[P-NV-22-4] 回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者における栄養状態の経過
キーワード:回復期, 脳卒中, 栄養状態
【はじめに,目的】
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期)での脳卒中栄養不良患者は43.5%に達するとの報告があり,脳卒中治療ガイドラインでは栄養不良患者には十分なカロリーと蛋白質の補給が勧められている。当院の栄養管理は患者ごとにアセスメントを行いながら提供カロリーと蛋白量を調整している。そこで当院での栄養管理の妥当性を検討するため,回復期入院中の脳卒中患者における栄養状態の経過を調査した。
【方法】
対象は2013年5月から2015年2月に当院を退院した脳卒中患者のうち,年齢が60歳以上で90日以上入院した262名(平均年齢74.6±8.4歳)とした。調査項目は,年齢,身長,入院時と1ヶ月毎のAlb値,体重,補給エネルギー量(基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数±チーム判断での増減),機能的自立度評価表(以下,FIM)とした。栄養状態はGeriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)を用い,栄養不良群(<92,以下,不良群),栄養良好群(92≧,以下,良好群)に分類した。また,入院3ヶ月間のFIM利得を算出した。統計解析は年齢,補給エネルギー量,FIM運動項目合計点(以下,FIM-m),FIM利得の比較を対応のないt検定とMann-Whitney検定を用い,1ヶ月間毎の栄養状態の経過はSteel-Dwass法を用い検討した。統計解析にはStatcel 3を用い,有意水準を5%とした。
【結果】
年齢は良好群(73.6±8.2歳)よりも不良群(75.8±8.6歳)の方が有意(p<0.05)に高く,補給エネルギー量は不良群(1468.8±187.5 kcal)が,良好群(1520.2±177.0kcal)よりも有意(p<0.05)に低かった。入院時のFIM-mは不良群(16.4±14.1点)が良好群(40.8±16.4点)よりも有意(p<0.01)に低かったが,FIM利得は差がなかった。入院期間のGNRIの経過は,良好群では有意な変化を認めなかった。不良群では入院時(84.9±8.9)に比べ,1ヶ月(86.8±9.5,p<0.05),2ヶ月(88.7±9.9,p<0.01),3ヵ月(89.5±9.8,p<0.01)とも有意差を認め,同様に,1ヶ月に比べ2ヶ月(p<0.05),3ヵ月(p<0.01)でも有意に向上していた。
【結論】
補給エネルギー量が良好群よりも不良群で少なかったが,入院時のFIM-mが有意に低く,年齢が高齢で,かつ不良群の栄養状態も1か月目から改善していることから,適切な栄養補給が行えていたと考える。入院中のGNRIの経過は良好群では有意な増減はなかった。入院中の栄養状態は投与エネルギー量や活動量など複合的な要因によって影響を受けるが,良好群ではこれらのバランスがとれていたこと,年齢が不良群よりも若年であったことが,栄養状態を維持できた要因ではないかと考える。不良群では1か月毎に栄養状態は改善し,FIM利得も良好群と同程度に改善していた。年齢,入院時ADLおよび栄養状態とも,FIMの改善には負の影響を与えるにも関わらず,不良群が良好群と同程度のFIM利得を得たことから,現状の栄養管理方法は一定の効果があるものと考える。
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期)での脳卒中栄養不良患者は43.5%に達するとの報告があり,脳卒中治療ガイドラインでは栄養不良患者には十分なカロリーと蛋白質の補給が勧められている。当院の栄養管理は患者ごとにアセスメントを行いながら提供カロリーと蛋白量を調整している。そこで当院での栄養管理の妥当性を検討するため,回復期入院中の脳卒中患者における栄養状態の経過を調査した。
【方法】
対象は2013年5月から2015年2月に当院を退院した脳卒中患者のうち,年齢が60歳以上で90日以上入院した262名(平均年齢74.6±8.4歳)とした。調査項目は,年齢,身長,入院時と1ヶ月毎のAlb値,体重,補給エネルギー量(基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数±チーム判断での増減),機能的自立度評価表(以下,FIM)とした。栄養状態はGeriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)を用い,栄養不良群(<92,以下,不良群),栄養良好群(92≧,以下,良好群)に分類した。また,入院3ヶ月間のFIM利得を算出した。統計解析は年齢,補給エネルギー量,FIM運動項目合計点(以下,FIM-m),FIM利得の比較を対応のないt検定とMann-Whitney検定を用い,1ヶ月間毎の栄養状態の経過はSteel-Dwass法を用い検討した。統計解析にはStatcel 3を用い,有意水準を5%とした。
【結果】
年齢は良好群(73.6±8.2歳)よりも不良群(75.8±8.6歳)の方が有意(p<0.05)に高く,補給エネルギー量は不良群(1468.8±187.5 kcal)が,良好群(1520.2±177.0kcal)よりも有意(p<0.05)に低かった。入院時のFIM-mは不良群(16.4±14.1点)が良好群(40.8±16.4点)よりも有意(p<0.01)に低かったが,FIM利得は差がなかった。入院期間のGNRIの経過は,良好群では有意な変化を認めなかった。不良群では入院時(84.9±8.9)に比べ,1ヶ月(86.8±9.5,p<0.05),2ヶ月(88.7±9.9,p<0.01),3ヵ月(89.5±9.8,p<0.01)とも有意差を認め,同様に,1ヶ月に比べ2ヶ月(p<0.05),3ヵ月(p<0.01)でも有意に向上していた。
【結論】
補給エネルギー量が良好群よりも不良群で少なかったが,入院時のFIM-mが有意に低く,年齢が高齢で,かつ不良群の栄養状態も1か月目から改善していることから,適切な栄養補給が行えていたと考える。入院中のGNRIの経過は良好群では有意な増減はなかった。入院中の栄養状態は投与エネルギー量や活動量など複合的な要因によって影響を受けるが,良好群ではこれらのバランスがとれていたこと,年齢が不良群よりも若年であったことが,栄養状態を維持できた要因ではないかと考える。不良群では1か月毎に栄養状態は改善し,FIM利得も良好群と同程度に改善していた。年齢,入院時ADLおよび栄養状態とも,FIMの改善には負の影響を与えるにも関わらず,不良群が良好群と同程度のFIM利得を得たことから,現状の栄養管理方法は一定の効果があるものと考える。