[P-NV-22-6] 中等症の脳卒中患者における退院時歩行能力に関与する要因の検討
Keywords:中等症脳卒中患者, 運動項目FIM, 歩行予後予測
【はじめに】脳卒中急性期リハビリにおいて,発症早期より機能評価によって得られた情報から,ゴールや入院期間を予測しアプローチをしていくことは重要である。特に歩行の獲得状況は転帰に直結し,家族へのストレスにも影響することから,早期より精度の高い予後予測が求められる。脳卒中患者における発症早期からの歩行の予後予測に関して,これまでNational Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS)やFunctional Independence Measure(以下,FIM)の有用性があるとされている。しかし,脳卒中患者はその重症度により症状が多様化し,特に中等症の患者は回復の変動の程度が個々により異なるため,歩行の予後予測に難渋する。今回,中等症の脳卒中患者における歩行自立に関与する因子を調査し,予後予測の一助とすることを目的とした。
【方法】対象は2011年4月から2014年3月までに当院の急性期病棟に脳卒中で入院し,回復期リハ病棟に転院となった患者299例の内,脳卒中発症前のADLが自立していた185例とした(くも膜下出血および急性転科例は除外)。調査項目はカルテより後方視的に,年齢,性別,麻痺側,入院時のNIHSS,急性期病棟におけるリハビリ初期評価時と退院時の運動項目FIM(以下,M-FIM)・認知項目FIM(以下,C-FIM),急性期病棟でのM-FIMおよびC-FIMの利得,歩行開始までの期間,入院期間とした。なお,NIHSSの分類は6点以下を軽症,7点から14点を中等症,15点以上を重症とし,中等症例を対象として歩行自立度における2群間比較を行った。統計分析は,2群間でMann WhitneyのU検定,χ2検定を用い比較検討を行った。そして退院時歩行自立・非自立を従属変数,単変量解析で有意差が認められた項目を独立変数とし,変数増加法による多重ロジスティック回帰分析で調査した。解析ソフトはSPSS19.0Jを使用し,有意水準は5%未満とした。
【結果】重症度別にみて歩行獲得した者は,軽症例で83.7%,中等症例で61.7%,重症例で38.0%であった。中等症例を対象とし,回復期病棟を退院時に歩行が自立した者30例と,介助を要した者19例において,両群間で初期評価時のM-FIM,C-FIMに有意差はなかった。有意差を認めた項目は(自立群vs介助群),年齢(68.7±9.0歳vs75.0±11.0歳),急性期病棟を退院時のM-FIM(61.1±14.3点vs37.3±13.8点)・C-FIM(28.5±7.1点vs24.7±6.7点),M-FIM利得(39.8±14.1点vs20.5±11.7点),入院期間(17.1±7.2日vs23.9±15.0日)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果では,退院時M-FIM(オッズ比0.85,95%信頼区間0.78-0.94)が採択され,判別的中率は87.8%であった。
【結論】急性期病院での情報にて,中等症の脳卒中患者における歩行の予後予測の一指標を示すことができた。一般的な脳卒中患者の歩行予後予測として,M-FIMに加えC-FIMも関与するとされている。今回の対象となった中等症の脳卒中患者ではC-FIMは最終的に採択されなかったことから,歩行自立のために,より高い運動機能が必要であると示唆された。
【方法】対象は2011年4月から2014年3月までに当院の急性期病棟に脳卒中で入院し,回復期リハ病棟に転院となった患者299例の内,脳卒中発症前のADLが自立していた185例とした(くも膜下出血および急性転科例は除外)。調査項目はカルテより後方視的に,年齢,性別,麻痺側,入院時のNIHSS,急性期病棟におけるリハビリ初期評価時と退院時の運動項目FIM(以下,M-FIM)・認知項目FIM(以下,C-FIM),急性期病棟でのM-FIMおよびC-FIMの利得,歩行開始までの期間,入院期間とした。なお,NIHSSの分類は6点以下を軽症,7点から14点を中等症,15点以上を重症とし,中等症例を対象として歩行自立度における2群間比較を行った。統計分析は,2群間でMann WhitneyのU検定,χ2検定を用い比較検討を行った。そして退院時歩行自立・非自立を従属変数,単変量解析で有意差が認められた項目を独立変数とし,変数増加法による多重ロジスティック回帰分析で調査した。解析ソフトはSPSS19.0Jを使用し,有意水準は5%未満とした。
【結果】重症度別にみて歩行獲得した者は,軽症例で83.7%,中等症例で61.7%,重症例で38.0%であった。中等症例を対象とし,回復期病棟を退院時に歩行が自立した者30例と,介助を要した者19例において,両群間で初期評価時のM-FIM,C-FIMに有意差はなかった。有意差を認めた項目は(自立群vs介助群),年齢(68.7±9.0歳vs75.0±11.0歳),急性期病棟を退院時のM-FIM(61.1±14.3点vs37.3±13.8点)・C-FIM(28.5±7.1点vs24.7±6.7点),M-FIM利得(39.8±14.1点vs20.5±11.7点),入院期間(17.1±7.2日vs23.9±15.0日)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果では,退院時M-FIM(オッズ比0.85,95%信頼区間0.78-0.94)が採択され,判別的中率は87.8%であった。
【結論】急性期病院での情報にて,中等症の脳卒中患者における歩行の予後予測の一指標を示すことができた。一般的な脳卒中患者の歩行予後予測として,M-FIMに加えC-FIMも関与するとされている。今回の対象となった中等症の脳卒中患者ではC-FIMは最終的に採択されなかったことから,歩行自立のために,より高い運動機能が必要であると示唆された。