第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本神経理学療法学会 一般演題ポスター
神経P22

Sun. May 29, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-NV-22-5] 回復期リハビリテーション病棟入院の脳血管疾患患者におけるBalance Evaluation Systems Testのセクションと身体機能との関連性の特徴

長谷川智1,2, 幸地大州1, 渡辺真樹1, 臼田滋2 (1.公立七日市病院, 2.群馬大学大学院保健学研究科)

Keywords:回復期, 脳卒中, バランス

【はじめに,目的】Balance Evaluation Systems Test(BESTest)は6セクションからなるバランス評価指標であり,全27項目,36テストで構成され,各テストは0点(最低)~3(最高)の4段階の順序尺度で評価される。セクションに分類することでバランス障害の問題点を明確化しやすく,理学療法プログラム立案の一助になることが期待されている。本研究の目的は,回復期リハビリテーション(リハ)病棟入院の脳血管疾患患者におけるBESTestのセクションと身体機能との関連性の特徴を検討することである。

【方法】対象は回復期リハ病棟を退院時の歩行能力が杖(T字杖又は4点杖)歩行監視レベル以上であった脳血管疾患患者27名(男性10名,女性17名,平均年齢76.3±8.2歳,脳梗塞16名,脳出血9名,くも膜下出血1名,慢性硬膜下血腫1名)とした。退院前2週間以内にBESTset,Berg Balance Scale(BBS),膝関節伸展筋力,下肢Brunnstrom Recovery Satge(BRS),感覚検査,Functional Independence Measure(FIM)を測定した。BESTestは各セクション,合計スコアともに得点率を算出した。膝関節伸展筋力はHand-Held Dynamometer(アニマ社製μTas F-1)を使用し,左右各2回の測定値中の最大値を代表値とし,測定値は体重で除した。感覚検査はStroke Impairment Assessment Set(SIAS)の下肢表在感覚,下肢深部感覚の項目の方法に従い0~3点の4段階で測定した。BESTest合計,各セクションと各測定項目間の相関係数をBBS,FIM,下肢筋力の項目を含む解析はPearsonの相関係数を用い,下肢BRS,下肢感覚を含む解析はSpearmanの順位相関係数を用い解析した。有意水準は5%とした。

【結果】測定項目の結果はBBS49.7±7.2点,FIM101.3±14.6点,下肢筋力42.0±16.0%,BESTestセクションIからVIは,65.9±27.3%,85.8±10.3%,63.0±24.9%,59.1±25.0%,70.6±24.3%,58.9±26.7%,合計67.2±20.0%,下肢BRSVI12名,V11名,IV3名,III1名,表在感覚1点2名,2点5名,3点20名,深部感覚2点9名,3点18名であった。BBS,FIMは全セクション,合計と有意な相関を認め,BBSとセクションIIのみ弱い相関(rs=0.395)で,その他は中等度以上の相関(rs=0.467-0.869)であった。下肢筋力は全セクション,合計と有意な相関を認め,セクションVのみ弱い相関(rs=0.399)で,その他は中等度の相関(rs=0.429-0.591)であった。下肢BRSはセクションII以外のセクション,合計と有意な中等度の相関を認め,感覚障害の程度(SIASの表在感覚,深部感覚)は全セクション,合計と有意な相関を認めなかった。

【結論】セクションII(安定性限界/垂直性)は下肢運動麻痺と,セクションV(感覚適応)は下肢筋力と関連性が低かった。感覚障害はBESTest各セクションと顕著な関連性を認めなかった。今後は更に症例数と身体機能の項目数を増やし検討する必要がある。