした重回帰分析の結果,入院時重症度が中等度から重度では発症後入院病日が有意な変数であった。結果の解釈にはいくつかの限界があるが,これらの対象患者では発症後26日以内,遅くとも41日以内の回復期リハ病棟への入院が有効である可能性がある。なお,本研究の内容・結論は発表者の見解である。